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第2章翼蛇の杖と世界の危機

外伝・海

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まだオデットに滞在していた時のこと。

「ふふふ」
「どうしたの」
「どうしたもこうしたもありませんよ。
せっかく海に来たんですから泳ぎましょう!!
そのために水着も作ったんです」
「あのねぇ」

そう熱意を込めて言ったらエドナに冷めた目で見られた。

「こんな水着着られないわよ」

エドナは私が作った水着を見て言う。
水着と言ってもそれはほとんどひもだけのものだ。
エドナなら似合うかなと思って作ってみたのだ。

「エドナさんなら似合うかと思ったんですけど」
「あのねぇ、もっと普通の水着はないの?」
「分かりました。作ってみますね」

私は普通の水着を作った。

「まぁそれならいいけど、で、どこで泳ぐの?」
「近くにいい浜辺を見つけたんです。そこに行きましょう」
「分かったわ」

そうして私達は浜辺に移動した。

「ここって誰もいないから、プライベートビーチみたいですね」
「何それ?」
「お金持ちの人が独占しているビーチのことです。
他の人は入れないんです」
「あなたの世界の金持ちってずいぶんと横暴ね。
海って普通誰のものでもないでしょ」

そんな事を言いながら私達は水着に着替えた。

「さぁ泳ぎますか」
「いってらしゃい」
「楽しんでこいよ」
「あれ、ガイもエドナさんも海には入らないんですか?」
「俺は羽がぬれると困るから」
「私もベタベタするのは嫌だから」
「何ですか、ちぇっ」

まぁいいや、一人だけで楽しむか、そう思い私は海に飛び込んだ。

「さぁ泳ぐぞー」

そうして泳ごうとした時だった。

「ああー!!」
「どうしたの!?」
「私、泳げないんだったー!!」

そうなのだ。すっかり忘れていたが私は泳げないのだ。
極寒の地であるヒョウム国ではそもそも泳ぐことはなかった。
長い歳月が私に泳ぎ方を忘れさせてしまった。

「助け、がぼっ」
「セツナ!!」

遠目でエドナが海に飛び込んだのが見えた。

「今助けるから」

エドナが私の腕を掴んだ。私は必死にエドナにしがみつく。

「ゲホッ、エドナ…」
「あれ、ここ立てるじゃない」
「え、あ、ホントだ」

エドナの言う通り普通に立つことが出来た。
急に恥ずかしくなった。
浅瀬でも人は溺れることはあると聞いたことがあるが、まさか本当だとは。

「とにかく泳げないのなら、海で無理に過ごす必要はないじゃない」
「そうですね」
「しかしベタベタして気持ち悪いわ」
「え、私が?」
「いや、海水がね。近くに川もないし海水を落としたいのだけど」
「ああ、それなら魔法があります。《水よ》」

私はエドナの頭上に雨雲を作る。
雨雲はエドナについた潮を落としてくれる。
まぁ簡易シャワーみたいなもんだ。

「これ、いいわね」

そうだ。いつでもお風呂に入れるように猫足バスタブでも作ろうかな。
そうすればいつでもお風呂に入り放題。
ぐふふふ、夢は膨らむぜ。
そう思った私だった。
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