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第1章過去と前世と贖罪と
46・伯爵夫人の気苦労
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「来ないですぅ…」
私は気がつけば泣き出していた。
長時間の尋問に、魔族騒動で感じていた罪悪感。
それらの緊張が一気に決壊してしまった瞬間だった。
「ごめんなさい。
森を焼き払ったのも…地震を起こしたのも…私のせいなんですぅ…」
「セツナッ!?」
私が泣きながらそう自白すると、エドナが驚いた声を出した。
「ほう? では魔族の仕業ではなく君の仕業だと?」
伯爵夫人は腕組みをしながらそう言った。
「ひっくっ、えっぐっ…。
あ、アリアドネの森のは、魔物の仕業なんですぅ…。
でもぉ…もうそれは私がぁ…倒しちゃったんでぇ…
だからこの町に魔族が来る事はありませぇん…うえーん!」
それだけ言うと、
私はもう号泣して、号泣して、涙が止まらなかった。
ああ、もう死罪確定だわ。
いや聖眼持ちであることがばれているので、
死罪にはならないけど、軟禁確定かもしれない。
「おい…泣くな」
そう言うと伯爵夫人はハンカチを出してくれた。
そのハンカチを私は受け取り、
ついいつもの癖で鼻をかんでしまった。
「ちょっ…それで鼻をかむなっ。気に入っているんだからっ」
出会ってからずっと無表情だったのに、
珍しく慌てた様子で伯爵夫人はそう言った。
「ご、ごめんなさい…」
「とにかく魔族は来ないんだな…?」
「来ません…私がやったことですし、
私はこの町を滅ぼす気なんてありません」
「すみませんが、よろしいでしょか」
その時、ずっと黙っていたエドナが口を開いた。
「セツナがやった事は近くにいた私にも責任はあります。
どうかセツナの罪は許してやってください」
「それは出来ないな…私にも体面というものがある」
確かにこんな騒動巻き起こしておいて、
お咎めなしというのは通らないだろう。
エドナは大きくため息を吐くと、言葉を出した。
「なら私を投獄してください」
「エドナさんっ」
「私がセツナを唆して、このような事をさせました。
だから罪を与えるなら、私に与えて下さい」
「何を言っているんです!?
だって最初の事件を引き起こした時、
私とエドナさんは出会ってもなかったじゃないですか!?」
「…セツナは聖眼持ちで殺すことは出来ません。
ですがそれでは領民が納得出来ないでしょう。
首謀者ということで、私に罰をお与えください」
「そんなことダメです!
なら私は、エドナさんと一緒にこの国を出ます!」
「ええい、待たんか! 何を勝手に話を進めているっ!
最終的に決めるのは領主である私だ!!」
その時、怒ったように伯爵夫人はそう言った。
領主?
でも領主は男だし、この人はその奥さんだったはずだよな…。
「そもそも今回の事は私が口外しなければ、
誰も気がつかないことだ!
秘密にしておいてやるから、この町を出るのだけは止めろ!」
「秘密にって…見逃してくれるんですか」
「まさか、これだけの騒動を巻き起こしたんだ。
見逃すはずがないだろう」
そう言うと、伯爵夫人は机の方に戻ると椅子に腰掛けた。
「この書類を見ろ。
昼夜問わず働いて、まだこれだけ残っている…っ。
…うちは避暑地で、雨期が過ぎれば観光客が来る。
貴族なども、ここに別荘をいくつか持っている。
だが今回の魔族騒動で、深刻なダメージを受けた。
魔族に壊されてたまらんとばかりに、別荘を売り払う人間や、
それまで予定していた滞在予定をいきなりキャンセルされる始末。
むしろこれを機によその町に逃げようとする人間もいる。
しかも人々の緊張が高まっているせいか、
明らかにここ最近は治安が悪くなっている。
これだけの騒動を引き起こしたお前を見逃すはずがないだろう」
びしっと伯爵夫人は私に指を刺した。
「だから罪は私が負います」
「待ってくださいっ。エドナさんが罪をかぶるぐらいなら私が…」
「だから話は最後まで聞け!!
私はこのことを他の人間には言うつもりはないッ!
そもそも言ったところで、誰がそれを信じるというのだ…!
今回のことは私の胸にしまっておく、
そしてお前もこの件は誰にも言うなっ」
イライラして様子で伯爵夫人はそう言った。
なんだか思った以上に短気な人だな…。
「では、見逃さないとはどういうことですか?」
「…お前…私の元で働いてみないか?」
「え?」
「お前の持っている力は魅力的なものだ。
その力を私の下で使えば、有効にその力を使うことが出来る。
報酬もやる。報酬はそうだな、毎月銀貨30枚でどうだ?」
という事はこの人のところで働くだけで、月30万円?
うわぁ…高い。すごい魅力的…だけど。
「すみませんが、私は誰かの元で働きたくないんです」
「何故?」
…でもこれだけの事をしてしまったのに、
どうやって断ったら――。
そう思っていたら、唇が勝手に動いていた。
「私は1度、権力者の元で監禁されたことがあるんです」
「何?」
「外に出ることすら許されなかった。
ずっとずっと、鉄格子のある部屋に閉じ込められていた…。
だから私はもう誰にも支配されたくないんです」
…寒い部屋だった。それもとてつもなく寒く、
窓の外の景色はずっと変わらなかった。
白い白い雪に覆われた景色。
やがて時間の感覚も無くし、運ばれてきた食事をただ食べる毎日。
日本に帰りたかった。お母さんに会いたかった。
けれど夢の中でしかそこには行けなかった。
「…私は――」
「セツナ…」
その時、エドナの温かい手が私の手を握る。
その瞬間、ぐらぐらしかけていた心が急に元の位置に戻る。
「あ、あれ?」
私は何を言っていたんだったっけ?
「何の話をしていたんでしたっけ?」
そう首をかしげる私を見て、
伯爵夫人は驚いた顔をしたが、やがて顔をそらした。
「それで私の元で働くのは無理なんだな?」
え? いつの間にそういう話になってるの?
まぁでも後でエドナに話を聞けばいいか。
「そうです」
「ならちゃんと責任を取れ、
お前のうっかりでこの町が受けた損害は計り知れない。
今更、魔族が来ませんよなんて言ったとしても、
領民は誰も納得しやしない…。
騎士団も滞在する費用を考えると、
それはそれはものすごい費用になる。
私の下で働くのが無理なら、せめてこの町に貢献しろ」
「貢献?」
「お前は空間術が使えるんだろう。
ならばその能力を生かして、町のために使え。
そしてたまに私の頼みを聞いてくれれば、
今回の事は黙っておいてやる」
「…わかりました。それくらいなら良いですよ」
「はぁ…話には聞いていたが、
予想以上に変わった奴だな。
これだけのことをしでかす能力はあるのに、
傲慢さの欠片も無いとはどういうことだ」
そりゃ元々は私の能力じゃなかったからな。
それまでの私の性格と不一致さがあるのは、
当たり前のことだがこれは言わない。
「それでもう用がないなら、帰りますけど…」
「マティルダー!!」
そうエドナが言った時だった。
いきなりドアを開けて、1人の男の人が入ってきた。
「いきなり男を呼び出すなんてどういうことなんだ!?」
「何を言っているんですか、旦那様」
そういった伯爵夫人に、私達は驚きを隠せなかった。
旦那様と言うことはこの人が領主ということか。
でも…とてもじゃないけど、
一代で町をこれだけ発展させた人には見えない。
姿は淡い茶髪に緑色の瞳。年は40代ぐらいに見える。
美人な伯爵夫人とは対照的に、平凡極まりない顔をしている。
「旦那様、よく見てください。この者達は女性ですよ?
女性とどうやってそういう関係になると言うのですか」
「だが君は前に男に会っていたじゃないか…」
「会っていたのはギルドマスターですよ?
それにあの場にはセバスチャンも同席していたのをお忘れですか?」
「でも君は美人だから…、
君の魅力に気がついた男が君に惚れたらどうするんだい?」
「あのですねぇ…私は旦那様の領主代理として働いているんですよ?
ただでさえ、忙しいのにそんな事する余裕はありません」
え? と私とエドナは声を上げた。
領主代理という事は、この人が真の領主ということか?
でも、そんなこと聞いてないけど。
「で、でも君は――」
「ああ、もうっ、うっとうしいなぁ…!
ただでさえ今は徹夜するぐらいに忙しくて、
イライラしているだよ!!
そんなことを言うぐらいなら、
ちょっとは私の仕事を手伝え!!」
そう言うと伯爵夫人は夫の頭を叩いた。
「だいたいお前が頼りないから、私が代わりに領主やってんだろ!
でも女の私が領地を統率しているて知られたら、苦情が来るから、
お前が領主だってことになってんだぞ!!
だったらもうちょっと、しっかりしろ!」
「ご、ごめん…」
そう言うと領主…ということになっているが、
実は違うらしい旦那さんはシュンと体を小さくした。
その様子に伯爵夫人はため息を吐くと、
静かな口調で話し始めた。
「というわけで旦那様。あなたにしか出来ない仕事は後で頼みます。
だから今は部屋に戻っていてください。
ただでさえ今は徹夜しているせいで、イライラしているんです」
「うん、わかった…」
そう言うと旦那さんは部屋を出ていった。
伯爵夫人は大きくため息を吐いた。
「思わぬところで私の秘密が知られてしまったな…」
「ちゃんと、黙っておきますよ…」
「まぁ説明しておくが、
あの男は一応…領主ということになっているが、
見ての通りボンクラでな。
あまりに情けなくて、私が代わりに領地を統治して、
もう20年以上になる」
「じゃあ。この町を地方都市にまでしたのは――」
「当然私の功績だ。まぁ私1人の力ではないが。
この秘密はごく限られた者しか知らん。
なのにあの男ときたら…」
伯爵夫人は疲れたような表情で――いや実際に疲れているのだろう。
大きくため息をはいた。
「新婚当初から、ずっとあの性格だぞ?
もうちょっとしっかりしてくれてもいいのに、
あれでは私が居なくなったらどうするつもりだ…」
なんとなくその苦労が分かるような気がした。
旦那さんがしっかりしてないから、
奥さんがしっかりせざる得なかったと…。
むしろその逆かもしれない。
「すまないが、話はこれで終わろう。
魔族が来ないのであれば、そのように仕事をせねばならんからな…」
「わかりました」
「まぁ、怒鳴ったりして悪かったな…。
何分、丸1日徹夜したせいか、どうしてもイライラしてしまうのだ」
まさか丸1日間もずっと書類書いてたの?
うわぁ…そりゃイライラするわ…。
「わかりました。伯爵夫人もお体に気をつけてください」
「…マティルダでいい。まぁ魔族は来ないと知れて良かった。
私だって領民が死ぬところは見たくないからな」
その言葉で彼女は領民のことを本当に考えているんだと分かった。
「はい、お気をつけて」
そうして私達は領主邸を後にした。
◆
「一時期はどうなることかと思ったけど…」
「なんとかなりましたね」
「なんとかなりましたね、じゃないわよ!
もし伯爵夫人が悪人で、
あなたの力を利用しようとする人だったら、
どうするつもりだったのよ!?」
「うっ…それは確かに」
「しかも空間術の力の元がバレてしまったわ…。
これが実は1番危惧していたことだったのに…」
「そうなんですか」
「実を言うと、
あなたに魔道具の力だって言ってごまかせば良いとは言ったけど、
私も具体的にそれがどういうものか知らなかったの。
でもギルドマスターにそれを教えてもらったのよ。
空間術の魔道具は持ち運び出来るような大きさじゃないって……。
だから急いで調べたら、
本当にその通りだったで驚いたのは何の……」
もしかして誘拐される前に図書館に行っていたのは、
それを調べるためだったのか。
「でもあの後、ゴタゴタしていて、
あなたにそれを伝えるのを忘れていたの。
それに伯爵夫人がそのことを知っているとは思いもしなかったし…」
「あの人全然、頭が空っぽなんかじゃありませんでしたね」
「そうね。
まさか有能な領主の正体が実は女性だったなんて…。
王都からの勧誘を断るはずね。
こんなことがバレたら、とんでもないことになるもの」
「女性が領主だとまずいんですか」
「たぶん一気に反発が来て、
辞めさせようとする勢力がやってくるでしょうね。
それがわかっているから、
彼女は夫と言う隠れ蓑を利用しているんでしょう」
なるほど。そういうことか…。
男尊女卑の世界では、女性が領地を統治するのも難しいらしい。
でも旦那さんは確かに頼りなかったな…。
あれでは伯爵夫人も苦労するだろう。
「やっぱり女性の力は偉大ですね」
「え?」
「だって英雄とか、名君とかって褒められますけど、
実際にはその人を支えた奥さんとか、家族の力って大きいんです」
「確かに…それはそうかもしれないけど」
「それに女性は男性より劣っているとか言う人もいますけど、
実際には女性でも優秀な人が多いんですよ。
エドナさんだって、伯爵夫人だって優秀な人じゃないですか」
「え? あの人はともかく私は別に優秀でもなんでもないと思うけど」
「エドナさんは、優秀ですよ」
「でも私は家事は苦手よ。料理もあんまりやったことないし」
「あ、それですけど…」
私はかねてより思っていた提案をエドナにする。
「しばらくギルドも魔族関連のことで忙しいでしょう。
だから冒険者の仕事を中断して、
私と花嫁修行でもしませんか?」
「花嫁修行?」
「あ、別に結婚したいとかするとか、そういうことじゃなくて。
エドナさんは家事と料理が苦手なんですよね。
だからその苦手を克服するために私と練習しましょうよ」
「いや、でも私は――」
「私だって料理を習い始めた時は、何度も失敗しましたよ。
でも何回もやってたら出来るようになったんです。
それがコンプレックスなら、克服することで無くしちゃいましょう」
そう言うとエドナは驚いた表情をして、とんがり帽子で顔を隠した。
「あ、涙ぐんでいるー」
「な、泣いてないッ」
茶化すようにそう言ったガイにエドナは反論する。
ひょっとしたら彼女の人生で、
こんなことを他人に言われたことはないのかもしれない。
優しくしてくれた人達は、
みんなエドナと深く交流する前に死んでしまった。
だから思った以上に嬉しかったのかもしれない。
「エドナさんってかわいいですね」
「は?」
「なんていうか、内面がとてもかわいいです」
私がそう言うとエドナは信じられない物を見る目をした。
「…そんな事は初めて言われたわ…」
「そうですか?」
「いやだって、みんな美人とは言うけど、
かわいいなんてあまり言われたことがないし…」
「そうですか素直じゃないところがツンデレみたいでかわいいですよ」
あれから私は、
エドナを褒める時はなるべく内面を褒めるようにしている。
エドナは母親と、そっくりの自分にコンプレックスを持っているからな…。
一般的な褒め言葉である美人だとか、スタイル良いとかは、
あんまり言わない方がいいのだ。
それはエドナが嫌いなお母さんを褒めることにもなってしまうから。
「…そのツンデレって何の動物なの?」
「動物じゃないですよ。
普段はツンツンしてて、たまにデレたりする人の事を言うんです」
「ごめん、分からないわ」
「俺は言いたいことが分かったぞ。なるほど確かにエドナはツンデレだな」
「確かにツンデレですね。ぐふふ…」
「だからその笑い方はやめなさい」
そんな風に私達は和やかに話しながら、馬車で宿に向かっていた。
だから私は気がつかなかった。
アアルから何十キロと離れた場所で、小さな花がそっと凍り付いたことを――。
私は気がつけば泣き出していた。
長時間の尋問に、魔族騒動で感じていた罪悪感。
それらの緊張が一気に決壊してしまった瞬間だった。
「ごめんなさい。
森を焼き払ったのも…地震を起こしたのも…私のせいなんですぅ…」
「セツナッ!?」
私が泣きながらそう自白すると、エドナが驚いた声を出した。
「ほう? では魔族の仕業ではなく君の仕業だと?」
伯爵夫人は腕組みをしながらそう言った。
「ひっくっ、えっぐっ…。
あ、アリアドネの森のは、魔物の仕業なんですぅ…。
でもぉ…もうそれは私がぁ…倒しちゃったんでぇ…
だからこの町に魔族が来る事はありませぇん…うえーん!」
それだけ言うと、
私はもう号泣して、号泣して、涙が止まらなかった。
ああ、もう死罪確定だわ。
いや聖眼持ちであることがばれているので、
死罪にはならないけど、軟禁確定かもしれない。
「おい…泣くな」
そう言うと伯爵夫人はハンカチを出してくれた。
そのハンカチを私は受け取り、
ついいつもの癖で鼻をかんでしまった。
「ちょっ…それで鼻をかむなっ。気に入っているんだからっ」
出会ってからずっと無表情だったのに、
珍しく慌てた様子で伯爵夫人はそう言った。
「ご、ごめんなさい…」
「とにかく魔族は来ないんだな…?」
「来ません…私がやったことですし、
私はこの町を滅ぼす気なんてありません」
「すみませんが、よろしいでしょか」
その時、ずっと黙っていたエドナが口を開いた。
「セツナがやった事は近くにいた私にも責任はあります。
どうかセツナの罪は許してやってください」
「それは出来ないな…私にも体面というものがある」
確かにこんな騒動巻き起こしておいて、
お咎めなしというのは通らないだろう。
エドナは大きくため息を吐くと、言葉を出した。
「なら私を投獄してください」
「エドナさんっ」
「私がセツナを唆して、このような事をさせました。
だから罪を与えるなら、私に与えて下さい」
「何を言っているんです!?
だって最初の事件を引き起こした時、
私とエドナさんは出会ってもなかったじゃないですか!?」
「…セツナは聖眼持ちで殺すことは出来ません。
ですがそれでは領民が納得出来ないでしょう。
首謀者ということで、私に罰をお与えください」
「そんなことダメです!
なら私は、エドナさんと一緒にこの国を出ます!」
「ええい、待たんか! 何を勝手に話を進めているっ!
最終的に決めるのは領主である私だ!!」
その時、怒ったように伯爵夫人はそう言った。
領主?
でも領主は男だし、この人はその奥さんだったはずだよな…。
「そもそも今回の事は私が口外しなければ、
誰も気がつかないことだ!
秘密にしておいてやるから、この町を出るのだけは止めろ!」
「秘密にって…見逃してくれるんですか」
「まさか、これだけの騒動を巻き起こしたんだ。
見逃すはずがないだろう」
そう言うと、伯爵夫人は机の方に戻ると椅子に腰掛けた。
「この書類を見ろ。
昼夜問わず働いて、まだこれだけ残っている…っ。
…うちは避暑地で、雨期が過ぎれば観光客が来る。
貴族なども、ここに別荘をいくつか持っている。
だが今回の魔族騒動で、深刻なダメージを受けた。
魔族に壊されてたまらんとばかりに、別荘を売り払う人間や、
それまで予定していた滞在予定をいきなりキャンセルされる始末。
むしろこれを機によその町に逃げようとする人間もいる。
しかも人々の緊張が高まっているせいか、
明らかにここ最近は治安が悪くなっている。
これだけの騒動を引き起こしたお前を見逃すはずがないだろう」
びしっと伯爵夫人は私に指を刺した。
「だから罪は私が負います」
「待ってくださいっ。エドナさんが罪をかぶるぐらいなら私が…」
「だから話は最後まで聞け!!
私はこのことを他の人間には言うつもりはないッ!
そもそも言ったところで、誰がそれを信じるというのだ…!
今回のことは私の胸にしまっておく、
そしてお前もこの件は誰にも言うなっ」
イライラして様子で伯爵夫人はそう言った。
なんだか思った以上に短気な人だな…。
「では、見逃さないとはどういうことですか?」
「…お前…私の元で働いてみないか?」
「え?」
「お前の持っている力は魅力的なものだ。
その力を私の下で使えば、有効にその力を使うことが出来る。
報酬もやる。報酬はそうだな、毎月銀貨30枚でどうだ?」
という事はこの人のところで働くだけで、月30万円?
うわぁ…高い。すごい魅力的…だけど。
「すみませんが、私は誰かの元で働きたくないんです」
「何故?」
…でもこれだけの事をしてしまったのに、
どうやって断ったら――。
そう思っていたら、唇が勝手に動いていた。
「私は1度、権力者の元で監禁されたことがあるんです」
「何?」
「外に出ることすら許されなかった。
ずっとずっと、鉄格子のある部屋に閉じ込められていた…。
だから私はもう誰にも支配されたくないんです」
…寒い部屋だった。それもとてつもなく寒く、
窓の外の景色はずっと変わらなかった。
白い白い雪に覆われた景色。
やがて時間の感覚も無くし、運ばれてきた食事をただ食べる毎日。
日本に帰りたかった。お母さんに会いたかった。
けれど夢の中でしかそこには行けなかった。
「…私は――」
「セツナ…」
その時、エドナの温かい手が私の手を握る。
その瞬間、ぐらぐらしかけていた心が急に元の位置に戻る。
「あ、あれ?」
私は何を言っていたんだったっけ?
「何の話をしていたんでしたっけ?」
そう首をかしげる私を見て、
伯爵夫人は驚いた顔をしたが、やがて顔をそらした。
「それで私の元で働くのは無理なんだな?」
え? いつの間にそういう話になってるの?
まぁでも後でエドナに話を聞けばいいか。
「そうです」
「ならちゃんと責任を取れ、
お前のうっかりでこの町が受けた損害は計り知れない。
今更、魔族が来ませんよなんて言ったとしても、
領民は誰も納得しやしない…。
騎士団も滞在する費用を考えると、
それはそれはものすごい費用になる。
私の下で働くのが無理なら、せめてこの町に貢献しろ」
「貢献?」
「お前は空間術が使えるんだろう。
ならばその能力を生かして、町のために使え。
そしてたまに私の頼みを聞いてくれれば、
今回の事は黙っておいてやる」
「…わかりました。それくらいなら良いですよ」
「はぁ…話には聞いていたが、
予想以上に変わった奴だな。
これだけのことをしでかす能力はあるのに、
傲慢さの欠片も無いとはどういうことだ」
そりゃ元々は私の能力じゃなかったからな。
それまでの私の性格と不一致さがあるのは、
当たり前のことだがこれは言わない。
「それでもう用がないなら、帰りますけど…」
「マティルダー!!」
そうエドナが言った時だった。
いきなりドアを開けて、1人の男の人が入ってきた。
「いきなり男を呼び出すなんてどういうことなんだ!?」
「何を言っているんですか、旦那様」
そういった伯爵夫人に、私達は驚きを隠せなかった。
旦那様と言うことはこの人が領主ということか。
でも…とてもじゃないけど、
一代で町をこれだけ発展させた人には見えない。
姿は淡い茶髪に緑色の瞳。年は40代ぐらいに見える。
美人な伯爵夫人とは対照的に、平凡極まりない顔をしている。
「旦那様、よく見てください。この者達は女性ですよ?
女性とどうやってそういう関係になると言うのですか」
「だが君は前に男に会っていたじゃないか…」
「会っていたのはギルドマスターですよ?
それにあの場にはセバスチャンも同席していたのをお忘れですか?」
「でも君は美人だから…、
君の魅力に気がついた男が君に惚れたらどうするんだい?」
「あのですねぇ…私は旦那様の領主代理として働いているんですよ?
ただでさえ、忙しいのにそんな事する余裕はありません」
え? と私とエドナは声を上げた。
領主代理という事は、この人が真の領主ということか?
でも、そんなこと聞いてないけど。
「で、でも君は――」
「ああ、もうっ、うっとうしいなぁ…!
ただでさえ今は徹夜するぐらいに忙しくて、
イライラしているだよ!!
そんなことを言うぐらいなら、
ちょっとは私の仕事を手伝え!!」
そう言うと伯爵夫人は夫の頭を叩いた。
「だいたいお前が頼りないから、私が代わりに領主やってんだろ!
でも女の私が領地を統率しているて知られたら、苦情が来るから、
お前が領主だってことになってんだぞ!!
だったらもうちょっと、しっかりしろ!」
「ご、ごめん…」
そう言うと領主…ということになっているが、
実は違うらしい旦那さんはシュンと体を小さくした。
その様子に伯爵夫人はため息を吐くと、
静かな口調で話し始めた。
「というわけで旦那様。あなたにしか出来ない仕事は後で頼みます。
だから今は部屋に戻っていてください。
ただでさえ今は徹夜しているせいで、イライラしているんです」
「うん、わかった…」
そう言うと旦那さんは部屋を出ていった。
伯爵夫人は大きくため息を吐いた。
「思わぬところで私の秘密が知られてしまったな…」
「ちゃんと、黙っておきますよ…」
「まぁ説明しておくが、
あの男は一応…領主ということになっているが、
見ての通りボンクラでな。
あまりに情けなくて、私が代わりに領地を統治して、
もう20年以上になる」
「じゃあ。この町を地方都市にまでしたのは――」
「当然私の功績だ。まぁ私1人の力ではないが。
この秘密はごく限られた者しか知らん。
なのにあの男ときたら…」
伯爵夫人は疲れたような表情で――いや実際に疲れているのだろう。
大きくため息をはいた。
「新婚当初から、ずっとあの性格だぞ?
もうちょっとしっかりしてくれてもいいのに、
あれでは私が居なくなったらどうするつもりだ…」
なんとなくその苦労が分かるような気がした。
旦那さんがしっかりしてないから、
奥さんがしっかりせざる得なかったと…。
むしろその逆かもしれない。
「すまないが、話はこれで終わろう。
魔族が来ないのであれば、そのように仕事をせねばならんからな…」
「わかりました」
「まぁ、怒鳴ったりして悪かったな…。
何分、丸1日徹夜したせいか、どうしてもイライラしてしまうのだ」
まさか丸1日間もずっと書類書いてたの?
うわぁ…そりゃイライラするわ…。
「わかりました。伯爵夫人もお体に気をつけてください」
「…マティルダでいい。まぁ魔族は来ないと知れて良かった。
私だって領民が死ぬところは見たくないからな」
その言葉で彼女は領民のことを本当に考えているんだと分かった。
「はい、お気をつけて」
そうして私達は領主邸を後にした。
◆
「一時期はどうなることかと思ったけど…」
「なんとかなりましたね」
「なんとかなりましたね、じゃないわよ!
もし伯爵夫人が悪人で、
あなたの力を利用しようとする人だったら、
どうするつもりだったのよ!?」
「うっ…それは確かに」
「しかも空間術の力の元がバレてしまったわ…。
これが実は1番危惧していたことだったのに…」
「そうなんですか」
「実を言うと、
あなたに魔道具の力だって言ってごまかせば良いとは言ったけど、
私も具体的にそれがどういうものか知らなかったの。
でもギルドマスターにそれを教えてもらったのよ。
空間術の魔道具は持ち運び出来るような大きさじゃないって……。
だから急いで調べたら、
本当にその通りだったで驚いたのは何の……」
もしかして誘拐される前に図書館に行っていたのは、
それを調べるためだったのか。
「でもあの後、ゴタゴタしていて、
あなたにそれを伝えるのを忘れていたの。
それに伯爵夫人がそのことを知っているとは思いもしなかったし…」
「あの人全然、頭が空っぽなんかじゃありませんでしたね」
「そうね。
まさか有能な領主の正体が実は女性だったなんて…。
王都からの勧誘を断るはずね。
こんなことがバレたら、とんでもないことになるもの」
「女性が領主だとまずいんですか」
「たぶん一気に反発が来て、
辞めさせようとする勢力がやってくるでしょうね。
それがわかっているから、
彼女は夫と言う隠れ蓑を利用しているんでしょう」
なるほど。そういうことか…。
男尊女卑の世界では、女性が領地を統治するのも難しいらしい。
でも旦那さんは確かに頼りなかったな…。
あれでは伯爵夫人も苦労するだろう。
「やっぱり女性の力は偉大ですね」
「え?」
「だって英雄とか、名君とかって褒められますけど、
実際にはその人を支えた奥さんとか、家族の力って大きいんです」
「確かに…それはそうかもしれないけど」
「それに女性は男性より劣っているとか言う人もいますけど、
実際には女性でも優秀な人が多いんですよ。
エドナさんだって、伯爵夫人だって優秀な人じゃないですか」
「え? あの人はともかく私は別に優秀でもなんでもないと思うけど」
「エドナさんは、優秀ですよ」
「でも私は家事は苦手よ。料理もあんまりやったことないし」
「あ、それですけど…」
私はかねてより思っていた提案をエドナにする。
「しばらくギルドも魔族関連のことで忙しいでしょう。
だから冒険者の仕事を中断して、
私と花嫁修行でもしませんか?」
「花嫁修行?」
「あ、別に結婚したいとかするとか、そういうことじゃなくて。
エドナさんは家事と料理が苦手なんですよね。
だからその苦手を克服するために私と練習しましょうよ」
「いや、でも私は――」
「私だって料理を習い始めた時は、何度も失敗しましたよ。
でも何回もやってたら出来るようになったんです。
それがコンプレックスなら、克服することで無くしちゃいましょう」
そう言うとエドナは驚いた表情をして、とんがり帽子で顔を隠した。
「あ、涙ぐんでいるー」
「な、泣いてないッ」
茶化すようにそう言ったガイにエドナは反論する。
ひょっとしたら彼女の人生で、
こんなことを他人に言われたことはないのかもしれない。
優しくしてくれた人達は、
みんなエドナと深く交流する前に死んでしまった。
だから思った以上に嬉しかったのかもしれない。
「エドナさんってかわいいですね」
「は?」
「なんていうか、内面がとてもかわいいです」
私がそう言うとエドナは信じられない物を見る目をした。
「…そんな事は初めて言われたわ…」
「そうですか?」
「いやだって、みんな美人とは言うけど、
かわいいなんてあまり言われたことがないし…」
「そうですか素直じゃないところがツンデレみたいでかわいいですよ」
あれから私は、
エドナを褒める時はなるべく内面を褒めるようにしている。
エドナは母親と、そっくりの自分にコンプレックスを持っているからな…。
一般的な褒め言葉である美人だとか、スタイル良いとかは、
あんまり言わない方がいいのだ。
それはエドナが嫌いなお母さんを褒めることにもなってしまうから。
「…そのツンデレって何の動物なの?」
「動物じゃないですよ。
普段はツンツンしてて、たまにデレたりする人の事を言うんです」
「ごめん、分からないわ」
「俺は言いたいことが分かったぞ。なるほど確かにエドナはツンデレだな」
「確かにツンデレですね。ぐふふ…」
「だからその笑い方はやめなさい」
そんな風に私達は和やかに話しながら、馬車で宿に向かっていた。
だから私は気がつかなかった。
アアルから何十キロと離れた場所で、小さな花がそっと凍り付いたことを――。
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