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番外編 〜2人の夏休み〜
モートン島と最後の1日①
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(由良side)
「風が気持ちいいですね。」
額に手を当てながら眩しそうに幹斗君が笑う、その言葉に僕はそうだね、とうなずく。
僕と同じ色の肩までの髪が風にそよぎ、海から乱反射した光に照らされた端正な横顔をより美しく魅せた。
オーストラリアに到着して3日目、僕たちはバスと船を乗り継ぎモートン島という島に来ている。
ここではイルカに餌をあげたりホエールウォッチングをしたりできるらしい。
彼が乗り物酔いしやすいからとホエールウォッチングはプランに入れなかったが、彼はそれを少し残念そうにしていた。
その分今回のツアー客に用意されている専用のラウンジでゆっくりできるよう、ゲームや本などを持ってきたことは、まだ内緒にしている。
喜んでもらえたらいいな。
「少しじっとしていて。」
言いながら幹斗君の髪をそっと耳にかけ、持ってきたサングラスを彼につけると、彼は頬を赤らめて少し俯いた。
淡い空色のサングラスは彼のために選んだものだが、想像以上に似合っていて愛おしい。
「あの、ありがとうございます。」
「君のために選んだんだ。よく似合っているね。」
「…!?い、いくらしたんですか…?」
「幹斗君がつけた時点で無料になった。」
「…それは嘘です…。」
「ごめん、聞き取れなかったからもう一度言って。」
嘘じゃないよ、なんて言っても彼はきっと認めてくれないだろうから、華奢な顎を掬いglareを放ってその口を止める。
「!!…ずるい…です…。…格好良すぎて。」
…それは僕の台詞だよ、と、慌てたそぶりで両手を振る彼の仕草を見て思った。
「ひとまずビーチを歩こうか。」
「はい、由良さん。」
手を差し伸べれば、僕とお揃いの指輪をした手が一本一本指を絡ませぎゅっと僕の手を握る。
愛おしくてたまらない。
彼と出会ってから何度言ったかわからないその台詞をまた心の中で呟きながら、彼の手を引き歩みを進めた。
「風が気持ちいいですね。」
額に手を当てながら眩しそうに幹斗君が笑う、その言葉に僕はそうだね、とうなずく。
僕と同じ色の肩までの髪が風にそよぎ、海から乱反射した光に照らされた端正な横顔をより美しく魅せた。
オーストラリアに到着して3日目、僕たちはバスと船を乗り継ぎモートン島という島に来ている。
ここではイルカに餌をあげたりホエールウォッチングをしたりできるらしい。
彼が乗り物酔いしやすいからとホエールウォッチングはプランに入れなかったが、彼はそれを少し残念そうにしていた。
その分今回のツアー客に用意されている専用のラウンジでゆっくりできるよう、ゲームや本などを持ってきたことは、まだ内緒にしている。
喜んでもらえたらいいな。
「少しじっとしていて。」
言いながら幹斗君の髪をそっと耳にかけ、持ってきたサングラスを彼につけると、彼は頬を赤らめて少し俯いた。
淡い空色のサングラスは彼のために選んだものだが、想像以上に似合っていて愛おしい。
「あの、ありがとうございます。」
「君のために選んだんだ。よく似合っているね。」
「…!?い、いくらしたんですか…?」
「幹斗君がつけた時点で無料になった。」
「…それは嘘です…。」
「ごめん、聞き取れなかったからもう一度言って。」
嘘じゃないよ、なんて言っても彼はきっと認めてくれないだろうから、華奢な顎を掬いglareを放ってその口を止める。
「!!…ずるい…です…。…格好良すぎて。」
…それは僕の台詞だよ、と、慌てたそぶりで両手を振る彼の仕草を見て思った。
「ひとまずビーチを歩こうか。」
「はい、由良さん。」
手を差し伸べれば、僕とお揃いの指輪をした手が一本一本指を絡ませぎゅっと僕の手を握る。
愛おしくてたまらない。
彼と出会ってから何度言ったかわからないその台詞をまた心の中で呟きながら、彼の手を引き歩みを進めた。
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