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番外編 〜2人の夏休み〜
異国の地で 10
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「あっ、あのっ…。」
なんでもないです、と言いかけて口を噤む。
どうせ嘘をついたってすぐにバレてしまうのだ。
それにもう彼の目には俺の下半身だって見えているだろうし…。
「…由良さんのこと考えてたら熱くなっちゃって、…でも、明日もあるから、由良さんの手を煩わせたくなくて…。」
意味がないとわかりつつも局部を隠しながら答えた。
あまりの気まずさに俯こうとしたが叶わず、彼の人差し指が顎に当てられ優しく上をむかされる。
…ああもう最悪だ。恥ずかしいしはしたない。きっと呆れられてしまう。
見上げた先で彼の美しい瞳が視界いっぱいに映る。
紫紺の瞳からglareが放たれていることがわかり一瞬身がすくんだが、そのglareは冷たいものではなく、むしろ愛おしいと言わんばかりに甘かった。
「幹斗。」
続けて端正な唇が優しい声音で紡ぐ。
驚いて大きく目を瞬かせた俺を、彼はぎゅっと目を細め幸せそうに見つめた。
どうしよう。落ち着かなければいけないのに余計に身体が熱くなる。
だって記憶の中の彼でさえも俺の身体を熱くするのに十分なのだ。
心臓がうるさいし、顔は熱いし、自分の下半身がどうなっているかは怖くて見ることができない。
ああ、この状況でまだはっきりとその部分が主張してしまっているなんて、これでは由良さんに呆れられてしまう。
「自分でしようとしたの?」
「…はい。」
「それでできなかったんだ。」
「…はい、ごめんなさっ…んんっ…!」
突然背中に手を当て引き寄せられ、噛み付くように唇を奪われた。
戸惑う俺の唇の間から熱い舌がねじ込まれ口内を犯す。
バスルームにいるせいでぴちゃぴちゃと互いの唾液を交換する音がやけに大きく響くから、気持ち良すぎてだんだんと訳がわからなくなってきた。
…あっ、これじゃあ由良さんの服、濡れちゃう…。
気づいてとっさに離れようとしたもののしっかりと節ばった男の手に腰を支えられているためびくともしない。
そればかりか下半身に熱が溜まりすぎて腰が抜けてしまった。
結果的に由良さんの腕に体重を預ける構図になる。
そこまででやっと唇が解放された。
そのまま今度はぎゅっと抱きしめられ頭を撫でられる。
「僕がいないと達することができないように君の身体に教えたから、1人で達することができないのは当然だよ。
…かわいい、幹斗。今楽にしてあげるね。」
ひどく官能的な声が鼓膜を震わせ、全身が震えた。
…治まれ、心臓…。
今俺たちの間にあるのは由良さんのシャツ一枚だけ。
これでは由良さんにこの鼓動が伝わってしまうから、早く離してほしい。
…ああでも、彼の温もりが離れてしまうのは寂しいから、ずっと抱きしめていてほしい。
なんでもないです、と言いかけて口を噤む。
どうせ嘘をついたってすぐにバレてしまうのだ。
それにもう彼の目には俺の下半身だって見えているだろうし…。
「…由良さんのこと考えてたら熱くなっちゃって、…でも、明日もあるから、由良さんの手を煩わせたくなくて…。」
意味がないとわかりつつも局部を隠しながら答えた。
あまりの気まずさに俯こうとしたが叶わず、彼の人差し指が顎に当てられ優しく上をむかされる。
…ああもう最悪だ。恥ずかしいしはしたない。きっと呆れられてしまう。
見上げた先で彼の美しい瞳が視界いっぱいに映る。
紫紺の瞳からglareが放たれていることがわかり一瞬身がすくんだが、そのglareは冷たいものではなく、むしろ愛おしいと言わんばかりに甘かった。
「幹斗。」
続けて端正な唇が優しい声音で紡ぐ。
驚いて大きく目を瞬かせた俺を、彼はぎゅっと目を細め幸せそうに見つめた。
どうしよう。落ち着かなければいけないのに余計に身体が熱くなる。
だって記憶の中の彼でさえも俺の身体を熱くするのに十分なのだ。
心臓がうるさいし、顔は熱いし、自分の下半身がどうなっているかは怖くて見ることができない。
ああ、この状況でまだはっきりとその部分が主張してしまっているなんて、これでは由良さんに呆れられてしまう。
「自分でしようとしたの?」
「…はい。」
「それでできなかったんだ。」
「…はい、ごめんなさっ…んんっ…!」
突然背中に手を当て引き寄せられ、噛み付くように唇を奪われた。
戸惑う俺の唇の間から熱い舌がねじ込まれ口内を犯す。
バスルームにいるせいでぴちゃぴちゃと互いの唾液を交換する音がやけに大きく響くから、気持ち良すぎてだんだんと訳がわからなくなってきた。
…あっ、これじゃあ由良さんの服、濡れちゃう…。
気づいてとっさに離れようとしたもののしっかりと節ばった男の手に腰を支えられているためびくともしない。
そればかりか下半身に熱が溜まりすぎて腰が抜けてしまった。
結果的に由良さんの腕に体重を預ける構図になる。
そこまででやっと唇が解放された。
そのまま今度はぎゅっと抱きしめられ頭を撫でられる。
「僕がいないと達することができないように君の身体に教えたから、1人で達することができないのは当然だよ。
…かわいい、幹斗。今楽にしてあげるね。」
ひどく官能的な声が鼓膜を震わせ、全身が震えた。
…治まれ、心臓…。
今俺たちの間にあるのは由良さんのシャツ一枚だけ。
これでは由良さんにこの鼓動が伝わってしまうから、早く離してほしい。
…ああでも、彼の温もりが離れてしまうのは寂しいから、ずっと抱きしめていてほしい。
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