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番外編 〜2人の夏休み〜
異国の地で④
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「ファ◯タって書いてあったけど…これ、何味でしょう…?」
話し合いで決めた通りハンバーガーショップに行くと、幹斗君は頼んだ炭酸飲料の蓋を開けて不思議そうに小首を傾げた。
確かに、オレンジ色をしているが馴染みのファンタより明らかに色が濃い。
どちらかといえばオレンジジュースというよりは野菜ジュースの色に似ている。
「本当だ、何味だろう…?」
僕も分からずに首を振ると、首を傾げた状態のまま幹斗君がストローを口に含み口元に笑みを浮かべた。
甘いものが好きなところもかわいらしい。
「甘くて美味しいです。何の味だかはわからないですが、美味しいです。」
「それはよかった。食事も食べて。」
「はい。いただきます。」
幹斗君はそう言って目の前のハンバーガーを楽しそうに両手に持ったが、すぐにそれをじっと見つめてなにやら困惑した表情を浮かべた。
口をぱくぱくしている様子からしてハンバーガーの高さに戸惑っているのだろう。
大きく目を見開きぱちぱちと目を瞬かせるあどけない表情が愛おしい。
潰して食べればいい、と教えるべきだったのにその行動があまりにも微笑ましくてつい見惚れてしまった。
彼は観念したようにそのまま小さな口を大きく開きそれを含んだ。
無理やり詰め込んだせいで頬がハムスターのように膨れている。
頬を膨らませるだけならぎりぎり堪えることができたのだが、テンプレートのように唇の端にソースをつけているから微笑ましすぎてもうダメだった。
口に手を当て、思わず笑ってしまう。
「!!」
それに気づいた彼が慌てて口を手で隠そうとしたから、その前に彼の唇のソースをハンカチで拭った。
このままでは両手についてしまうと思って。
真っ赤になって俯く姿に余計にくすぐられるいたずら心を抑え、僕もハンバーガーに手をつける。
肉感がしっかりしているしチーズが舌に絡まりとても美味しい。
彼とこの場所で食べることができる幸せもあって今まで食べたハンバーガーの中で1番美味しく感じた。
この旅行だって、まだ始まったばかりなのにすでに今まで行ったどの旅行とも圧倒的な差をつけて1番楽しい。
…僕にとって1番の君が、ずっとそばにいるからだね。
話し合いで決めた通りハンバーガーショップに行くと、幹斗君は頼んだ炭酸飲料の蓋を開けて不思議そうに小首を傾げた。
確かに、オレンジ色をしているが馴染みのファンタより明らかに色が濃い。
どちらかといえばオレンジジュースというよりは野菜ジュースの色に似ている。
「本当だ、何味だろう…?」
僕も分からずに首を振ると、首を傾げた状態のまま幹斗君がストローを口に含み口元に笑みを浮かべた。
甘いものが好きなところもかわいらしい。
「甘くて美味しいです。何の味だかはわからないですが、美味しいです。」
「それはよかった。食事も食べて。」
「はい。いただきます。」
幹斗君はそう言って目の前のハンバーガーを楽しそうに両手に持ったが、すぐにそれをじっと見つめてなにやら困惑した表情を浮かべた。
口をぱくぱくしている様子からしてハンバーガーの高さに戸惑っているのだろう。
大きく目を見開きぱちぱちと目を瞬かせるあどけない表情が愛おしい。
潰して食べればいい、と教えるべきだったのにその行動があまりにも微笑ましくてつい見惚れてしまった。
彼は観念したようにそのまま小さな口を大きく開きそれを含んだ。
無理やり詰め込んだせいで頬がハムスターのように膨れている。
頬を膨らませるだけならぎりぎり堪えることができたのだが、テンプレートのように唇の端にソースをつけているから微笑ましすぎてもうダメだった。
口に手を当て、思わず笑ってしまう。
「!!」
それに気づいた彼が慌てて口を手で隠そうとしたから、その前に彼の唇のソースをハンカチで拭った。
このままでは両手についてしまうと思って。
真っ赤になって俯く姿に余計にくすぐられるいたずら心を抑え、僕もハンバーガーに手をつける。
肉感がしっかりしているしチーズが舌に絡まりとても美味しい。
彼とこの場所で食べることができる幸せもあって今まで食べたハンバーガーの中で1番美味しく感じた。
この旅行だって、まだ始まったばかりなのにすでに今まで行ったどの旅行とも圧倒的な差をつけて1番楽しい。
…僕にとって1番の君が、ずっとそばにいるからだね。
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