220 / 261
番外編 〜2人の夏休み〜
準備と飛行機④
しおりを挟む
「…えっと…。」
メニューを見て驚く。
席に着いた時からずっと由良さんは2人共に見えるように机にメニューを開いて置いていてくれたのに、その中の一品たりとも俺の頭には入っていない。
メニューが視界に入らず由良さんばかり見ていた証拠だ。
気を取り直してメニューに目を通すと、どれも美味しそうなものばかりで迷ってしまう。
とくにサーモンとアボカドの丼と牛肉とズッキーニの炒め物がどちらも美味しそうでなかなか選べない。
「違うのを頼んで一緒に食べようか。これとこれで迷ってるんでしょう?」
しばらくして由良さんがそう言って指し示した二つは、まさに俺が迷っている二つだった。
「すごい…何でわかったんですか?」
「幹斗君のご飯を食べているうちに味覚が似てきたのかもしれないね。当たってよかった。
すみません、注文お願いします。」
しれっと答えたあと、由良さんが店員さんを呼び2人分の料理を注文してくれる。
店員さんは女性で、はじめ由良さんを見て驚いたように目を大きく開いたが、次に彼の左手の指輪を見て少し残念そうに目を伏せた。
…こういうの、喜ぶのって性格悪いかな…?
そうも思ったが、やはりその節張った男らしい手の薬指を自分が独り占めしていると思うと、口元が綻んでしまう。
こんなに格好良くて優しくて素敵な人が、自分のパートナーで恋人だなんて。
「幹斗君、何かいいことあった?」
「はい。」
いいこと、といえば由良さんと過ごす瞬間全てを言うのだろう。
迷いなく頷けば紫紺の瞳が優しく揺らいで、大きな手に頬を撫でられた。
まだ空港で、これからきっともっと楽しいことがたくさんあるのに、もうこんなに楽しくてどうしよう。
幸せでたまらない。
メニューを見て驚く。
席に着いた時からずっと由良さんは2人共に見えるように机にメニューを開いて置いていてくれたのに、その中の一品たりとも俺の頭には入っていない。
メニューが視界に入らず由良さんばかり見ていた証拠だ。
気を取り直してメニューに目を通すと、どれも美味しそうなものばかりで迷ってしまう。
とくにサーモンとアボカドの丼と牛肉とズッキーニの炒め物がどちらも美味しそうでなかなか選べない。
「違うのを頼んで一緒に食べようか。これとこれで迷ってるんでしょう?」
しばらくして由良さんがそう言って指し示した二つは、まさに俺が迷っている二つだった。
「すごい…何でわかったんですか?」
「幹斗君のご飯を食べているうちに味覚が似てきたのかもしれないね。当たってよかった。
すみません、注文お願いします。」
しれっと答えたあと、由良さんが店員さんを呼び2人分の料理を注文してくれる。
店員さんは女性で、はじめ由良さんを見て驚いたように目を大きく開いたが、次に彼の左手の指輪を見て少し残念そうに目を伏せた。
…こういうの、喜ぶのって性格悪いかな…?
そうも思ったが、やはりその節張った男らしい手の薬指を自分が独り占めしていると思うと、口元が綻んでしまう。
こんなに格好良くて優しくて素敵な人が、自分のパートナーで恋人だなんて。
「幹斗君、何かいいことあった?」
「はい。」
いいこと、といえば由良さんと過ごす瞬間全てを言うのだろう。
迷いなく頷けば紫紺の瞳が優しく揺らいで、大きな手に頬を撫でられた。
まだ空港で、これからきっともっと楽しいことがたくさんあるのに、もうこんなに楽しくてどうしよう。
幸せでたまらない。
1
お気に入りに追加
696
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
狂宴〜接待させられる美少年〜
はる
BL
アイドル級に可愛い18歳の美少年、空。ある日、空は何者かに拉致監禁され、ありとあらゆる"性接待"を強いられる事となる。
※めちゃくちゃ可愛い男の子がひたすらエロい目に合うお話です。8割エロです。予告なく性描写入ります。
※この辺のキーワードがお好きな方にオススメです
⇒「美少年受け」「エロエロ」「総受け」「複数」「調教」「監禁」「触手」「衆人環視」「羞恥」「視姦」「モブ攻め」「オークション」「快楽地獄」「男体盛り」etc
※痛い系の描写はありません(可哀想なので)
※ピーナッツバター、永遠の夏に出てくる空のパラレル話です。この話だけ別物と考えて下さい。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
解放
papiko
BL
過去にCommandされ、名前を忘れた白銀の髪を持つ青年。年齢も分からず、前のDomさえ分からない。瞳は暗く影が落ち、黒ずんで何も映さない。
偶々、甘やかしたいタイプのアルベルに拾われ名前を貰った白銀の青年、ロイハルト。
アルベルが何十という数のDomに頼み込んで、ロイハルトをDropから救い出そうとした。
――――そして、アルベル苦渋の決断の末、選ばれたアルベルの唯一無二の親友ヴァイス。
これは、白銀の青年が解放される話。
〘本編完結済み〙
※ダイナミクスの設定を理解してる上で進めています。一応、説明じみたものはあります。
※ダイナミクスのオリジナル要素あります。
※3Pのつもりですが全くやってません。
※番外編、書けたら書こうと思います。
【リクエストがあれば執筆します。】
生意気ユカちゃん♂わからせ調教
おさかな
BL
大学デビューした元陰キャの湯川晶は、女装写真を使ってマッチングアプリで女性のふりをして悪戯をしていた。そんなことを繰り返しているうち、騙していた男たちに身バレしてとあるヤリ部屋に強制連行されてしまう……
+++++
凌○モノなのでひどい言葉や表現が多数あります。暴力はスパンキング程度。無理やり/おくすりプレイ/快楽堕ち/羞恥 などなど
諸々モラルに反する表現がありますが本作品はそれらの行為を決して推奨するものではございません。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる