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第2部
帰省②
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「幹斗君、僕の勘違いだったらごめんね。さっきもここを通った気が…。」
駅に着きしばらくして、気まずそうに由良さんから言われぎくりとした。
最寄り駅で道に迷うなんて俄かには信じ難いが、やはり迷っていたらしい。
「…いえ、俺もそんな気がします…。窓口を探しているのですが…。」
「窓口?」
「学割を使いたいので…。」
「なるほど。幹斗君、そういうところもしっかりしているね。」
甘いglareとともにぽんぽんと頭を撫でられる。
こんなところで恥ずかしい。…でも、褒められてとても嬉しい。
学割申請のたび窓口を探して迷うのだが、往復で2,000円程度割り引かれるので重宝している。
「ところで窓口ならすぐそこにあるよ。」
俺の隣に視線を向けながら愉快そうに彼が笑った。
「えっ…!?」
彼と同じ方向を見ると、確かにそこはみどりの窓口がある。
灯台下暗し。
ずっと俺は窓口のそばでそれを認識できずに彷徨っていたらしい。
「…もしかして俺、方向音痴なのかな…?」
「そんなことはないよ。ちゃんと大学まで迷わずにいけるでしょう?この駅で窓口を探すのは初めてだから迷ってしまっただけだよ。」
…そっか。確かに。
由良さんの言葉に納得してからふと時計に目をやると、乗ろうとしていた便の発車時刻が迫っている。
「あの、急いで買ってきます!」
「余裕を持って着くようにしているから焦らないで…っと、危ない。」
慌てていたせいか手を離した瞬間に転んでしまいそうになった俺を、由良さんが咄嗟に引き寄せ支えてくれた。
腰に添えられた手の頼もしさに安心して身体からはあっさりと力が抜ける。
「ありがとうございま…っ!?」
しかし感謝を告げようと見上げた瞬間に由良さんと視線が交錯し、その場で動揺して動けなくなってしまった。
由良さんの顔が近すぎてどうしよう。心臓がうるさい。
離れなきゃ、と思うのに、不意打ちで格好良さを供給過多されたからどきどきしすぎて腰が抜けてしまった。
そもそも由良さんの顔が理想的すぎる上に行動も格好良すぎるのがいけないのだと思う。
これでは祖母から理想が高すぎる認定を受けるに違いない。
「急がなくていいから、気をつけて。」
さらに身体を離される直前に色っぽい声でそっと囁かれ、危うくもう一度転倒しそうになりながらなんとか窓口へと向かった。
“ねーさっきの見た??”
“ドラマの撮影かと思ったわ!一度でいいからあんな人と付き合いたい…。”
近くから声が聞こえてくる。
すみません、この人は俺の主人なので誰にもあげられません。でもお気持ちはとてもよくわかります。
心の中でそっと周りの声にお返しをしておいた。
由良さんが格好いいのは俺が一番よくわかっているから、特に嫉妬などはしない。
むしろ全力で同意する。
駅に着きしばらくして、気まずそうに由良さんから言われぎくりとした。
最寄り駅で道に迷うなんて俄かには信じ難いが、やはり迷っていたらしい。
「…いえ、俺もそんな気がします…。窓口を探しているのですが…。」
「窓口?」
「学割を使いたいので…。」
「なるほど。幹斗君、そういうところもしっかりしているね。」
甘いglareとともにぽんぽんと頭を撫でられる。
こんなところで恥ずかしい。…でも、褒められてとても嬉しい。
学割申請のたび窓口を探して迷うのだが、往復で2,000円程度割り引かれるので重宝している。
「ところで窓口ならすぐそこにあるよ。」
俺の隣に視線を向けながら愉快そうに彼が笑った。
「えっ…!?」
彼と同じ方向を見ると、確かにそこはみどりの窓口がある。
灯台下暗し。
ずっと俺は窓口のそばでそれを認識できずに彷徨っていたらしい。
「…もしかして俺、方向音痴なのかな…?」
「そんなことはないよ。ちゃんと大学まで迷わずにいけるでしょう?この駅で窓口を探すのは初めてだから迷ってしまっただけだよ。」
…そっか。確かに。
由良さんの言葉に納得してからふと時計に目をやると、乗ろうとしていた便の発車時刻が迫っている。
「あの、急いで買ってきます!」
「余裕を持って着くようにしているから焦らないで…っと、危ない。」
慌てていたせいか手を離した瞬間に転んでしまいそうになった俺を、由良さんが咄嗟に引き寄せ支えてくれた。
腰に添えられた手の頼もしさに安心して身体からはあっさりと力が抜ける。
「ありがとうございま…っ!?」
しかし感謝を告げようと見上げた瞬間に由良さんと視線が交錯し、その場で動揺して動けなくなってしまった。
由良さんの顔が近すぎてどうしよう。心臓がうるさい。
離れなきゃ、と思うのに、不意打ちで格好良さを供給過多されたからどきどきしすぎて腰が抜けてしまった。
そもそも由良さんの顔が理想的すぎる上に行動も格好良すぎるのがいけないのだと思う。
これでは祖母から理想が高すぎる認定を受けるに違いない。
「急がなくていいから、気をつけて。」
さらに身体を離される直前に色っぽい声でそっと囁かれ、危うくもう一度転倒しそうになりながらなんとか窓口へと向かった。
“ねーさっきの見た??”
“ドラマの撮影かと思ったわ!一度でいいからあんな人と付き合いたい…。”
近くから声が聞こえてくる。
すみません、この人は俺の主人なので誰にもあげられません。でもお気持ちはとてもよくわかります。
心の中でそっと周りの声にお返しをしておいた。
由良さんが格好いいのは俺が一番よくわかっているから、特に嫉妬などはしない。
むしろ全力で同意する。
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