191 / 261
第2部
前夜②
しおりを挟む
「…眠れない?」
夜、眠れないでいる俺の耳元で穏やかな声が凛と囁いた。
この人はいつだってそうだ。俺のことをとても良く見ていて、全てを受け入れるかのように優しく温かく包み込んでくれる。
「少し不安になってしまって…。」
呟けば、彼は俺を見つめ切れ長の瞳を柔らかに細めた。
「そうだね、心配事が二つもある。行くことを決断できた幹斗君はとても偉い。」
抱きしめる腕の力が強くなり、骨張った大きな手が宥めるように頭を撫でてくれる。
彼の温もりに安心する一方で、彼の声、逞しい体、優しい眼差しに胸がぎゅっと切なく締め付けられ、身体が熱を帯びた。
…欲しい。
明日に備えて寝なくてはならないのに、この人が欲しいとはしたなく望んでしまう。
一度望んでしまえばもう沈めることはできなくて、あと俺自身にできるのは、ただこの熱に耐えることだけ。
緩く屹立する下半身を自分で治めることは不可能だと知っているので、あえて無駄骨を折ることはしない。
きっと今夜は寝れなくて、明日電車の中で爆睡することになるだろう。
でもいいか。この腕の中にいられることが幸せだから。
そんなことを考えていると、疼いていた下半身の屹立に突然自身ではない何かが触れた。
「すごく熱い。したいの?幹斗君。」
そのまま艶っぽい声が妖しく響き、脳を甘く震わせる。
もしかしてと思い布団をめくれば、由良さんの手が俺のそこに触れていた。
「あ、の…。えっと…。」
どうしよう、すごく恥ずかしい。
混乱して口を開けて固まった俺の瞳を由良さんがじっと覗き込んでくる。
そのまま形の良い唇が淡く開き、紫紺の瞳からは強いglareが放たれて。
「Say、幹斗。」
やばい、と思った時にはもう手遅れだった。
放たれたcommandは圧倒的な力を持って響き、俺に拒否権を与えない。
理性が全く働かず、本能が彼に従う。
「由良さんのこれ、欲しいです…。」
プレイの時と同じ。頭のどこかではやめろと念じているのに、彼の支配で歓ぶ身体は引き寄せられるように彼のそこに手を伸ばし、口からは勝手にはしたない言葉が出てきてそれを望んで。
「どこに?」
揶揄われるように言われ、恥ずかしくて顔がかっと熱くなる。
「…意地悪、する…?」
じっと彼の瞳を覗いて尋ねれば、彼は柔らかく微笑んで。
「ごめん、しないよ。体調は大丈夫?」
「大丈夫だから、…早く、欲しいです…。」
宝物を扱うような、どこまでも優しい声が嬉しくて、子供みたいに縋った。
しかし彼は静かに首を横に振る。
…どうして?由良さんはしたくない…?
「そんな顔をしないで。いつも丁寧に準備しているでしょう?今日もそうさせて。ほら、力を抜いて。」
不安で瞳を潤ませた俺の唇を彼は優しく彼のそれで塞いで、同時に俺の寝間着のボタンを外し、胸の突起を緩く擦った。
「ぁっ…。いやっ…。」
漏らした声はひどく甘ったるく響き、俺が悦んでいることを明白にしてしまう。
「かわいい、幹斗。もっとしようね。」
熱を帯びた声とともに今度は彼の唇が乳頭にじゅ、と吸い付いた。
おかしくなってしまうからそこはやめてと言いたいのに、声を抑えようと噛んだ唇は彼の親指でいとも簡単に開かれてしまい、唇の間から漏れ出た喘ぎは明確に彼の行為への肯定を示していて、それに応えるように丁寧な愛撫が次第に加速していく。
夜、眠れないでいる俺の耳元で穏やかな声が凛と囁いた。
この人はいつだってそうだ。俺のことをとても良く見ていて、全てを受け入れるかのように優しく温かく包み込んでくれる。
「少し不安になってしまって…。」
呟けば、彼は俺を見つめ切れ長の瞳を柔らかに細めた。
「そうだね、心配事が二つもある。行くことを決断できた幹斗君はとても偉い。」
抱きしめる腕の力が強くなり、骨張った大きな手が宥めるように頭を撫でてくれる。
彼の温もりに安心する一方で、彼の声、逞しい体、優しい眼差しに胸がぎゅっと切なく締め付けられ、身体が熱を帯びた。
…欲しい。
明日に備えて寝なくてはならないのに、この人が欲しいとはしたなく望んでしまう。
一度望んでしまえばもう沈めることはできなくて、あと俺自身にできるのは、ただこの熱に耐えることだけ。
緩く屹立する下半身を自分で治めることは不可能だと知っているので、あえて無駄骨を折ることはしない。
きっと今夜は寝れなくて、明日電車の中で爆睡することになるだろう。
でもいいか。この腕の中にいられることが幸せだから。
そんなことを考えていると、疼いていた下半身の屹立に突然自身ではない何かが触れた。
「すごく熱い。したいの?幹斗君。」
そのまま艶っぽい声が妖しく響き、脳を甘く震わせる。
もしかしてと思い布団をめくれば、由良さんの手が俺のそこに触れていた。
「あ、の…。えっと…。」
どうしよう、すごく恥ずかしい。
混乱して口を開けて固まった俺の瞳を由良さんがじっと覗き込んでくる。
そのまま形の良い唇が淡く開き、紫紺の瞳からは強いglareが放たれて。
「Say、幹斗。」
やばい、と思った時にはもう手遅れだった。
放たれたcommandは圧倒的な力を持って響き、俺に拒否権を与えない。
理性が全く働かず、本能が彼に従う。
「由良さんのこれ、欲しいです…。」
プレイの時と同じ。頭のどこかではやめろと念じているのに、彼の支配で歓ぶ身体は引き寄せられるように彼のそこに手を伸ばし、口からは勝手にはしたない言葉が出てきてそれを望んで。
「どこに?」
揶揄われるように言われ、恥ずかしくて顔がかっと熱くなる。
「…意地悪、する…?」
じっと彼の瞳を覗いて尋ねれば、彼は柔らかく微笑んで。
「ごめん、しないよ。体調は大丈夫?」
「大丈夫だから、…早く、欲しいです…。」
宝物を扱うような、どこまでも優しい声が嬉しくて、子供みたいに縋った。
しかし彼は静かに首を横に振る。
…どうして?由良さんはしたくない…?
「そんな顔をしないで。いつも丁寧に準備しているでしょう?今日もそうさせて。ほら、力を抜いて。」
不安で瞳を潤ませた俺の唇を彼は優しく彼のそれで塞いで、同時に俺の寝間着のボタンを外し、胸の突起を緩く擦った。
「ぁっ…。いやっ…。」
漏らした声はひどく甘ったるく響き、俺が悦んでいることを明白にしてしまう。
「かわいい、幹斗。もっとしようね。」
熱を帯びた声とともに今度は彼の唇が乳頭にじゅ、と吸い付いた。
おかしくなってしまうからそこはやめてと言いたいのに、声を抑えようと噛んだ唇は彼の親指でいとも簡単に開かれてしまい、唇の間から漏れ出た喘ぎは明確に彼の行為への肯定を示していて、それに応えるように丁寧な愛撫が次第に加速していく。
1
お気に入りに追加
696
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話
こじらせた処女
BL
網谷凛(あみやりん)には付き合って半年の恋人がいるにもかかわらず、一度もお泊まりをしたことがない。それは彼自身の悩み、おねしょをしてしまうことだった。
ある日の会社帰り、急な大雨で網谷の乗る電車が止まり、帰れなくなってしまう。どうしようかと悩んでいたところに、彼氏である市川由希(いちかわゆき)に鉢合わせる。泊まって行くことを強く勧められてしまい…?
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる