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第2部
前進①
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(幹斗side)
一昨日の朝は1人で家から出ることができなかったが、一昨日の夜と昨日の朝、昨日の夜と、由良さんと一緒に外に出る練習をした。
まずはマンションの階段を下りて上るだけのところから。
依然として外に出るのは怖いままだが、由良さんが絶対に手を繋いで離さないから、昨日の夜は買い物に行くことができて。
しかし朝食を食べながら今由良さんが出した提案に、俺は思わず固まってしまった。
“御坂に謝罪をさせたいから会社まで来て欲しい”、と、由良さんはそう言ったのだ。
御坂と仙波君に会うことが怖いから外に出られなかったのに、そんな…。
「何があっても僕が守る。だから信じて。幹斗君がこれから安心して過ごすために必要なことなんだ。」
何も言えずに黙っている俺を宥めるように、由良さんが優しく続ける。
強張る手のひらを優しく掬われ、撫でながらじっと目を見て言われれば、だんだんできるような気がしてくるから不思議だ。
その瞳から放たれる甘いglareのせいかもしれない。
「…わかり、ました…。」
しばらく彼の瞳を見つめてから頷けば、後ろから優しく抱きしめられる。
「いい子。」
そのまま頭を撫でられ、流れるように唇を奪われた。
「んんっ… 」
舌で口内を蹂躙されて思わず声が漏れる。
朝から甘すぎてどうしよう。心臓がうるさい。
「本当に無理そうなら僕1人で行くからね。…頑張れる?」
凛とした声が鼓膜を震わせて、脳が痺れてしまいそうだと思った。
たくましい腕に身を預ければ、今度は前から身体を包み込まれる。
由良さんの心音がいつもより少し早い。
もしかしたら彼も勇気を出して言ってくれたのかもしれないと、そう思うと余計に安心できて。
「由良さんとなら、大丈夫です。」
言い切れば、紫紺の瞳が柔らかに細められ、綺麗な唇が柔らかな弧を描いた。
一昨日の朝は1人で家から出ることができなかったが、一昨日の夜と昨日の朝、昨日の夜と、由良さんと一緒に外に出る練習をした。
まずはマンションの階段を下りて上るだけのところから。
依然として外に出るのは怖いままだが、由良さんが絶対に手を繋いで離さないから、昨日の夜は買い物に行くことができて。
しかし朝食を食べながら今由良さんが出した提案に、俺は思わず固まってしまった。
“御坂に謝罪をさせたいから会社まで来て欲しい”、と、由良さんはそう言ったのだ。
御坂と仙波君に会うことが怖いから外に出られなかったのに、そんな…。
「何があっても僕が守る。だから信じて。幹斗君がこれから安心して過ごすために必要なことなんだ。」
何も言えずに黙っている俺を宥めるように、由良さんが優しく続ける。
強張る手のひらを優しく掬われ、撫でながらじっと目を見て言われれば、だんだんできるような気がしてくるから不思議だ。
その瞳から放たれる甘いglareのせいかもしれない。
「…わかり、ました…。」
しばらく彼の瞳を見つめてから頷けば、後ろから優しく抱きしめられる。
「いい子。」
そのまま頭を撫でられ、流れるように唇を奪われた。
「んんっ… 」
舌で口内を蹂躙されて思わず声が漏れる。
朝から甘すぎてどうしよう。心臓がうるさい。
「本当に無理そうなら僕1人で行くからね。…頑張れる?」
凛とした声が鼓膜を震わせて、脳が痺れてしまいそうだと思った。
たくましい腕に身を預ければ、今度は前から身体を包み込まれる。
由良さんの心音がいつもより少し早い。
もしかしたら彼も勇気を出して言ってくれたのかもしれないと、そう思うと余計に安心できて。
「由良さんとなら、大丈夫です。」
言い切れば、紫紺の瞳が柔らかに細められ、綺麗な唇が柔らかな弧を描いた。
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