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第2部

楽しみだった日④

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「くはっ…、はぁっ…、はぁっ…んぐっ… 」

ちかちかと閃光が瞬いて、呻き声と共に気づいたら御坂の肩に嘔吐していた。

ひどい動機がする。

それが空気が不足したからなのか、身体が死の恐怖に直面したからなのかはわからないけれど。

「何をするっ…!…ああ、このシャツ高かったのに…。まあいい。ここまですればもういいだろう。仙波君の気も済んだかな?」

「ええ。すっきりしました。相手が男っていいですねぇ。あんまり加減しなくていいですし。」

「じゃあ拘束を解いてあげてくれ。私はシャワーを浴びてくるよ。」

「俺も浴びてから帰ろうかなー。」

満足そうな話し声が聞こえて、少ししたあと拘束が解かれた。

「…かえらなきゃ…。」

何も考えることができなかったが、ただひとつ、家に帰りたいという強い思いがあった。

重たい身体を無理やり持ち上げ荷物を持って外に出る。

どう帰ったのかも覚えていないが、気がついたら家の前に立っていて。

…あ、電気つけっぱだったか…。

中に入ると電気がついていて、ああやってしまったなと思う。

まあ忙しかったし仕方ないか。ともかくすごく眠い。早く寝たい。

…風呂…もうこのままでいいや…

…あれ、コーヒーのにおい…

「幹斗君おかえりなさい。早めに終わったから夜のうちに帰ってきて…

その顔どうしたの。何かあった?」

目の前にずっと会いたかった主人の顔が映し出されて再会の喜びに涙が出そうになったけれど、彼の戸惑う顔を見て、先ほどまで自分がしていたことの重大さを理解した。

抵抗したとはいえ、由良さん以外のDomにプレイをされた。そんなの浮気と同じ裏切りだ。ありえない。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい 」

謝罪の言葉だけが洪水のように口から溢れ出してくる。

ごめんなさい、謝るから捨てないで。そばにいて。

裏切った挙句そんなことを願う浅ましい自分に腹が立った。

「幹斗君は悪くない。わかるよ。だから落ち着いて。」

焦りを帯びた由良さんの声。

壊れたように謝る俺を彼は強く抱きしめて。

上をむかされ、甘いglareを注がれた。

紫紺の瞳が切なく揺れる。

ひさしぶりの由良さんのglare。嬉しくて、気持ち良くて、

でも明らかに誰かにプレイをされたとわかるこの姿の俺に、彼はこんなにも優しいglareを注いでくれるんだと思ったら、

涙と共にまた謝罪の言葉が口をついて、

繰り返すのが止まらなくなった。
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