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第2部
楽しみだった日②
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彼の後に続いて歩くこと20分。
多くの飲食店を見送って、なぜか俺はホテル街を歩いていた。
先ほどから仙波君の口数が不自然に減ったから、ホストクラブやキャバクラからの客寄せの声がやけに大きく聞こえてくる。
「この辺にあるお店なんて、珍しいね。」
確信の持てないぼやけた違和感を覚え、それを隠すように彼に明るく話しかけた。
「そうなんですよー!美味しいんですけど、場所が場所なだけに客が少なくて穴場です。」
「そうなんだ。」
…やっぱり気のせいだよね。
彼の人懐っこそうな笑みを見て安心する。
せっかく仲良くなったのだから変に疑うのはよくない。そういうのは俺の悪いところ。
「あっ、先輩、危ない。」
ふと、彼がそう言って俺の手首を掴んだ。
「…仙波君?」
どうしたのだろう。車か何かが通ったわけでも、何かに躓きかけたわけでもないのに。
戸惑って彼の方を向くと、彼は俺より少し向こう側を見てなぜか笑みを浮かべている。
俺が状況を把握する前に、彼とは違う感触の手にもう片方の手首を掴まれた。
「やあ、久しぶりだね。なかなか連絡をくれないから、会いにきちゃったよ。」
聞き覚えのある声。額に冷や汗が浮かぶ。
「お疲れ様、仙波君。」
「御坂さんもお疲れ様です。」
「さっ、中に入ろうか。」
2人に手を引かれ、すぐ近くの建物の自動ドアをくぐらされた。
…どうして。
なぜこの2人がこんなにも親しげに話しているのだろう。
酷く混乱して、頭がうまく回らない。
もう片方の手を掴んでいるのはあの時のDom。
以前由良さんの会社の前で、俺が落とし物の名刺入れを届けた、彼だ。
多くの飲食店を見送って、なぜか俺はホテル街を歩いていた。
先ほどから仙波君の口数が不自然に減ったから、ホストクラブやキャバクラからの客寄せの声がやけに大きく聞こえてくる。
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確信の持てないぼやけた違和感を覚え、それを隠すように彼に明るく話しかけた。
「そうなんですよー!美味しいんですけど、場所が場所なだけに客が少なくて穴場です。」
「そうなんだ。」
…やっぱり気のせいだよね。
彼の人懐っこそうな笑みを見て安心する。
せっかく仲良くなったのだから変に疑うのはよくない。そういうのは俺の悪いところ。
「あっ、先輩、危ない。」
ふと、彼がそう言って俺の手首を掴んだ。
「…仙波君?」
どうしたのだろう。車か何かが通ったわけでも、何かに躓きかけたわけでもないのに。
戸惑って彼の方を向くと、彼は俺より少し向こう側を見てなぜか笑みを浮かべている。
俺が状況を把握する前に、彼とは違う感触の手にもう片方の手首を掴まれた。
「やあ、久しぶりだね。なかなか連絡をくれないから、会いにきちゃったよ。」
聞き覚えのある声。額に冷や汗が浮かぶ。
「お疲れ様、仙波君。」
「御坂さんもお疲れ様です。」
「さっ、中に入ろうか。」
2人に手を引かれ、すぐ近くの建物の自動ドアをくぐらされた。
…どうして。
なぜこの2人がこんなにも親しげに話しているのだろう。
酷く混乱して、頭がうまく回らない。
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