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第2部

進展③

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“もしもし、幹斗君?今時間ある?”

「はっ、はい。」

スマホの向こう側から由良さんの小さく笑う声が聞こえる。

冷静に冷静に、と思っていたのに結局声が上ずってしまって恥ずかしい。

彼の凛とした穏やかな声に、胸がじんわりと熱くなる。嬉しくて、もうこれだけで泣いてしまいそうだと思った。

“幹斗君、今家?”

「はい。」

“今日は1人部屋なんだ。ビデオ通話に切り替えても良い?”

「えっ…!?」

びっくりして身体が跳ねて、あやうくベッドにひっくり返るところだった。危ない。

“幹斗君の顔を見たい。だめかな?”

何も言えずに黙っていると、由良さんが優しく言葉を追加した。

だめなわけがない。俺だって由良さんと顔を見て話したい。もうずっとそうしたいと思っている。

「今切り替えます。」

“うん。”

照明をつけてからカメラをオンにすると、ほぼ同時に由良さんの顔が映し出された。

“久しぶり、幹斗君。”

…格好いい…。

久しぶりに見た彼の姿に言葉を失う。

もうシャワーを浴びた後なのか、伸びた前髪が瞳にかかってそこはかとない色気が出ていて、やっぱり心臓に悪いなと思った。

その顔で、その声で名前を呼ばれたから、息を忘れそうなほどドキドキする。

新人教育係と言っていたが、研修先で由良さんみたいな麗人に指導を受けるなんて、正直羨ましい。

「あ、の、…久しぶり、です…っ!」

“緊張しすぎ。かわいい。寂しかった?”

由良さんの紫紺の瞳が愛おしげにぎゅっと細められて、端正な唇が綺麗な弧を描く。

俺は何も言わずこくこくと頷いて、由良さんはそれを見て甘いglareを放ちながらくすりと笑んだ。

2週間ぶりのglareがひどく気持ちいい。

脳に響く甘い刺激にお腹の奥が切なくうずく。

「ぁっ… 」

思わず声が漏れて、慌てて口を塞いだ。

けれど由良さんは全てわかっているかのように色っぽく唇の端を上げて。

“ねえ幹斗、その枕僕のでしょう。少しだけ気持ちよくなろうか。”

俺の名前を呼び捨てて、低い声でそう紡いだ。

そういえば由良さんの枕を抱きしめたままだったと、今更気付いて恥ずかしくなった。
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