144 / 261
第2部
それぞれの悩み④
しおりを挟む
「あーもーやめよ!!パートナーの話しようパートナーの!!俺今年中に結婚すんだってー!!」
静寂に耐えきれなくなったらしい谷津が突然声を上げた。
パートナーの話。それなら平和だ…って、彼は今なんて言った?確か結婚って…。
「おめでとう。式はするの?」
東弥が優しく目を細めて言いながら、手を二回ぱちぱちと叩いた。
「ありがとー!もちろんするよ。20人くらい呼ぶんだってー!幹斗と東弥も来てね!!」
聞き違いかと思ったが、どうやらそうではなかったらしい。
結婚か。俺と東弥には関係ないことだけれど、俺たちももうそんな歳なんだな、としみじみ思う。
「おめでとう。仲良さそうでよかった。」
「うん!幹斗もありがとう!めっちゃ仲良いよー!昨日もマキちゃんが俺のこと縛っ…んぐぐぐっ…!!何すんの!!」
またもや谷津がプレイについて大声で話しそうだったので、慌てて口を塞ぐ。
「…ここは外です。」
「…はーい。ごめんなさーい…。」
案外素直に謝るところが憎めない。
谷津は一旦しょぼんとしたあと、俺を見てまたキラキラと目を輝かせた。
「幹斗の話ってあんまり聞かないけどさ、由良さんと幹斗ってどれくらいしてるの?」
…前言撤回。俺に話を回してくるなんて反則だ。谷津に冷たい視線を向ける。
「あっ、それ俺も聞きたいな。」
しかも珍しく東弥までが興味を示してきたので、引くに引けなくなってしまった。
「…プレイの方?それとも夜の方…?」
「「どっちも」」
「えっ…と、プレイは月1回とかで、夜は…次の日がお互いに休みなとき…?」
顔を真っ赤にしながら言うと、2人は驚いたように目を瞬かせた。
えっ、何俺なんか変なこと言ったかな?
「思ったより夜してんだねー!!幹斗そういうのしなそうなのに。」
しばらくの沈黙の後谷津が小声で紡ぐ。
「プレイの数は少ないけど、夜は結構…。」
東弥もしみじみとうなずいてそう続けた。
「えっ、じゃあ2人はどのくらいなの?俺そんなにしてるかな…?」
いつのまにか来ていたメロンソーダを一気飲みして、その勢いで聞いてみる。
他人の情事について聞くなんて恥ずかしいが、俺も聞かれたから聞き返しても許されるだろう。
「いや、俺は普通にプレイもあっちもしない日の方が少ないよー!だってマキちゃん可愛いし。でもマキちゃんが体調悪い時はしない!」
「プレイは週一かな。あっちは大体毎日。静留が夜甘えてくるとつい…。」
…おかしい。明らかにおかしい。
「じゃあ2人とも俺よりしてるでしょう…。」
「だって幹斗が抱かれてる姿とか想像できない。」
「だよね。」
「しなくていいから!」
食い気味に否定したあとですぐに食事が運ばれてきて、それを境にあとは取り止めのない話をした。
授業の話とか、会社の話とか、研究室の話とか。
「…あれ、幹斗あの子知り合い?」
会計の時に谷津に尋ねられ、彼の言う方を見ると例の後輩がいた。
「うん、研究室の後輩。どうして?」
「…いや、さっきめっちゃ幹斗のこと見てたからさ。ちょっと目つき怖いし。」
「…なるほど…。」
彼は一人で来ているようで黙々と豚カツを食べている。
きっと視界に俺が入って不快だっただろうな。
「幹斗はひとつも悪くないんだから、気にしちゃだめだよ。」
思わず俯いてしまっていたらしく、東弥がなだめてくれた。
「うん、ありがとう。じゃあまたね。」
「うん。」
「また会おーね!!」
2人にまたねを告げて家路につく。
街灯に照らされた夜道は明るい。
…あれ?
何か視線を感じ、辺りを見回したが誰もいなかった。
まあ多分あのDomのせいで少し神経質になっているだけだろう。
今日は本当に良い日だった。
帰宅して、いったんソファーに背中を預ける。
正直色々うまくいかないし由良さんとは会えないしで落ち込んでいたが、2人と話せてよかった。
今はもうそこまで苦しくない。
みんな口には出さないけれど、それぞれが違う悩みを同じように抱えている。そうわかったから、また前向きに頑張れるような気がした。
静寂に耐えきれなくなったらしい谷津が突然声を上げた。
パートナーの話。それなら平和だ…って、彼は今なんて言った?確か結婚って…。
「おめでとう。式はするの?」
東弥が優しく目を細めて言いながら、手を二回ぱちぱちと叩いた。
「ありがとー!もちろんするよ。20人くらい呼ぶんだってー!幹斗と東弥も来てね!!」
聞き違いかと思ったが、どうやらそうではなかったらしい。
結婚か。俺と東弥には関係ないことだけれど、俺たちももうそんな歳なんだな、としみじみ思う。
「おめでとう。仲良さそうでよかった。」
「うん!幹斗もありがとう!めっちゃ仲良いよー!昨日もマキちゃんが俺のこと縛っ…んぐぐぐっ…!!何すんの!!」
またもや谷津がプレイについて大声で話しそうだったので、慌てて口を塞ぐ。
「…ここは外です。」
「…はーい。ごめんなさーい…。」
案外素直に謝るところが憎めない。
谷津は一旦しょぼんとしたあと、俺を見てまたキラキラと目を輝かせた。
「幹斗の話ってあんまり聞かないけどさ、由良さんと幹斗ってどれくらいしてるの?」
…前言撤回。俺に話を回してくるなんて反則だ。谷津に冷たい視線を向ける。
「あっ、それ俺も聞きたいな。」
しかも珍しく東弥までが興味を示してきたので、引くに引けなくなってしまった。
「…プレイの方?それとも夜の方…?」
「「どっちも」」
「えっ…と、プレイは月1回とかで、夜は…次の日がお互いに休みなとき…?」
顔を真っ赤にしながら言うと、2人は驚いたように目を瞬かせた。
えっ、何俺なんか変なこと言ったかな?
「思ったより夜してんだねー!!幹斗そういうのしなそうなのに。」
しばらくの沈黙の後谷津が小声で紡ぐ。
「プレイの数は少ないけど、夜は結構…。」
東弥もしみじみとうなずいてそう続けた。
「えっ、じゃあ2人はどのくらいなの?俺そんなにしてるかな…?」
いつのまにか来ていたメロンソーダを一気飲みして、その勢いで聞いてみる。
他人の情事について聞くなんて恥ずかしいが、俺も聞かれたから聞き返しても許されるだろう。
「いや、俺は普通にプレイもあっちもしない日の方が少ないよー!だってマキちゃん可愛いし。でもマキちゃんが体調悪い時はしない!」
「プレイは週一かな。あっちは大体毎日。静留が夜甘えてくるとつい…。」
…おかしい。明らかにおかしい。
「じゃあ2人とも俺よりしてるでしょう…。」
「だって幹斗が抱かれてる姿とか想像できない。」
「だよね。」
「しなくていいから!」
食い気味に否定したあとですぐに食事が運ばれてきて、それを境にあとは取り止めのない話をした。
授業の話とか、会社の話とか、研究室の話とか。
「…あれ、幹斗あの子知り合い?」
会計の時に谷津に尋ねられ、彼の言う方を見ると例の後輩がいた。
「うん、研究室の後輩。どうして?」
「…いや、さっきめっちゃ幹斗のこと見てたからさ。ちょっと目つき怖いし。」
「…なるほど…。」
彼は一人で来ているようで黙々と豚カツを食べている。
きっと視界に俺が入って不快だっただろうな。
「幹斗はひとつも悪くないんだから、気にしちゃだめだよ。」
思わず俯いてしまっていたらしく、東弥がなだめてくれた。
「うん、ありがとう。じゃあまたね。」
「うん。」
「また会おーね!!」
2人にまたねを告げて家路につく。
街灯に照らされた夜道は明るい。
…あれ?
何か視線を感じ、辺りを見回したが誰もいなかった。
まあ多分あのDomのせいで少し神経質になっているだけだろう。
今日は本当に良い日だった。
帰宅して、いったんソファーに背中を預ける。
正直色々うまくいかないし由良さんとは会えないしで落ち込んでいたが、2人と話せてよかった。
今はもうそこまで苦しくない。
みんな口には出さないけれど、それぞれが違う悩みを同じように抱えている。そうわかったから、また前向きに頑張れるような気がした。
1
お気に入りに追加
704
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる