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第2部

それぞれの悩み②

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「おはよ。」

「幹斗ちょっと疲れてない?また後輩とうまく行ってないの?」

東弥の隣に座り、ルーズリーフと教科書を出すと、東弥にそう尋ねられた。

「…うん。実は今日、glareが効かなくて可愛くないって言われてさ…。」

言った途端に東弥の眉間のシワが深くなる。とても怖い。

「…それ、俺が締めとこうか?」

怒気を帯びた低い声に、周辺の空気が凍りつくのがわかった。

「いや、作業については言ったこと全部聞いてくれてるから大丈夫。なにも聞いてくれなくなったら、事故に繋がる前に一度注意してもらってもいいかな…?」

「それも後輩のためって…優しすぎると思うけどな。でもまあ、そういうことなら。そのときは言ってね。」

「うん。」

俺には今パートナーも友達もいて幸せだから、俺が少し傷つくのは構わない。

でもそれが事故に繋がったりしたら話は別だ。例えば装置が壊れたら平気で何百万が飛ぶ。

「そういえば今日さ、谷津と3人で食事に行かない?」

唐突に誘われて驚いた。そういえば最近谷津に会っていない。

「いいけど静留君は?」

「1人でシャワーを浴びてご飯を食べる練習をするんだって。電話して時間だよって言ったらできるって言い出して…。せめてご飯はちゃんと食べてくれるといいんだけど…。」

東弥はかなり深刻そうにそう言って苦笑いを浮かべた。

まだご飯もお風呂も命令しないとしてくれないのか。衝撃の事実である。

「そっか。食べてくれるといいね。」

「うん。じゃあ決まりでいい?」

「いいよ。由良さんも出張中だし。」

「了解。谷津に連絡しとくね。」

「ありがとう。」

東弥と話したおかげか授業が始まる頃には少し気が楽になって、そのあと相変わらず成果の出ない実験にもとりあえず数時間向き合うことができた。
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