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第2部

休日デート⑩

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「痛くない?大丈夫?」

由良さんのわずかにしかめられた余裕のない表情を見て、両手から溢れそうなほどの愛しさが込み上げてくる。

何度も降りかかる優しい問いかけに俺は黙って頷いた。

もう付き合ってから3年以上も経つのに、相変わらず彼は俺にひどく優しく触れる。

時々無理をしているのではないかと不安になって尋ねてみるが、その度に”僕はいつもとても気持ちいいよ”、と当然のようにに言われるから何も言い返せない。

「動くよ。」

艶やかな声を合図にゆっくりとした抽挿が始まり、俺は今日もひっきりなしにあえぎ声をもらす。

由良さんとの行為はとても気持ちよくて、俺の方が先に達してしまうことが多い。

そして俺が先に達してしまうと由良さんは行為をやめてしまう。

大切にされているとわかるからこそ、彼が達する前に行為を終わらせてしまうことがやるせない。

…俺ももっと由良さんに気持ちよくなってほしいのに…

「どうした?何か心配事?」

ふと、由良さんが俺に対して柔らかに微笑んで問いかけてきた。

やっぱりこの人はすごい。エスパーか何かなのだろうか。

「ゆらさんに、もっときもちよくなってほしい… 」

行為の気持ち良さに酩酊しているせいか、あまり考えず思っていたことを口に出してしまう。

「…それ、煽ってるってわかって言ってる?」

目の前に、困ったような由良さんの表情かお

「あおってるってわかってたら、きもちよくなってくれる…?」

自分でも何を言っているかよくわからないまま返したら、彼は軽くため息をついた後、さらに奥へと腰を進めてきた。

「えっ…?」

思わずすっとんきょうな声が漏れる。

…これ以上奥はなかったはずなのに…。

「言ったことはちゃんと責任取ろうね。…もう少し奥、当てるよ。」

彼はぽかんと口を開ける俺に対して余裕ない声で紡ぎながら、ゆっくりと、俺のまだ知らない場所を開いていく。

…こんなの、知らない…。

「もう少し頑張ってね。」

そう言って由良さんがぐっと押し付けるように一気に腰を進めた時、浅い部分の性感帯をえぐられたときとはまた違う、強い刺激が脳天を貫いた。

「あぁぁぁっ…!!」

びっくりして大きく身体が跳ねる。

予想以上に大きく漏れた声を恥ずかしがる余裕はなかった。

俺の頭を優しく撫でながら、彼はそこを執拗に刺激してくる。

頭を撫でられる心地よさと身体の奥の方からせり上がる強い快楽で、頭がおかしくなってしまいそうだ。

「…んっ…、そこやらっ…、おくっ、きもちすぎてっ…、こわいっ…。」

自分から求めた結果なのに、結局知らない感覚にびっくりしたせいか涙が溢れてくる。

そんな不甲斐ない俺を、由良さんは覆いかぶさるようにして優しく抱きしめて、

「怖くない。気持ちいいだけだよ。」

と、綿菓子のような甘い声でなだめてくれた。

彼の温もりと言葉のおかげで感じていた恐怖が嘘みたいに消えていく。

…本当に優しくて格好良くて、いつまで経ってもこの人には敵わない。

彼の形の良い唇が快楽に歪んで、息は上がって、額に汗が浮かんでも、いつだって俺のことを考えてくれる。

こんな愛され方をしたら、もう彼なしでは生きられない。

「そろそろイきそう。」

敏感になっているところに耳元で囁かれ、身体の中では処理し切れないほどの快楽の波が押し寄せた。

「はあっ…、はあっ… 」

全速力で走ったあとみたいに苦しい。

息を切らせながら、何度も肩を上下させた。

本日二度めの射精の快楽は、ひどく長く続いて。

同時に奥に自分のものではない熱が放たれて、彼がゴム越しに吐精したのだと遅れて理解した。

「よくがんばったね。」

優しい言葉と共に、俺の中から彼の雄がゆっくりと引き抜かれていく。

「はぅっ… 」

繋がりが切れた瞬間、切ない疼きとともに官能的な刺激が走って変な声を漏らしてしまった。

「どこか痛くない?少し無理をさせてしまったから…。」

俺の身体を抱きしめながら、由良さんが額に口付けてくる。

「ゆらさんは、きもちよかったですか…?」

頭がふわふわと酩酊して、夢心地で彼の方を仰いだ。

仰いだ先の彼が、優しく笑って静かに頷く。

綺麗に細められた紫紺の瞳をのぞいていたら、だんだんと意識が遠のいてきて。

子供をあやすように由良さんが優しく身体を揺すってくれたから、俺はその心地よい振動に揺られながら彼の胸に身体を預けた。
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