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第2部

休日デート⑧

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背中、うなじ、鎖骨、太腿…

これといって決まった順番もなく、由良さんの舌が不規則に身体を這っていく。

口を押さえることはできないから、俺はひっきりなしに嬌声を漏らした。

どの場所も、由良さんと知り合うまでは気持ちいいだなんて知らなかった。というより今も触るのが由良さんでなければ感じない。

3年間かけてじっくりと、そうなるように刷り込まれた。


最初は胸。

はじめはひどく敏感にされて、由良さんと会っていない日も触るように指示された。

けれどある日突然由良さんに会う時以外に触るのを禁じられて。

服に擦れただけで喘ぎそうになる敏感な場所を、由良さんの手だけが触れ、気持ちよくしてくれたから、いつしか日常の敏感さは抜けて、代わりに由良さんに触られた時だけ強い快楽を得るようになった。

次に性器。

達する寸前まで自分で触らされ、そのあと手を離して由良さんの手で達する。この行為を何度も繰り返すことで、彼の手で触れられるとすぐに達するようになった。

きっともう自分1人では達することすらできないと思う。試そうとも思わないけれど。

そのあとは背中や鎖骨。

花茎や胸などの敏感な場所を触りながら何度も舌で撫でられて、その部分が気持ちいいと執拗に教え込まれた。

ほかにも太ももの内側、手首の柔らかいところ、耳の中など、身体中の至る所が由良さんに対してだけ性感帯として機能する。

時間をかけて植え付けられた愛がいつの間にか俺の脳と身体に深く刻まれて、俺の全てを彼のものにしたのだ。

そして俺はその支配に幸せを感じながら、忠実に彼に従属する。


「幹斗、見て、ここ。もうこんなに溢れてる。」

ふと由良さんに耳元で囁かれ自分の中心に目をやると、先端から溢れた蜜が床を濡らしていた。

「ぁっ…、やぁっ… 」

「嫌じゃない。気持ちいいでしょう?

…ここも触ろうね。上手にイけたらご褒美をあげる。」

「ぁっ…んっ… 」

恥ずかしさにまた泣き出しそうになった俺を意地悪に諭しながら、由良さんは俺の胸にある突起を擦り上げる。

強い快楽が身体を巡って力がぬけ、勢いよく床の上に崩れ落ちそうになった。


「…っと、危ない。あとはベットでしようか。」

倒れかけた俺の身体を由良さんが支え、そのままベッドへと誘導する。

いとも簡単に俺の身体を支えてくれる腕にどくりと心臓が跳ねる一方で、鏡が目の前になくなったことに俺はほっと息をついた。

「自分がイくところは、ちゃんと見ようね。」

けれどそれも束の間。全てをわかっているように由良さんが言う。

結局俺はヘッドボードにもたれかかるようにして座らされ、自分のその部分から目を逸らさないよう命令されてしまった。

「んぅっ…ぁっ、だめっ…… 」

今度は舌で、執拗に胸を愛撫される。

それだけじゃない。彼の視線が俺のその部分に集中しているのが見えて、もう視覚的にも感覚的にもだめだった。

「イっちゃっ、ぁぁっ…んっ… 」

下腹部に溜まった熱が一気に解放を求めて迫り上がる。

白濁を放つとともに身体から一気に力がぬけ、快楽の余韻を味わうように、脱力した身体はぴくぴくとしばらく痙攣を続けた。

由良さんは濡れたタオルで優しく白濁を拭ったあと、すぐに拘束を解いてくれる。

…ここに触れられてすらないのに達するところを、全部由良さんに晒してしまっただなんて…。

恥ずかしさで何も言えなくて、俺はぐずぐずと泣きながら、手慣れた様子で縄を解く由良さんの身体にぎゅっと顔を押し付けた。

「たくさん頑張ったね、幹斗君。何が欲しい?」

先ほどまでの冷たい声音とは打って変わった、春のように優しい声が降ってくる。

優しい声に安心したらもっと涙が出てきて、裸なのに構わずそのまま由良さんの背中に手を回し、だだをこねる子供みたいにただ強く抱きついた。

「…うん、たくさん気持ちよくなろうね。」

由良さんが優しく俺に言い聞かせる。

抱きついたその行為だけで、何も言わなくても由良さんは俺の望みを理解してくれたようだった。

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