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第2部

休日デート⑦

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しゅるり、と手首に縄がかけられる。

「きつくない?」

「はい。」

鏡越しに映る由良さんの表情は真剣で、きついかどうか尋ねた声は無機質だったけれど、触れる手は酷く優しかった。

一つ自由が奪われるたびに、痛くないか、苦しくないかと尋ねられる。

痛くても苦しくても気持ちいい、が答えだが、由良さんが俺の身体を傷つけることはない。

大切にされている、と思うから、安心して彼に自分の体を委ねられる。

縛られている間はずっと、鏡越しに彼を見つめていた。

手元に集中して伏せられた目、そこに美しくかかる長い睫毛、綺麗な形をした眉、襟から覗く鎖骨、ふしばった大きな手。その全てが今は俺に向けられているのだと思うと、苦しいほどに嬉しくなる。

「できたよ。」

低く凛とした声が耳元で囁いて、俺は自分の姿に視線を戻し、絶句した。

綺麗に左右対象になっている縄の網目で胸の突起が強調されているだけでも恥ずかしいのに、由良さんの姿に興奮したのか、下半身もゆるく勃ち上がってしまっている。

反射的に局部を隠そうと腕がもがいたが、もちろん縛られているのだから隠すことなどできない。

それどころか抗ったせいでさらに縄が食い込んでしまう。

…全然動かない…。

恥ずかしくて溢れた俺の涙を、由良さんは何も言わずに丁寧に指で拭って、

「そのままここに触れずにイってみようか。」

綺麗な唇の端を色っぽく、そして意地悪く吊り上げてそう言った。

彼の指差す先には半端に芯を帯びた俺の雄。

ただでさえ鏡の前でこんな格好で目も逸らせないのに、もしその部分に触れられずに達してしまったら、そこから白濁が放たれる瞬間までしっかりと自分に見えてしまう。

「できるよね、幹斗。」

身体をこわばらせた俺の耳元で艶っぽく由良さんが紡ぐ。

命令ではなく、君ならできる、という言葉の選び方がずるい。

“そんなことできない”って、いつもはじめはそう思うのに、彼のその言葉に首を横に振れない自分がいて、そのうえ彼から与えられる行為ならば全てが気持ちいいと本能は知っていて。

結局今日もまた、俺は無言でうなずいた。

「いい子。」

言葉とともに、由良さんの舌が俺の背中を這う。

「ぁっ… 」

甘美な刺激が全身を震わせ、俺はたまらず身をよじる。

漏れた吐息はひどく甘ったるく、静かな室内に大きく響いた。
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