128 / 261
第2部
休日デート①
しおりを挟む
「おはよう。」
優しい声が降ってきて、まぶたを擦りながら細く目を開けた。
今日は土曜日。
昨夜も存分に愛された身体は心地よい怠さに包まれている。
まだもう少しこうして由良さんの腕の中にいたいから、俺は彼の身体に手を回し、力を込めた。
「ん?もう少し寝る?」
綿菓子みたいな甘い由良さんの声に、いけないと思いつつも甘えてしまう。
「うん…。」
「僕ももう少し寝ようかな。」
柔らかく俺の身体を抱きしめてくれた彼の胸板からは、とくとくと優しい心臓の音。
1日が24時間で朝も夜も平等に流れていくだなんて嘘だと思う。
休日は平日よりもずっと時間の流れが早い。
それをわかっているのにこうやって自堕落な眠りを貪ってしまうのだから、不思議だ。
___
「わっ、もう10時半!?」
たくさん寝ようと9時半に設定したのにさらに1時間も寝てしまった。
「そんなに慌てないで。予定は午後からでしょう?」
ベッドの上で額を押さえている俺の手を由良さんが優しく除けて、ふわりと甘い口づけを落とす。
不意打ちで驚いて目を開けてしまったから、彼の端正な顔立ちが間近に見えて心臓がうるさく鳴り出した。
愛おしげに細められた切れ長の紫紺の瞳、押し当てられた薄く形の良い唇、綺麗に通った鼻立ち。全てがジグソーパズルのピースのようにぴったりと当てはめられていて、どんな目覚し時計よりも効果的だと思う。
「あっ、朝ごはん、作ってきます!!」
多分真っ赤になっているであろう自分の顔が恥ずかしくて逃げるようにベッドを抜け出したが、手首を引かれいとも簡単にベッドに連れ戻されてしまった。
そのまま手首を縫い止められ、優しく頭を撫でられる。
「昨夜頑張ってくれたから、朝は僕が作る約束でしょう?」
「!!」
彼はglareを放って俺が目を逸らせないようにして、優しく、でも少し意地悪く笑んだ。
…格好いいけど、ここまで来ると心臓に対する拷問だ…一生分の回数の呼吸を今ここでして死んでしまう…。
「おっ、俺も手伝います!料理は俺のが得意だから!!
…と、すみません、違います…。ちょっと、びっくり、しちゃって… 」
今すぐ貝になりたい。由良さんが格好よすぎて動揺しすぎてつい変なことを口走ってしまった。
けれど由良さんは全部わかってるよ、と言いたげに柔らかく口元を綻ばせ、
「じゃあ今日の他の家事は全部僕がやるから、朝食は幹斗君に手伝いをお願いしようかな。」
って言って、俺は反射的に頷いてしまって、まんまとはめられたと気がついたのは数分後のお話。
優しい声が降ってきて、まぶたを擦りながら細く目を開けた。
今日は土曜日。
昨夜も存分に愛された身体は心地よい怠さに包まれている。
まだもう少しこうして由良さんの腕の中にいたいから、俺は彼の身体に手を回し、力を込めた。
「ん?もう少し寝る?」
綿菓子みたいな甘い由良さんの声に、いけないと思いつつも甘えてしまう。
「うん…。」
「僕ももう少し寝ようかな。」
柔らかく俺の身体を抱きしめてくれた彼の胸板からは、とくとくと優しい心臓の音。
1日が24時間で朝も夜も平等に流れていくだなんて嘘だと思う。
休日は平日よりもずっと時間の流れが早い。
それをわかっているのにこうやって自堕落な眠りを貪ってしまうのだから、不思議だ。
___
「わっ、もう10時半!?」
たくさん寝ようと9時半に設定したのにさらに1時間も寝てしまった。
「そんなに慌てないで。予定は午後からでしょう?」
ベッドの上で額を押さえている俺の手を由良さんが優しく除けて、ふわりと甘い口づけを落とす。
不意打ちで驚いて目を開けてしまったから、彼の端正な顔立ちが間近に見えて心臓がうるさく鳴り出した。
愛おしげに細められた切れ長の紫紺の瞳、押し当てられた薄く形の良い唇、綺麗に通った鼻立ち。全てがジグソーパズルのピースのようにぴったりと当てはめられていて、どんな目覚し時計よりも効果的だと思う。
「あっ、朝ごはん、作ってきます!!」
多分真っ赤になっているであろう自分の顔が恥ずかしくて逃げるようにベッドを抜け出したが、手首を引かれいとも簡単にベッドに連れ戻されてしまった。
そのまま手首を縫い止められ、優しく頭を撫でられる。
「昨夜頑張ってくれたから、朝は僕が作る約束でしょう?」
「!!」
彼はglareを放って俺が目を逸らせないようにして、優しく、でも少し意地悪く笑んだ。
…格好いいけど、ここまで来ると心臓に対する拷問だ…一生分の回数の呼吸を今ここでして死んでしまう…。
「おっ、俺も手伝います!料理は俺のが得意だから!!
…と、すみません、違います…。ちょっと、びっくり、しちゃって… 」
今すぐ貝になりたい。由良さんが格好よすぎて動揺しすぎてつい変なことを口走ってしまった。
けれど由良さんは全部わかってるよ、と言いたげに柔らかく口元を綻ばせ、
「じゃあ今日の他の家事は全部僕がやるから、朝食は幹斗君に手伝いをお願いしようかな。」
って言って、俺は反射的に頷いてしまって、まんまとはめられたと気がついたのは数分後のお話。
11
お気に入りに追加
704
あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。



塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる