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誕生日ss6
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シャワー室から由良さんが出て、浴室の明かりを消す音が聞こえた。
きれいな夜景と海の観覧車。窓から注ぐ淡い明かりのみに照らされた浴室は、どことなく大人の雰囲気に包まれる。
「入っていい?」
「はい。」
なんとなく足を抱えてスペースを開けてから頷くと、由良さんが向かい合わせに入ってきた。
綺麗に引き締まった体躯は、いつ見ても格好いい。
ちゃぷん、と揺れる水面の音すら、この状況ではなぜか艶やかに聞こえてしまう。
「本当に夜景が綺麗だね。」
「はい。とても綺麗で、でも、由良さんがいるから、いちばんきれいに見える…。」
恥ずかしいけれど本当のことだから素直にそう言うと、由良さんは、僕もだよと微笑んで、俺の手を引き身体を後ろから抱きしめてくれた。
生身の肌が密着して擦れ合う。
この温もりが、本当に好きだなと思う。
抱きしめながら大きな手に頭を優しく撫でられたら、こんなにも緊張して身体が熱いのに、一方で不思議ととても安心するのだ。
…心臓がこんなにも煩く鳴っているのがばれてしまうことは少し怖いけれど。
「なんだか物語の主人公にでもなった気分です。今日がこんなに楽しいなんて。」
「それは嬉しいな。他になにか欲しいものはある?」
低い声が耳元で囁く、この瞬間は砂糖菓子みたいに甘い。
他に欲しいものなんてない。洋服もホテルも食事も嬉しいのは、多分由良さんといるからで。でも、強いて言うなら…
「由良さんが欲しい… 」
振り返り、じっと彼の瞳をのぞいて言ってみた。
こんなことを言うなんて、この1日が幸せすぎてきっと脳が麻痺している。
指輪までもらっていると言うのにこれ以上由良さんの何を貰えばいいと言うのか。
その答えを俺は知らない。
「幹斗、印のつけ合いっこしようか。」
なんでもないです、と訂正しようとしたが、その前に色っぽくきれいに笑んで言いながら、由良さんが俺の首筋を親指でなぞった。
collarでは隠れない少し上の柔らかい場所。
いい?と尋ねられ反射的に頷くと、由良さんの舌が首筋を這った。
「んっ… 」
吐息のかかるくすぐったさと、指でなぞられる感触とは全く異なった官能的な刺激で、自分のものとは思えないような熱っぽい声が口から溢れる。
唾液で十分に湿してから、彼の唇が同じ場所を何度か吸った。
「ぁっ…ふぅっ… 」
ちりりとした痛みに変な気を起こしてしまいそうで、反射的に由良さんの腕にしがみついてしまう。
首から唇が離れると、今度はその場所をもう一度親指で撫でられた。
「きれいについてる。肌が白いからよく映えるね。」
どことなく穏やかな、でも色っぽい低い声で由良さんから紡がれた言葉。
…俺はこんなにどきどきしてるのに、由良さんは余裕そう…。
「…ずるいです。」
ついに今日ずっと思っていたことを口からこぼしてしまった。
「どうして?」
「…格好良すぎてこれじゃあ一生釣り合えないから… 」
世紀の大問題だ。だってもう一度パートナーになってからは余計に格好良さが増してる気がするし。
いくら釣り合おうと頑張ったって相対速度的に引き離されてしまえば一生差が広がるばかりなわけで。
「そんなことないよ。僕の方が君に釣り合おうと必死なのに。」
そんなの嘘。そう言いたいのに、身体をくるりと回転させられて向かい合わせに座らされ、紫紺の瞳に真剣に見つめられたら、本気なんじゃないかって思えてしまう。
俯いて黙っていると、しばらくして由良さんに、“しないの?”と聞かれた。
「えっ…?」
意味がわからず問い返した俺に、
「幹斗君もつけるでしょう?」
と由良さんは柔らかに言って。
「付け方、わからないです…。」
泣きそうになりながら言ったら、彼の目尻が愛おしげにぎゅっと細められ、近づいてきたかと思うと、優しく唇を塞がれた。
その瞳が少し、後悔を宿しているに映ったのは俺の気のせいだろうか。
「じゃあ僕の言う通りにして。」
頭を撫でながら色を帯びた低い声で囁かれる。
「まずはつけたい場所を湿らせて、それから唇を寄せて。」
躊躇いがちに彼の首の根元に手を湯をかけると、今度はその部分に顔を近づける。恥ずかしくてぎゅっと目を瞑りながら。
「そう、上手。そうしたら、今度は強く何度か吸って。」
由良さんの指導がプレイを思い起こさせて、変な気を起こしそうだ。
言われた通りに何度か強く吸ってから唇を離すと、由良さんの首筋にうっすら赤い印がついている。
「印、つけられた?」
「あの…、はい…。」
由良さんに優しく笑みながら尋ねられ、頷くといい子、とまた頭を撫でられた。
本当に由良さんをもらった気分だ。あんな意味のわからないわがまままを受け入れて叶えてくれるだなんて、もしかしたら魔法使いかなにかかもしれない。
…なんてね。
そろそろ思考が本当におかしい。多分長湯したせいだ。
「…俺、先に出ます…ちょっと上せちゃって…。」
「そっか。大丈夫?」
「はい。少し熱いだけなので。」
嘘。本当はすごく熱い。多分お風呂のせいと言うよりは、由良さんが格好良すぎるせいで。
あらかたの水気をとり備え付けの寝間着に着替え、景色の綺麗なベランダに足を運ぶと、火照った体に夜風がとても気持ちいい。
「終わって欲しくないなぁー…。」
そんなことを思うのは贅沢だろうが、本当にそう思った。
だって今日は楽しすぎる。
観覧車の時計が9時半を示すのを見て、少し寂しく感じた。
きれいな夜景と海の観覧車。窓から注ぐ淡い明かりのみに照らされた浴室は、どことなく大人の雰囲気に包まれる。
「入っていい?」
「はい。」
なんとなく足を抱えてスペースを開けてから頷くと、由良さんが向かい合わせに入ってきた。
綺麗に引き締まった体躯は、いつ見ても格好いい。
ちゃぷん、と揺れる水面の音すら、この状況ではなぜか艶やかに聞こえてしまう。
「本当に夜景が綺麗だね。」
「はい。とても綺麗で、でも、由良さんがいるから、いちばんきれいに見える…。」
恥ずかしいけれど本当のことだから素直にそう言うと、由良さんは、僕もだよと微笑んで、俺の手を引き身体を後ろから抱きしめてくれた。
生身の肌が密着して擦れ合う。
この温もりが、本当に好きだなと思う。
抱きしめながら大きな手に頭を優しく撫でられたら、こんなにも緊張して身体が熱いのに、一方で不思議ととても安心するのだ。
…心臓がこんなにも煩く鳴っているのがばれてしまうことは少し怖いけれど。
「なんだか物語の主人公にでもなった気分です。今日がこんなに楽しいなんて。」
「それは嬉しいな。他になにか欲しいものはある?」
低い声が耳元で囁く、この瞬間は砂糖菓子みたいに甘い。
他に欲しいものなんてない。洋服もホテルも食事も嬉しいのは、多分由良さんといるからで。でも、強いて言うなら…
「由良さんが欲しい… 」
振り返り、じっと彼の瞳をのぞいて言ってみた。
こんなことを言うなんて、この1日が幸せすぎてきっと脳が麻痺している。
指輪までもらっていると言うのにこれ以上由良さんの何を貰えばいいと言うのか。
その答えを俺は知らない。
「幹斗、印のつけ合いっこしようか。」
なんでもないです、と訂正しようとしたが、その前に色っぽくきれいに笑んで言いながら、由良さんが俺の首筋を親指でなぞった。
collarでは隠れない少し上の柔らかい場所。
いい?と尋ねられ反射的に頷くと、由良さんの舌が首筋を這った。
「んっ… 」
吐息のかかるくすぐったさと、指でなぞられる感触とは全く異なった官能的な刺激で、自分のものとは思えないような熱っぽい声が口から溢れる。
唾液で十分に湿してから、彼の唇が同じ場所を何度か吸った。
「ぁっ…ふぅっ… 」
ちりりとした痛みに変な気を起こしてしまいそうで、反射的に由良さんの腕にしがみついてしまう。
首から唇が離れると、今度はその場所をもう一度親指で撫でられた。
「きれいについてる。肌が白いからよく映えるね。」
どことなく穏やかな、でも色っぽい低い声で由良さんから紡がれた言葉。
…俺はこんなにどきどきしてるのに、由良さんは余裕そう…。
「…ずるいです。」
ついに今日ずっと思っていたことを口からこぼしてしまった。
「どうして?」
「…格好良すぎてこれじゃあ一生釣り合えないから… 」
世紀の大問題だ。だってもう一度パートナーになってからは余計に格好良さが増してる気がするし。
いくら釣り合おうと頑張ったって相対速度的に引き離されてしまえば一生差が広がるばかりなわけで。
「そんなことないよ。僕の方が君に釣り合おうと必死なのに。」
そんなの嘘。そう言いたいのに、身体をくるりと回転させられて向かい合わせに座らされ、紫紺の瞳に真剣に見つめられたら、本気なんじゃないかって思えてしまう。
俯いて黙っていると、しばらくして由良さんに、“しないの?”と聞かれた。
「えっ…?」
意味がわからず問い返した俺に、
「幹斗君もつけるでしょう?」
と由良さんは柔らかに言って。
「付け方、わからないです…。」
泣きそうになりながら言ったら、彼の目尻が愛おしげにぎゅっと細められ、近づいてきたかと思うと、優しく唇を塞がれた。
その瞳が少し、後悔を宿しているに映ったのは俺の気のせいだろうか。
「じゃあ僕の言う通りにして。」
頭を撫でながら色を帯びた低い声で囁かれる。
「まずはつけたい場所を湿らせて、それから唇を寄せて。」
躊躇いがちに彼の首の根元に手を湯をかけると、今度はその部分に顔を近づける。恥ずかしくてぎゅっと目を瞑りながら。
「そう、上手。そうしたら、今度は強く何度か吸って。」
由良さんの指導がプレイを思い起こさせて、変な気を起こしそうだ。
言われた通りに何度か強く吸ってから唇を離すと、由良さんの首筋にうっすら赤い印がついている。
「印、つけられた?」
「あの…、はい…。」
由良さんに優しく笑みながら尋ねられ、頷くといい子、とまた頭を撫でられた。
本当に由良さんをもらった気分だ。あんな意味のわからないわがまままを受け入れて叶えてくれるだなんて、もしかしたら魔法使いかなにかかもしれない。
…なんてね。
そろそろ思考が本当におかしい。多分長湯したせいだ。
「…俺、先に出ます…ちょっと上せちゃって…。」
「そっか。大丈夫?」
「はい。少し熱いだけなので。」
嘘。本当はすごく熱い。多分お風呂のせいと言うよりは、由良さんが格好良すぎるせいで。
あらかたの水気をとり備え付けの寝間着に着替え、景色の綺麗なベランダに足を運ぶと、火照った体に夜風がとても気持ちいい。
「終わって欲しくないなぁー…。」
そんなことを思うのは贅沢だろうが、本当にそう思った。
だって今日は楽しすぎる。
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