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「由良さん。」
咲さんから連絡が来て行ってみると、この2ヶ月間ずっと会いたかった彼は、カウンター席で煙草を吹かしていた。
吸っていることに驚きながら、彼が一本吸い終わるのすら待てずに、俺はその肩を掴む。
振り向いた彼はひどく驚いて吸っていた煙草を落としたけれど、それも束の間、嘲るように冷ややかな笑みを浮かべた。
「言ったでしょう?君はもう用済みだって。」
ナイフのような声音。でも、少し震えている。
久しぶりに見た彼は、前と変わらず格好いい反面、目の下には隈ができていて、疲れ切っているように見えた。
「由良。」
咲さんが諭すように声をかけたけれど、由良さんは彼の言葉をglareで無理やり止める。
「…せめて一旦外に出て話してきて。」
咲さんは諦めたように由良さんから目を逸らし、ため息まじりに言った。
それでも由良さんは動こうとしない。
「俺、入り口の近くで待ってます。由良さんが来るまで、ずっと。」
それだけ言って、コートを置いて外に出た。
2月の夜風はやっぱり冷たい。そういえば今日は、雪が降るって言ってたっけ。
別に寒くたって、風邪をひいたって構わない。もしも由良さんが朝まで来なかったら、それもいいと思う。もう彼は俺に関心がないのだと、俺が理解できるから。
咲さんから連絡が来て行ってみると、この2ヶ月間ずっと会いたかった彼は、カウンター席で煙草を吹かしていた。
吸っていることに驚きながら、彼が一本吸い終わるのすら待てずに、俺はその肩を掴む。
振り向いた彼はひどく驚いて吸っていた煙草を落としたけれど、それも束の間、嘲るように冷ややかな笑みを浮かべた。
「言ったでしょう?君はもう用済みだって。」
ナイフのような声音。でも、少し震えている。
久しぶりに見た彼は、前と変わらず格好いい反面、目の下には隈ができていて、疲れ切っているように見えた。
「由良。」
咲さんが諭すように声をかけたけれど、由良さんは彼の言葉をglareで無理やり止める。
「…せめて一旦外に出て話してきて。」
咲さんは諦めたように由良さんから目を逸らし、ため息まじりに言った。
それでも由良さんは動こうとしない。
「俺、入り口の近くで待ってます。由良さんが来るまで、ずっと。」
それだけ言って、コートを置いて外に出た。
2月の夜風はやっぱり冷たい。そういえば今日は、雪が降るって言ってたっけ。
別に寒くたって、風邪をひいたって構わない。もしも由良さんが朝まで来なかったら、それもいいと思う。もう彼は俺に関心がないのだと、俺が理解できるから。
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