99 / 261
17-1
しおりを挟む
「由良さん。」
咲さんから連絡が来て行ってみると、この2ヶ月間ずっと会いたかった彼は、カウンター席で煙草を吹かしていた。
吸っていることに驚きながら、彼が一本吸い終わるのすら待てずに、俺はその肩を掴む。
振り向いた彼はひどく驚いて吸っていた煙草を落としたけれど、それも束の間、嘲るように冷ややかな笑みを浮かべた。
「言ったでしょう?君はもう用済みだって。」
ナイフのような声音。でも、少し震えている。
久しぶりに見た彼は、前と変わらず格好いい反面、目の下には隈ができていて、疲れ切っているように見えた。
「由良。」
咲さんが諭すように声をかけたけれど、由良さんは彼の言葉をglareで無理やり止める。
「…せめて一旦外に出て話してきて。」
咲さんは諦めたように由良さんから目を逸らし、ため息まじりに言った。
それでも由良さんは動こうとしない。
「俺、入り口の近くで待ってます。由良さんが来るまで、ずっと。」
それだけ言って、コートを置いて外に出た。
2月の夜風はやっぱり冷たい。そういえば今日は、雪が降るって言ってたっけ。
別に寒くたって、風邪をひいたって構わない。もしも由良さんが朝まで来なかったら、それもいいと思う。もう彼は俺に関心がないのだと、俺が理解できるから。
咲さんから連絡が来て行ってみると、この2ヶ月間ずっと会いたかった彼は、カウンター席で煙草を吹かしていた。
吸っていることに驚きながら、彼が一本吸い終わるのすら待てずに、俺はその肩を掴む。
振り向いた彼はひどく驚いて吸っていた煙草を落としたけれど、それも束の間、嘲るように冷ややかな笑みを浮かべた。
「言ったでしょう?君はもう用済みだって。」
ナイフのような声音。でも、少し震えている。
久しぶりに見た彼は、前と変わらず格好いい反面、目の下には隈ができていて、疲れ切っているように見えた。
「由良。」
咲さんが諭すように声をかけたけれど、由良さんは彼の言葉をglareで無理やり止める。
「…せめて一旦外に出て話してきて。」
咲さんは諦めたように由良さんから目を逸らし、ため息まじりに言った。
それでも由良さんは動こうとしない。
「俺、入り口の近くで待ってます。由良さんが来るまで、ずっと。」
それだけ言って、コートを置いて外に出た。
2月の夜風はやっぱり冷たい。そういえば今日は、雪が降るって言ってたっけ。
別に寒くたって、風邪をひいたって構わない。もしも由良さんが朝まで来なかったら、それもいいと思う。もう彼は俺に関心がないのだと、俺が理解できるから。
11
お気に入りに追加
696
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる