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「… 。」
なにも言い返すことができなかった。今朝から、…いや、もしかしたら俺が自傷衝動を抑えきれなくなる前から、東弥はとっくに気づいていたのかもしれない。
「今から俺とプレイするから。わかった?」
普段の彼からは考えられないほどの強引な持って行き方に驚く。
でも俺は、彼の問いかけに、首を横に振った。
心配かけて申し訳ないし、ここまで心配してくれる友達に“由良さんじゃなきゃ嫌だ”、なんて言わない。
でも、俺はglareが効かないから、Domとしてのプライドを傷つけるわけで…。
「どうして断るの?」
さらに彼の声のトーンが下がり、彼の気迫が身体が震わせる。
「…俺、glareがすごく効きにくい体質だから、こんな俺と、プレイさせられない…。」
言った後に、しまった、と思った。もし友人に“欠陥品のSub”だなんて言われたら最新までズタボロになってしまう…。
東弥は大きくため息をつき、そしてじっと俺の瞳を見た。
「なんで自分がここまで辛い状況で俺のこととか考えてるの…。まあ俺もSランクだから問題ないんだけど。」
そう言った彼の瞳からは、強いglareが放たれていて。
俺はそのglareを本能的に認識した。
「kneel. 」
響いたcommandに従って、身体が勝手にその態勢を取る。
そういえばまだ靴を履いていた、と気づいたのは、跪いた後のこと。
「いい子。続きは中でしようね。」
優しく微笑まれ、glareが解かれた。
身体の不調が楽になった気がする。
「…あのさ、…俺のランク?のこと、知ってたの…?」
東弥があまりにも当然のように“俺も Sランクだ”と言っていたから、すこし気になった。
「ああ、そのこと?
幹斗の元パートナー、…由良さん?と会ったときに、ちょっとglare出してみたらあっちもglare出してきたんだよ。
俺のglareで怯えないってことは彼もSランクでしょう?
彼に強く惹かれたってことは、幹斗もSランクなのかなって。」
…なるほど。3人で飲み会をした帰りに由良さんと会ったとき、由良さんの瞳からglareが漏れていた気がしたのは、気のせいじゃなかったのか。
「由良さん、牽制してくれたんだ。」
過去の出来事だが、なんだか嬉しくなって思わず口に出してしまう。
幹斗、と拗ねたように言いながら、東弥が面白くなさそうな顔をした。
「…いいんだけど、これから俺とプレイするんだから、こっち見てて。」
…あ、そうか。東弥がSランクなら、glareが効かないこともないし、プレイしても問題ないのか。
「…ごめん。」
「いいよ。Sランク同士は忠誠も支配欲も相当強くなるって聞いたことあるから。むしろなんでその人が幹斗をフったのか理解できないけど。
幹斗は何がNG?どんなプレイが好き?始める前に聞いておくね。」
「好き…はないけど、羞恥は全部NG。」
迷った末、由良さんと出会う前、いつもプレイ相手に言っていた台詞を口に出す。
由良さんに出会う前、羞恥プレイができない理由はglareが効かないせいだったけれど、今できないと言った理由は、由良さん以外としたくないから。
東弥は静かにうなずいた後、考え事でもするかのように、眉間に指を当てて唇を結んだ。
…そういえば今まで羞恥プレイをNGだと言って、嫌な顔をされなかった試しがない。多分東弥も呆れるだろうな。この期に及んでここまでプレイを制限するようなことを言うなんて。
「どこまでダメ?脱ぐの無理とかだったら結構痛みに特化しちゃうけど大丈夫?」
確実に怒られると思ったのに、ただ当たり前のように詳しい質問をされた。
「…脱ぐのも無理、だけど、痛いのは大丈夫。」
「わかった。道具探すから、中入ってベッドにでも座って待ってて。」
爽やかな笑顔で言われ、俺は黙ってそれに従った。
ここまでお人好しだと東弥も生きにくそうだな、と心の中で思ったことは、言わないでおく。
なにも言い返すことができなかった。今朝から、…いや、もしかしたら俺が自傷衝動を抑えきれなくなる前から、東弥はとっくに気づいていたのかもしれない。
「今から俺とプレイするから。わかった?」
普段の彼からは考えられないほどの強引な持って行き方に驚く。
でも俺は、彼の問いかけに、首を横に振った。
心配かけて申し訳ないし、ここまで心配してくれる友達に“由良さんじゃなきゃ嫌だ”、なんて言わない。
でも、俺はglareが効かないから、Domとしてのプライドを傷つけるわけで…。
「どうして断るの?」
さらに彼の声のトーンが下がり、彼の気迫が身体が震わせる。
「…俺、glareがすごく効きにくい体質だから、こんな俺と、プレイさせられない…。」
言った後に、しまった、と思った。もし友人に“欠陥品のSub”だなんて言われたら最新までズタボロになってしまう…。
東弥は大きくため息をつき、そしてじっと俺の瞳を見た。
「なんで自分がここまで辛い状況で俺のこととか考えてるの…。まあ俺もSランクだから問題ないんだけど。」
そう言った彼の瞳からは、強いglareが放たれていて。
俺はそのglareを本能的に認識した。
「kneel. 」
響いたcommandに従って、身体が勝手にその態勢を取る。
そういえばまだ靴を履いていた、と気づいたのは、跪いた後のこと。
「いい子。続きは中でしようね。」
優しく微笑まれ、glareが解かれた。
身体の不調が楽になった気がする。
「…あのさ、…俺のランク?のこと、知ってたの…?」
東弥があまりにも当然のように“俺も Sランクだ”と言っていたから、すこし気になった。
「ああ、そのこと?
幹斗の元パートナー、…由良さん?と会ったときに、ちょっとglare出してみたらあっちもglare出してきたんだよ。
俺のglareで怯えないってことは彼もSランクでしょう?
彼に強く惹かれたってことは、幹斗もSランクなのかなって。」
…なるほど。3人で飲み会をした帰りに由良さんと会ったとき、由良さんの瞳からglareが漏れていた気がしたのは、気のせいじゃなかったのか。
「由良さん、牽制してくれたんだ。」
過去の出来事だが、なんだか嬉しくなって思わず口に出してしまう。
幹斗、と拗ねたように言いながら、東弥が面白くなさそうな顔をした。
「…いいんだけど、これから俺とプレイするんだから、こっち見てて。」
…あ、そうか。東弥がSランクなら、glareが効かないこともないし、プレイしても問題ないのか。
「…ごめん。」
「いいよ。Sランク同士は忠誠も支配欲も相当強くなるって聞いたことあるから。むしろなんでその人が幹斗をフったのか理解できないけど。
幹斗は何がNG?どんなプレイが好き?始める前に聞いておくね。」
「好き…はないけど、羞恥は全部NG。」
迷った末、由良さんと出会う前、いつもプレイ相手に言っていた台詞を口に出す。
由良さんに出会う前、羞恥プレイができない理由はglareが効かないせいだったけれど、今できないと言った理由は、由良さん以外としたくないから。
東弥は静かにうなずいた後、考え事でもするかのように、眉間に指を当てて唇を結んだ。
…そういえば今まで羞恥プレイをNGだと言って、嫌な顔をされなかった試しがない。多分東弥も呆れるだろうな。この期に及んでここまでプレイを制限するようなことを言うなんて。
「どこまでダメ?脱ぐの無理とかだったら結構痛みに特化しちゃうけど大丈夫?」
確実に怒られると思ったのに、ただ当たり前のように詳しい質問をされた。
「…脱ぐのも無理、だけど、痛いのは大丈夫。」
「わかった。道具探すから、中入ってベッドにでも座って待ってて。」
爽やかな笑顔で言われ、俺は黙ってそれに従った。
ここまでお人好しだと東弥も生きにくそうだな、と心の中で思ったことは、言わないでおく。
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