強く握って、離さないで 〜この愛はいけないと分かっていても、俺はあなたに出会えてよかった〜 

沈丁花

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「終わったー!!お腹すいたー!!ね、東弥、幹斗、この後予定ある?」

講義が終わるなり、谷津は伸びをしながら俺と東弥の方を向き、にこにこ笑顔でそう言った。月曜の授業は1、2限とも同じ教室で、教室移動がなく、3人の配置は変わっていない。

ちなみにこの後の授業は休講だ。

「4限休みだっけ?俺は何も。幹斗は?」

「…あー、家帰って寝ようかな。」

多分谷津は食事の誘いをするつもりだろう。なんとか授業は耐え抜いたが、流石に一緒に食事をするとなると怪しまれない自信がない。

「じゃあその前に一緒にご飯食べに行こー!!最近駅の近くに出来たハンバーグ屋さん、ランチのコスパめちゃくちゃいいらしくて!!」

…谷津の誘いをお断りするのにあの一言だけでは不十分だったか。

「いや、ちょっと体調悪いし… 」

もう一言付け加え得てみる。流石に体調が悪いと言われれば無理に連れて行かれることもないだろうと思って。

「寝不足でご飯食べないのは良くない!!ね、東弥もそう思うよね!!??」

しかし、谷津の反応は斜め上だった。…いやでも今回は確かに俺にも非があるか。確かに寝不足を理由にしたのは俺だ。

察してくれ、と東弥に目をやるが、あっけなくそらされてしまう。

…あれ、なんか東弥、怒ってる…?

「食事をおろそかにするのは良くないと思うよ。…それとも、本当は熱とかあったりするの?」

「いや、そんなことは… 」

ともかく逃げ道がないことだけはわかった。多分これ以上否定したら逆に怪しまれる。

「じゃ、行こー!!」

ご機嫌な様子で谷津が帰り支度を始めたので、俺と東弥もそれに習って無言で支度をしたのだった。
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