強く握って、離さないで 〜この愛はいけないと分かっていても、俺はあなたに出会えてよかった〜 

沈丁花

文字の大きさ
上 下
77 / 261

12-4

しおりを挟む
イく直前で寸止めされたもどかしさを抱えて、服を着る余裕すらないままに言われたものを探す。

ヘッドボード、本棚、リュック、クローゼット、机の下…。

必死で探すが、見つからない。

俺の部屋なのだから、俺が一番知っているはずなのに、どうして?

身体の内に溜まった熱は、逃せないから溜まり続ける。

もどかしさで泣きそうになりながら、ベッドの上にいる由良さんを見た。彼は楽しそうに俺を観察していて、彼の視線の先を見たところで隠し場所のヒントは得られない。

「…わからない、です…。」

結局見つからず、けれどもう熱に耐えられなくて。

ベッドまで行って彼にすがると、そうだよね、と微笑まれた。

由良さんが自らのポケットに手を入れる。

「よく我慢したね。いい子。」

彼が言っている意味がわからず、なぜ褒められているのかもわからなかった。

だって俺は、命令通りに見つけることができなかったのに。

けれど、由良さんがポケットに入れていた手を出したとき、ようやくその意味を理解した。

そう、初めから由良さんはそれを隠してなどいなかったのだ。かと言って嘘はついていない。彼が持っているのだから、もちろんこの部屋の中にはあるわけで。

「…っ、いじわる、ですっ…!!」

身体が熱い。早く由良さんのものが欲しくて、俺は由良さんの屹立に手を伸ばす。

「我慢してる幹斗君が可愛くてつい。…僕も限界だから、君のナカに入らせて。」

由良さんの瞳が余裕のなくじっと俺を見つめた。

あ、もうプレイは終わりなんだ。

君付けで呼ばれたことでそれを理解する。

俺は息絶え絶えにうなずいて、自ら足を大きく広げた。早く挿れてもらえるように。

由良さんは手早くゴムを被せると、俺の頭を撫で、優しく口づけながら、ゆっくりとナカに挿入ってくる。

「あぁーーーっ…!!」

待ち望んでいた快楽を受け入れ、身体が大きく跳ねる。2週間ぶりの由良さんの熱は、俺のナカを開けるために作られた鍵みたいにぴったりとはまって、彼の熱が揺れるたび、俺は叫びにも似た嬌声を放った。

深く、かと思えば浅く。ゆっくりと繰り返される出し入れは、なんども俺の一番気持ちいいところをかすめて。

…ああ、脳が快楽漬けにされていく…。

「…どうした?」

何かに気づいたように、由良さんが優しく尋ねてきた。

この寒いのに彼の額には汗が浮かんでいる。

「…キス、したい…っ…ぁっ…んんっ…!!」

なぜだかとてもしたくなって、わがままに口付けを強請ると、噛み付くように唇を奪われた。

侵入してきた由良さんの舌に、俺は自分のそれを必死で絡めていく。

…このまま溶けてしまいたい。

お互いの境界がなくなって、一つになって。

きっとそれができないから、俺は口付けをねだったのだろう。

出来るだけ多く繋がることができるように。

…この甘い甘い聖夜に。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...