41 / 261
7-1
しおりを挟む
「幹斗おはよー!!」
一限が始まる30分前、俺以外誰もいない講義室のドアが開き、やけに明るい声が教室内に響いた。
「…ああ谷津、おはよ。早いね。」
谷津が来るのはいつも5分前くらいのはずなのに、今日は早いな。
「テンション低くね?」
「…寝過ぎちゃって…。」
「なになに、めっちゃ激しいプレイでもしたの…って、待って!!幹斗それcollarじゃん!!!」
谷津が絶叫一歩手前の大声で言ったので、俺は思わず教室に人がいないことを再確認した。
…よかった、まだ誰もいない。
昨日は由良さんの家を出たあと身体の怠さから大半をベッドの上で過ごした。
起きるたびに由良さんと繋がったことを“夢ではないか”と不安になったけれど、その度にこのcollarを確認して安堵して。
collarはつけなくては意味がないので今日もつけてきたが、大声で言われてしまうと恥ずかしい。
そしてcollarの存在を意識すると、由良さんに会いたい気持ちが強くなる。あとで一言だけLINEをしてみようかな。
「よかったじゃん。パートナーになれて。
てゆーか紹介しろよ!!そのめちゃくちゃイケメンで紳士で出会った途端に従いたいと思っちゃうようなパートナー!!」
次になんと紡いでいいかわからず黙っている俺に、すこぶる楽しそうな谷津が続けた。
だから大声で言われると恥ずかしいんだけど…。と思いながら、まだ人がいないので黙っておく。
「…文化祭で、従兄弟って言った人。」
「まじか!!それすごく面白い!!と言うか話に聞いてた通りとんでもないイケメンだな!!」
谷津の目がキラキラだ。あまりに興味津々にされたから恥ずかしいし距離が近い。
「うん。」
「じゃあパートナーになったのはあのあと?」
「…うん。」
性事情が絡むのでなんとなく声が小さくなる。
「うそーお赤飯炊かなきゃ!!やだー!!」
「しっ!!!」
ドアが開いたので谷津の口を塞ぐ。そこまで大きな声ではなかったので入ってきた人に聞こえてはいないだろう。しかし入ってきた人物は明らかに俺たちの方にむかって歩いてきた。
「谷津昨日ぶり。ここいい?」
そのまま彼は谷津の隣(3人がけ席なので俺と谷津と彼が並ぶように)に座ってくる。
「東弥じゃん!!早いな!!」
「谷津こそ。」
「ふふっ、俺はいつも早いんだぞ!!」
…嘘つけ、谷津はいつも5分前でしょ。と思いつつ、2人の会話には入らず俺は沈黙した。
いつものことだ。谷津が色々な人から話しかけられても、俺は空気のように振る舞う。
そして大抵の人は俺が頑なに黙っていれば話しかけてこないし、谷津も俺の意図をわかっているから俺に話を振らない。
「ねえ、そっちの子は?」
「あー、こいつは幹斗。ほら、文化祭の喫茶店で看板貼ってた奴。」
「へえ、幹斗君って言うんだ。ああ、あの噂の!!」
話しかけられないどころか握手しようとばかりに手を差し出され、戸惑う。
というかなんだ。その“噂の”って。なんとなく不安になるのだけれども。
基本人と話さない上にここまでフレンドリーに話しかけられることはないから、どう返すのが正解か全くわからない。
おずおずと手を差し出すと、しっかりと握られ、にっこりと微笑まれた。
一限が始まる30分前、俺以外誰もいない講義室のドアが開き、やけに明るい声が教室内に響いた。
「…ああ谷津、おはよ。早いね。」
谷津が来るのはいつも5分前くらいのはずなのに、今日は早いな。
「テンション低くね?」
「…寝過ぎちゃって…。」
「なになに、めっちゃ激しいプレイでもしたの…って、待って!!幹斗それcollarじゃん!!!」
谷津が絶叫一歩手前の大声で言ったので、俺は思わず教室に人がいないことを再確認した。
…よかった、まだ誰もいない。
昨日は由良さんの家を出たあと身体の怠さから大半をベッドの上で過ごした。
起きるたびに由良さんと繋がったことを“夢ではないか”と不安になったけれど、その度にこのcollarを確認して安堵して。
collarはつけなくては意味がないので今日もつけてきたが、大声で言われてしまうと恥ずかしい。
そしてcollarの存在を意識すると、由良さんに会いたい気持ちが強くなる。あとで一言だけLINEをしてみようかな。
「よかったじゃん。パートナーになれて。
てゆーか紹介しろよ!!そのめちゃくちゃイケメンで紳士で出会った途端に従いたいと思っちゃうようなパートナー!!」
次になんと紡いでいいかわからず黙っている俺に、すこぶる楽しそうな谷津が続けた。
だから大声で言われると恥ずかしいんだけど…。と思いながら、まだ人がいないので黙っておく。
「…文化祭で、従兄弟って言った人。」
「まじか!!それすごく面白い!!と言うか話に聞いてた通りとんでもないイケメンだな!!」
谷津の目がキラキラだ。あまりに興味津々にされたから恥ずかしいし距離が近い。
「うん。」
「じゃあパートナーになったのはあのあと?」
「…うん。」
性事情が絡むのでなんとなく声が小さくなる。
「うそーお赤飯炊かなきゃ!!やだー!!」
「しっ!!!」
ドアが開いたので谷津の口を塞ぐ。そこまで大きな声ではなかったので入ってきた人に聞こえてはいないだろう。しかし入ってきた人物は明らかに俺たちの方にむかって歩いてきた。
「谷津昨日ぶり。ここいい?」
そのまま彼は谷津の隣(3人がけ席なので俺と谷津と彼が並ぶように)に座ってくる。
「東弥じゃん!!早いな!!」
「谷津こそ。」
「ふふっ、俺はいつも早いんだぞ!!」
…嘘つけ、谷津はいつも5分前でしょ。と思いつつ、2人の会話には入らず俺は沈黙した。
いつものことだ。谷津が色々な人から話しかけられても、俺は空気のように振る舞う。
そして大抵の人は俺が頑なに黙っていれば話しかけてこないし、谷津も俺の意図をわかっているから俺に話を振らない。
「ねえ、そっちの子は?」
「あー、こいつは幹斗。ほら、文化祭の喫茶店で看板貼ってた奴。」
「へえ、幹斗君って言うんだ。ああ、あの噂の!!」
話しかけられないどころか握手しようとばかりに手を差し出され、戸惑う。
というかなんだ。その“噂の”って。なんとなく不安になるのだけれども。
基本人と話さない上にここまでフレンドリーに話しかけられることはないから、どう返すのが正解か全くわからない。
おずおずと手を差し出すと、しっかりと握られ、にっこりと微笑まれた。
11
お気に入りに追加
696
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる