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そうではないというならどうなのだろう。
考えているうちに由良さんの端正な顔立ちが少しずつ近づいてくる。
耳元に由良さんの吐息がかかった。熱い。
「…もう待てない。いい?」
囁いた声は、普段とは違う、かと言ってプレイ中の冷たい声とも違う。熱とともに、どこか縋るような響きを孕んでいる。
俺はその色香にやられて、ただ首を縦に振った。
もしかしたら由良さんも余裕を失っているのかもしれない。俺と同じで。
…だったらいいな、なんて思ってしまう。
頷くや否や本日2回目のお姫様抱っこの形でベッドの上に連れて行かれた。今日はシャワーを浴びてからじゃないんだ。
由良さんが時計を外し、ヘッドボードへ置いた。その仕草がとても大人っぽくて見惚れてしまう。
俺はシャツを脱ごうとするのに、手が震えてうまくボタンが外せない。
四苦八苦している俺の手を由良さんの手がやんわりと押し除け、ボタンを外すことはせず、身体を抱きしめ、頭を撫でた。
気持ちいい…。
「緊張してる?」
緊張なんてしてるに決まってる。こくこくと頷くと、じゃあ同じだねと言ってキスをされた。
くちゅ、と音を立て由良さんの舌が口内に侵入ってくる。
侵入した舌は俺の口内を蹂躙し、やがて入ってきたときよりもずっと淫らな音を立てて出て行った。
官能的な口吸いに、うっとりとしてしまう。心臓は破けてしまいそうなほど激しく脈打っているのに。
初めてから由良さんのキスを味わってしまったのだから、俺はもう他の味ではきっと満足できないのだろうと、頭の片隅で考えた。
考えているうちに由良さんの端正な顔立ちが少しずつ近づいてくる。
耳元に由良さんの吐息がかかった。熱い。
「…もう待てない。いい?」
囁いた声は、普段とは違う、かと言ってプレイ中の冷たい声とも違う。熱とともに、どこか縋るような響きを孕んでいる。
俺はその色香にやられて、ただ首を縦に振った。
もしかしたら由良さんも余裕を失っているのかもしれない。俺と同じで。
…だったらいいな、なんて思ってしまう。
頷くや否や本日2回目のお姫様抱っこの形でベッドの上に連れて行かれた。今日はシャワーを浴びてからじゃないんだ。
由良さんが時計を外し、ヘッドボードへ置いた。その仕草がとても大人っぽくて見惚れてしまう。
俺はシャツを脱ごうとするのに、手が震えてうまくボタンが外せない。
四苦八苦している俺の手を由良さんの手がやんわりと押し除け、ボタンを外すことはせず、身体を抱きしめ、頭を撫でた。
気持ちいい…。
「緊張してる?」
緊張なんてしてるに決まってる。こくこくと頷くと、じゃあ同じだねと言ってキスをされた。
くちゅ、と音を立て由良さんの舌が口内に侵入ってくる。
侵入した舌は俺の口内を蹂躙し、やがて入ってきたときよりもずっと淫らな音を立てて出て行った。
官能的な口吸いに、うっとりとしてしまう。心臓は破けてしまいそうなほど激しく脈打っているのに。
初めてから由良さんのキスを味わってしまったのだから、俺はもう他の味ではきっと満足できないのだろうと、頭の片隅で考えた。
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