上 下
18 / 261

4-7

しおりを挟む
反射的に、由良さんの足を持っている手とは逆の手で、シャツの裾を掴む。

掴んだ手は羞恥で震えているけれど、自分の意思に反してしっかりとシャツを持ち上げ始めた。

どくん、どくん。心臓がうるさい。

下から冷たい空気が流れ込んできて、自分の身体の熱さを伝えてくる。

言われた通りに肩まで上げると、由良さんに裸の上半身を見せつける形になった。

由良さんの冷たい視線が晒された俺の肌を値踏みするようになぞる。怖いのに、恥ずかしいのに、その氷のような視線が気持ちよくておかしくなりそうだ。

「…じゃあ、今度はこっち。シャツは下ろさないようにね。」

由良さんの足が口から引き抜かれ、もう片方の足を差し出された。

俺がもう片方の足も同じように咥えると、由良さんが目の前に先ほどまで舐めていた方の足を目の前に差し出してくる。

「…見て、こんなに濡れてる。」

俺を軽蔑するように、嘲笑するように、由良さんは言うけれど、その足先からこぼれそうな雫が自分の唾液であることを考えると、ひどく気分が高揚し、身体がますます熱を帯びた。

これ以上熱くなって、溶けてしまいはしないだろうかと不安になる。でもその前に、刺すような由良さんの冷たさで凍ってしまうかもしれない。

彼の片足は、セピア色の照明に照らされて艶かしく光っている。

ふと、彼がそれを前に出し、途端に微弱な電流のような、甘い刺激が身体に走った。

「んんっ…!!」

閉じることのできない唇は開いたまま、喉の奥から自分の声とは思えない嬌声が漏れる。

見ると、先ほどまで俺が舐めていた由良さんの足の親指が俺の胸部に当てられていた。

「ゃっ… 」

焦らすかのように中心には触れず、その周りをひたりとなぞられる。

男の胸など触れられても何も感じるわけがないのに、由良さんの親指が一周するたび、脳を支配したのはまた触れてもらえなかったという絶望と、次は触れてほしいという期待。

自分の浅ましさにため息が出そうになりながら、なおも心は中心に触れられるのを待っている。

「…幹斗、say言ってごらん.」

俺の考えを見透かすように、由良さんは告げた。

脳に響く彼の命令に、本能が逆らえない。

「そこ、触えへ(触れて)、くあはい(ください)っ…!!」

言った途端、由良さんの指がその中心に触れた。その一点に、閃光のような強い快楽が走る。一瞬で身体がはじけてしまうほどの刺激だったのに、由良さんはそのままぐりぐりとそこを刺激してやめてくれない。

恥ずかしいと気持ちいいが交錯して、もう何がなんだか分からなくなってきた。

「ゆあはん(ゆらさん)、やぁっ… 」

全く拒絶の色を示していない声は、もはやもっとしてとねだっているようにしか聞こえない。

「本当に嫌ならセーフワードを言えばいい。」

冷めた声が告げる。

実際そうである。セーフワードを言わないのは、本心では嫌がっていないからだから。

「やぁっ…、やらっ…!!」

快楽を逃そうと声を出すのに必死で、いつのまにか自分が何を言っているのかへの理解が追いつかなくなった。

そのままさらに強く擦られ、プレイ開始時から疼いていた下腹部の中心あたりから、今度はドクンと脈打つような感覚がして、そのことに驚いて。

由良さんの足の動きが止まったと同時に、知らないうちに足とシャツの裾から完全に手を離していたことに気がついた。

「お仕置きだね。」

氷の矢みたいな由良さんの声が脳に響く。

怒っているのだとわかり、ゾクりとした。

口元はわずかに笑んでいるが、目から放たれるglareは冷たい。

恐ろしさに身体が震え、自然と身体が由良さんにむけてうなじを晒した。命令を達成できなかったことを本気で後悔しながら。

Domのglareに強く圧された時、Subは無意識にうなじや腹部などを晒して忠誠心を示す、と教科書で読んだことがある。

どうやら今の自分はその状況にあるらしい。

「ちゃんと反省しているようだから、お仕置きは軽くしようね。」

もう一度由良さんの目を見ると、そこからもうglareは放たれていなかった。けれどやはり声音は冷たくて。

「ごめんなさい…。」

自然と口から漏れ出た言葉。仕置きをしないで欲しいと言う意味ではなく、ただ主人の期待に応えられなかったことが悔しくて。

「おいで。我慢できたら許してあげるから、もう少し頑張ろう。」

ぽんぽん、と太ももを叩く仕草をした由良さんの意図がわからずただ首を傾げていると、子供みたいに脇の下に手を入れられその場に立たされた。

そのまま手を引かれ、由良さんの膝の上にうつ伏せに寝転ぶ格好にされる。

何をされるのだろうと不安に思いながらも、俺は次の指示を待った。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

処理中です...