強く握って、離さないで 〜この愛はいけないと分かっていても、俺はあなたに出会えてよかった〜 

沈丁花

文字の大きさ
上 下
15 / 261

4-4

しおりを挟む
飲み物とともにサンドイッチとパスタが運ばれてきて、どちらがいいかと聞かれ、パスタを選んだ。

「じゃあ、お互いについて質問し合おうか。」

マンデリン?を煽りながら由良さんが言う。コーヒーの種類などよくわからないが、香りの良いブラックコーヒーを美味しそうに飲む姿は格好いい。

プレイの前にお互いを知ることは重要で、プレイに耐えきれない場合に発するセーフワードも決めておく必要がある。

由良さんが本当に今日プレイをするつもりなのだとようやく実感が持ててきた。

「幹斗君はどんなプレイが好き?」

「好きとかはなくて、…あの、今までglareが効いたことなくて、だからcommandコマンドも効かなくて、羞恥は無理って言ってて…。大体痛いのがメインで…。」

「そっか。…困ったな。あまり痛めつけるのは趣味じゃないんだ。」

「で、でも由良さんになら俺、なにをされても大丈夫です。command命令が効かない場合の話なので。」

ついあわてて付け加えると、由良さんは大人っぽく笑う。

「じゃあ一緒に限界を探して行こうか。」

「はい。」

…やばい、身体熱い…。

由良さんの顔が見れなくて、俯いてパスタを食べながら答える。

「セーフワードは、何がいい?」

いつもセーフワードはクラブのものを使っていたから、自分で決定したことはそう言えばなかった。

普通プレイでは言わない言葉で、長すぎず短すぎない単語…。そして何より、由良さんに気に入ってもらえるような言葉がいい。

食事を進めながら記憶を辿り、食べ終えた頃に幼い頃読んだ花言葉辞典を思い出した。

「…ヘリオトロープ、は、どうですか?」

「ヘリオトロープ…。花言葉は忠誠心か。幹斗君、センスいいね。」

やった、褒められた。嬉しい。思わず頬が緩むのが自分でもわかる。

すると突然、由良さんが目の前で小さくため息をついた。

…俺、何かしでかした…?

全力で由良さんがため息をついた理由を探すが、思い当たらない。

「…いけないよ。そんなに可愛い顔をされたら、早くプレイしたくなる。」

困った顔で言う由良さんの手元には、空いたサンドイッチのお皿と一口分だけ残されたコーヒー。

「よろしくお願いします。」

俺がそう言うと、由良さんは何も言わずに席を立った。

俺もそれに続く。

心臓に強力なバネがついているみたいだ。苦しくて苦しくて、けれど辛いわけじゃない。むしろその疼きを、心地よく感じた。

しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...