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俺の住むアパートまで谷津が来たのは、ちょうど髪を乾かし終えた頃で、結局風呂に入っている間も由良さんのことは頭から離れなかった。

「で、なにがあったわけ?」

谷津は部屋の中央に置いてある白いテーブルに俺と向かい合わせに座り、興味津々といった様子でそわそわとスタン張っている。

ちなみに、なぜか少々息切れをしている。ここまで急いで来たのだろうか。

…なんかあったっけ…。

なんで俺よりも谷津の方が落ち着きがないのかはさて置き、ひとまず冷蔵庫のオレンジジュースをグラスに注いでテーブルに置く。

そういえば由良さんはマグにコーヒーを淹れてくれたな。大人だ。…って、そうではない。

「わ、さんきゅー!!俺喉からっからで!!」

気持ちいい飲みっぷりでグラスを空にすると、谷津は再び目を爛々と輝かせて俺の方を覗いてきた。

…だからなぜ俺よりそわそわしてるんだ。そんな風に期待の眼差しで見られたら言うのが恥ずかしくなってしまう。

「…すごい楽しそうだな。」

「だって普段冷め切ってる幹斗が心臓が爆発しそうって、絶対一大事だし!!」

「… 」

笑顔で答えながら、谷津は本当に楽しそうだ。それはもう勢いよく尻尾をふる犬のように。

普段冷め切ってる、の言葉はとりあえず聞かなかったことにしておこう。

「勿体ぶってないで話せってー!!」

「…えっと、昨日のことなんだけど… 」

そろそろ谷津が本気で拗ねそうだったので、昨日の出来事を事細かに話した。
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