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ep44
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紅司の話を聞いた一葉は、確かにそんなことがあった、と驚いた。
あの頃はまだ愛染家に来たばかりで、主人に捨てられてもやもやしていた時期。
ちなみに紅司が人生2度目のスタートのきっかけになったと言うその言葉は、完全なる八つ当たりだった気がする。
…でも。
ただ珍しいからというわけではなく、紅司は一葉自身を見て、好きだと思ってくれた。それが嬉しくて。
なにも言わずに、紅司の身体に抱きついた。
爽やかな香りとともに、心地よい温もりを感じる。
「どうした、一葉。」
驚く紅司に構わず、一葉は猫のように彼の体に縋り付く。暫くそうしていると、紅司がふっと小さく笑った。
「…だから、俺は一葉を愛している。絶対に離さない。覚悟しろ。」
その低い声は真剣で、ひどく官能的に響いた。耳が刺激され、一葉はピクリと身体を震わせる。
…愛も、言葉も、プレイも、この人に与えられるもの全てが心地いい。
改めてそう思った。
だから。
「…紅司様が要らないと思うその日まで、側におります。
私は、貴方だけのSubですから。」
彼の右手につけられた、革製の腕輪にそっと口付けて。
再び彼に抱きついた。
徐に持ち上げられた力ない腕が、一葉の頭を柔らかに覆った。
あの頃はまだ愛染家に来たばかりで、主人に捨てられてもやもやしていた時期。
ちなみに紅司が人生2度目のスタートのきっかけになったと言うその言葉は、完全なる八つ当たりだった気がする。
…でも。
ただ珍しいからというわけではなく、紅司は一葉自身を見て、好きだと思ってくれた。それが嬉しくて。
なにも言わずに、紅司の身体に抱きついた。
爽やかな香りとともに、心地よい温もりを感じる。
「どうした、一葉。」
驚く紅司に構わず、一葉は猫のように彼の体に縋り付く。暫くそうしていると、紅司がふっと小さく笑った。
「…だから、俺は一葉を愛している。絶対に離さない。覚悟しろ。」
その低い声は真剣で、ひどく官能的に響いた。耳が刺激され、一葉はピクリと身体を震わせる。
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改めてそう思った。
だから。
「…紅司様が要らないと思うその日まで、側におります。
私は、貴方だけのSubですから。」
彼の右手につけられた、革製の腕輪にそっと口付けて。
再び彼に抱きついた。
徐に持ち上げられた力ない腕が、一葉の頭を柔らかに覆った。
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