46 / 57
ep44
しおりを挟む
紅司の話を聞いた一葉は、確かにそんなことがあった、と驚いた。
あの頃はまだ愛染家に来たばかりで、主人に捨てられてもやもやしていた時期。
ちなみに紅司が人生2度目のスタートのきっかけになったと言うその言葉は、完全なる八つ当たりだった気がする。
…でも。
ただ珍しいからというわけではなく、紅司は一葉自身を見て、好きだと思ってくれた。それが嬉しくて。
なにも言わずに、紅司の身体に抱きついた。
爽やかな香りとともに、心地よい温もりを感じる。
「どうした、一葉。」
驚く紅司に構わず、一葉は猫のように彼の体に縋り付く。暫くそうしていると、紅司がふっと小さく笑った。
「…だから、俺は一葉を愛している。絶対に離さない。覚悟しろ。」
その低い声は真剣で、ひどく官能的に響いた。耳が刺激され、一葉はピクリと身体を震わせる。
…愛も、言葉も、プレイも、この人に与えられるもの全てが心地いい。
改めてそう思った。
だから。
「…紅司様が要らないと思うその日まで、側におります。
私は、貴方だけのSubですから。」
彼の右手につけられた、革製の腕輪にそっと口付けて。
再び彼に抱きついた。
徐に持ち上げられた力ない腕が、一葉の頭を柔らかに覆った。
あの頃はまだ愛染家に来たばかりで、主人に捨てられてもやもやしていた時期。
ちなみに紅司が人生2度目のスタートのきっかけになったと言うその言葉は、完全なる八つ当たりだった気がする。
…でも。
ただ珍しいからというわけではなく、紅司は一葉自身を見て、好きだと思ってくれた。それが嬉しくて。
なにも言わずに、紅司の身体に抱きついた。
爽やかな香りとともに、心地よい温もりを感じる。
「どうした、一葉。」
驚く紅司に構わず、一葉は猫のように彼の体に縋り付く。暫くそうしていると、紅司がふっと小さく笑った。
「…だから、俺は一葉を愛している。絶対に離さない。覚悟しろ。」
その低い声は真剣で、ひどく官能的に響いた。耳が刺激され、一葉はピクリと身体を震わせる。
…愛も、言葉も、プレイも、この人に与えられるもの全てが心地いい。
改めてそう思った。
だから。
「…紅司様が要らないと思うその日まで、側におります。
私は、貴方だけのSubですから。」
彼の右手につけられた、革製の腕輪にそっと口付けて。
再び彼に抱きついた。
徐に持ち上げられた力ない腕が、一葉の頭を柔らかに覆った。
11
お気に入りに追加
408
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています





初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる