跪くのはあなただけ

沈丁花

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ep31

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口づけに使われていた唇が、顎、首筋、鎖骨と徐々に下に降りてくる。

「んんっ… 」

触れるか触れないかのくすぐったいような刺激に、一葉の唇から甘やかな吐息が漏れる。

やがてその唇は紅司に感じるように仕込まれた桃色の突起の近くに到達した。

「綺麗だ、一葉。ここも頬もそんなに美しい紅に染めて。」

低く凛とした声で紅司がそう囁くと、敏感になった突起に息がかかり、微かに刺激される。紅司の指がぴんと一瞬だけ突起を強く弾き、一葉は期待していた刺激に声を漏らした。

「ゃっ… 」

紅司はそれ以上突起に触れず、今度は一葉の下半身を暴きにかかる。

はしたなくどうして、と聞くこともできず、紅司にあの手この手で開かれた身体には、持て余した熱だけが虚しく身体を巡っていく。

そこにも刺激が欲しいのに。

でも、下半身もまた、刺激を求めて熱を持っていて。

「俺は下を可愛がるから、そこは自分で気持ちいいようにいじってごらん。好きだろう?」

再び甘やかな低い声がそう告げる。

…commandで強制された方がマシだ。今自分がもしその声に従うとしたら、目的はただひとつ、自分の欲望に従うことだけになるのだから。

しかし、一度快楽を覚えた身体は正直だ。一葉はためらいがちに自らの2つの突起へと両手を添え、刺激を加えた。

「ふぅ……、ぁっ… !??やぁぁっ…らっ…!」

せめて声を抑えようとして唇を固く噛んでいると、その隙間から無理矢理紅司の舌が入ってきて、一葉の唇から強制的に声を溢れさせた。

驚きのあまりびくんと跳ねた身体は、容易に跳ね除けられる程度の弱い力で抱きしめられる。

「かわいい声を我慢する必要はない。」

そう言った紅司が、ひどく色っぽい雄の顔で口角を吊り上げる。それと同時にわずかに彼の紅色の舌が彼の唇の端をなぞるのがのぞいた。

一瞬、彼が獲物を前にした肉食獣のように見えた。気づけば一葉の下半身は何にも覆われておらず、その中心部の昂りを彼の唇が覆って…

「…!?いけません紅司様っ!!おやめくださっ…ぁっ…んっ…//」

柔らかくぬらりとした温かな肉壁が一葉のそこを優しく包み込み、中の舌は生き物のように尿道にそって周りを這った。

気持ちいいところで緩急をつけられ、抵抗むなしくすぐにでも達してしまいそうになる。

…それなのに。

「ぁっ… 」

幾度となく寸止めをくらい、一葉は切なげな息を漏らす。

しばらくイきそうでイけないもどかしい快楽を一葉の身体に与えた後、紅司の口はそこを絶頂に導かずに離れていった。

だらしなく口を開け、どうしてと目で語る一葉をみて、紅司は額に手を当て熱っぽいため息をついた。まるで何かを堪えるように。

「そんなに物欲しそうな目で見るな。俺の理性がもたない。

本番前に果てたら疲れるだろう?

ここもさわるぞ。痛かったら言って欲しい。」

人肌に温められたローションが、一葉の後孔にたっぷりと垂らされる。

2日前に紅司の見る前で自分で弄ったそこは、紅司の節ばった指をすんなりと飲み込んだ。

「ぁっ…、ぁっ… 」

中から与えられる快楽は、性器から与えられるものよりもずっと奥まで響いてきて、目元から生理的な涙がこぼれる。

二本、三本と中にある指は増え、不規則に暴れまわった。

だらしなく開いた唇からは、既に抑える気力すらない唾液が端からこぼれてきて…

一葉は紅司の瞳を見つめて懇願した。

「もっ…、イかせて…っ!!」

紅司の瞳もその声を受けてぐらりと揺らぎ、彼の中心部は、スーツの上からでもわかるほどに猛っていた。

「ああ、俺ももう我慢ができない。

…その前に一葉、もう一度だけ、確認だ。」

「…へ?」

こんな時に、真剣な眼差しでなにを言うことがあるだろう。

まったく意図のつかめない質問に、一葉はおもわず変な声を出すとともに目を見開いて首を傾げた。
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