跪くのはあなただけ

沈丁花

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ep23

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「次に行くぞ。」

充分に一葉を翻弄したあと、紅司は何やらかちゃかちゃと音を立てながら、一葉の尻孔にローションをたっぷりと垂らした。

「挿れるぞ 」

見ると、それは男の陰部をかたどった透明なディルドで、一葉のモノより少し大きい。

ともかく、この小さな孔にそんなものが入るわけがない。紅司の方を向いて無理だと首を振ったが、返ってきたのは優しいキスだけで。

「いやっ…!無理っ!!怖いっ…!!

痛いっ…!やだっ!あ゛、いだぁぁぁっ!!」

みちみちと、大きな質量が中にねじ込まれていく。

「力を抜け。気持ちいい方に意識を持っていくといい。」

「あぁ…っ…!んっ…!!」

声とともに、胸の突起を紅司の舌が這ったとたん、とんでもない快感に襲われた。

少しでも痛みを忘れようと、一葉は胸への刺激に意識を傾け、そして痛みを逃がそうと枯れそうなほどの大声で喘ぐ。

「あぁっ…んっ…んぁっっ…!!//i」

執拗に舐られた突起からはとめどなく快感が溢れ出る。

ただでさえ意味をなさない女性下着をずらされた状態で突起を舐られていることや、

あの穴から機械をねじ込まれている羞恥など、だんだんどうでもよくなってきた。

ただ与えられる快楽だけを貪って、後孔の痛みも次第に異物感のみに変化していく。


しばらく経って慣れてきた頃、一葉の中を圧迫していた棒がずるりといきなり引き抜かれた。

「あぁーーーーーっ!!」

自分の意思とは全く関係のないところで強制的に施された、排泄感に似た開放感で一葉は喘ぎながら大きく目を見開いた。

足がガクガクと震える。

ぜえぜえと息を切らしその快感を鎮めようとしているのに、そんなことは御構い無しに、再び中へと機械がねじ込まれた。

「いやっ…!やっ、こわいっ…!!!」

確かに異物感はあったが、それ以上に、確かに伴った快感に対して恐怖を覚えた。

こんなことが気持ちよくなったら、自分は今度こそどうにかなってしまう。

「怖くない。気持ちよくなるだけだ。」

パン、パン、と打ち付けるような音とともにディルドが抜き差しされていく。

「一葉、look見ろ.

奥まで丸見えだ。それに綺麗な顔をしている。」

命令され反射的に鏡を覗くと、映っていたのはひどい光景だった。

高いところで足を固定され、レースショーツにテントを這った雄の先走りからはだらだらとお漏らしのように液が漏れている。

ショーツの丁度お尻の穴の位置に空いた穴からは大きなディルドが突っ込まれ、ずらされた女性用下着からのぞいた胸の突起を弄られて。

しかもディルドが透明だから、鏡にはくっきり一葉の後孔のその先、ピンク色の肉壁がしっかりと映ってしまっている。

恥ずかしくて逸らしたい目は、commandのせいでそらすことができない。

自分がそんな仕打ちを受けてなお、鏡に映った顔は気持ちいい、とでもいうようなメスの表情をしていたから、

「…きもちわるっ… 」

と一葉は思わず自分で吐き捨てた。

「そんなことはない。綺麗だ。ほら、ちゃんと言いなさい。」

低い声とともに、だらし無い雌へと成り下がった一葉に紅司が愛おしそうに口付ける様子が映る。

「き…れい…?」

宝物のように扱われれば、なんだかそんな風にも思えてきた。

だめだ、頭がふわふわしてきた。この状態のことを、なんて言ったっけ…

内壁が擦れる感覚は紛れも無い快感で、綺麗だと言った紅司の言葉に魔法をかけられたように一葉はそれを認める。

頭がふわふわしてどうしようもない。ああ、そうだ、「Sub Space」って言ったっけ…

「Sub Space」とはSubがプレイ中完全にDomに自分のコントロールを預けた状態で、

それに陥ると頭が快楽に酩酊しきったようにふわふわし、主人のことや主人から与えられる快楽のこと以外考えられなくなる。

ふと、一葉の視界に紅司の雄が映った。

こうじさま、苦しそう…。

それは窮屈そうに白衣の下のジーンズを押し上げていて、後孔から与えられる快感に溺れ生理的な涙を流しながら、一葉は彼のそこに手を差し伸べた。

そして、

「…ごほうしいたします。紅司さま…。」

勝手に口をついていた。

彼にも気持ちよくなってほしいと、心からそう思うから。

「…いや、俺は… 」

戸惑うように紅司が顔をしかめる。

「…いや?

…ごめんなさい。ですぎたことをもうしました…。」

そうだ。Subから意見するなんてどうかしてる。

どうしよう、嫌われた…?

「…調子が狂う。そんな姿、今後一切俺以外に見せるな。」

落ち込んで泣きそうになる一葉をみて、紅司はやれやれというように熱いため息を漏らした。

そして一葉の孔を弄りながら器用に自分の下半身を露わにして、

Lick舐めろ. 」

と言った。







「うっ… 」

目を開けて、身体を起こそうとして、ひどい腰の痛みに一葉はうめき声をあげた。

自らのベッドとは明らかに違う寝心地に、辺りを見回すと見慣れた景色が目に入る。

紅司の寝室だ。

…なぜ俺が紅司様の寝室に?

一葉は冴えない頭に思考を巡らせて、そこで何があったのかを思い出して絶句した。

いや、待て。あれは流石に夢かもしれない。

ナース服にセクシーランジェリーで診察台に括り付けられてそのうえSpaceに陥って紅司の雄を咥えて中身を飲んで…

どこのAVだよと突っ込みたくなる記憶に、頭を抱える。

自分が夢にそれを見たということもなかなかショックだが、そんな行為を実施したとしたら自殺ものの羞恥だ。

きっと紅司とシャワーを浴びて期間限定のパートナー契約を結んだ後、そのまま寝てしまったんだそうに違いない。

現に身体は綺麗だし寝巻きも元どおり着ている。

「おはよう、一葉。」

低く凛とした声が優しく耳元に響いて、声の方を見ると紅司がやわらかに微笑んでいる。

「おはようございます、紅司様。もう私は大丈夫ですので、お仕事お手伝いいたします。」

謎の腰の痛みは、多分蘭の馬鹿力のせいだ。そう思い起き上がろうとすると、強い力で手を引かれた。

「寝ておけ。熱がある。

…こんな状態で無理をさせてすまなかった。」

そうか、この熱さは熱があるせいなのか。気づかなかった。

無理、とは書類を届けたことについてだろうか。

それなら、当たり前のことをしたまでだ。

「いえ、むしろ助けていただきありがとうございました。」

そう返した一葉を前に、紅司は驚いたような表情をする。

「いや、それもあるがその後の…」

そこまで言って、彼は何かに気づいたように言葉を切って、

「なかなか可愛かった。」

と意地悪そうに笑った。

その大人の色気を含んだ笑みが何を意味するのか尋ねるのが怖くて、

「…お言葉に甘えてもう少し眠らせていただきます。」

動揺しきって眠れるわけもないのに、一葉はそそくさと目を閉じたのだった。
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