6 / 57
ep4
しおりを挟む
離れのすぐ前で停まった車は、一葉たちを降ろし颯爽と去って行く。
紅司は半ば強引に一葉を強引に中へと連れ込み、そこでやっと一葉の手は解放された。
「…なんのつもりですか?」
紅司につよく握られていた部分は、わずかに指の跡が残っている。
何も言わずに黙っている彼が何を考えているのか、一葉には全くわからない。
「今自分がどんな顔をしているのかわからないのか?」
熱を帯びた低い声に聴覚が刺激され、一葉の肩がびくんと震える。
脳内に靄がかかったように頭がぼうっとして、一葉は自分が何をしているのか、気づかないまま身体を動かしていた。
ただ、熱くてたまらない。
揺らぐ身体は支えを求めて前方に傾く。
トスッ、と一葉の手が、紅司の厚みのある胸板に触れた。
タガが外れた様に全ての体重を彼に任せ、無意識のうちに、
「…My load….」
自然と口ずさんでいた。
「くっ…!!」
紅司が熱っぽいため息をつき、グッと唇を噛んだ。黒い瞳が戸惑いの色を浮かべわずかに揺らぐ。
しかしそれも束の間、次の瞬間彼は暴力的なまでに強く、一葉の顎を掴み上を向かせた。
嫌だ、俺は誰にも従いたくない。誰にも愛されたくない。やめて。お願いだから、
…捨てないで…。
自分の意思とは反対に、本能がこの男に従いたいと言っている。
全力で拒む一葉の心が、一握の理性が、
「一葉、Strip. 」
…本能に負けた音がした。
紅司は半ば強引に一葉を強引に中へと連れ込み、そこでやっと一葉の手は解放された。
「…なんのつもりですか?」
紅司につよく握られていた部分は、わずかに指の跡が残っている。
何も言わずに黙っている彼が何を考えているのか、一葉には全くわからない。
「今自分がどんな顔をしているのかわからないのか?」
熱を帯びた低い声に聴覚が刺激され、一葉の肩がびくんと震える。
脳内に靄がかかったように頭がぼうっとして、一葉は自分が何をしているのか、気づかないまま身体を動かしていた。
ただ、熱くてたまらない。
揺らぐ身体は支えを求めて前方に傾く。
トスッ、と一葉の手が、紅司の厚みのある胸板に触れた。
タガが外れた様に全ての体重を彼に任せ、無意識のうちに、
「…My load….」
自然と口ずさんでいた。
「くっ…!!」
紅司が熱っぽいため息をつき、グッと唇を噛んだ。黒い瞳が戸惑いの色を浮かべわずかに揺らぐ。
しかしそれも束の間、次の瞬間彼は暴力的なまでに強く、一葉の顎を掴み上を向かせた。
嫌だ、俺は誰にも従いたくない。誰にも愛されたくない。やめて。お願いだから、
…捨てないで…。
自分の意思とは反対に、本能がこの男に従いたいと言っている。
全力で拒む一葉の心が、一握の理性が、
「一葉、Strip. 」
…本能に負けた音がした。
12
お気に入りに追加
408
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる