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懺悔と後悔②

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日が沈むぎりぎり前に大学から帰宅した礼人は、着替える気力すら湧かずベッドに背を預けた。

マットレスに身体が沈んでいくと同時に、長く深いため息が漏れる。

息でも吐いていないと、身体の内側にどんどん会いたい思いが蓄積されていって、壊れてしまいそうだ。

病院から帰った後、大学へ行き実験の授業を終えるまでは忙しさで何も考えずにいることができたけれど、今はその反動かのように、北瀬との思い出ばかり次々と脳裏に浮かんでくる。

一緒に歩くたび、“離さない”、というように自然に手を繋いでくれたこと。

博識で、礼人が悩んでいるとどんなことでも丁寧に説明してくれたこと。

礼人を映し、シトリンの瞳を泣きそうなくらい優しく細めて微笑んでくれたこと。

小学生の頃も昨日までも、北瀬はいつだって礼人に優しかった。

せめて夢で会いたいと祈り目を閉じてみるが、なかなか眠くならないばかりか、余計に鮮明に北瀬との記憶が思い起こされてしまう。

「…レポート、しようかな…。」

実験中は大丈夫だったから、手を動かしていれば少しは考えずに済むかもしれない。

そう思った礼人は、リュックの中からレポート用紙を取り出して課題の画面を開いた。

1問目から、教科書と照らし合わせ順番に計算と解き方を綴っていく。

北瀬のおかげでずいぶんとこの科目が理解できるようになった。でも、やはり最後の問題だけは教科書を見てもわからずに手が止まってしまう。

「あの、北瀬先輩、この問だ… 」

言いかけて、あっ、と口を塞いだ。

北瀬のことを考えないためにレポートを始めたのに、そもそもこの部屋の中に北瀬がいるわけでもないのに、どうしてその名前が口をついてしまったのだろうか。

ぽたり、とレポート用紙に雫が落ち、シャーペンの文字を滲ませる。

「どうしよう、濡れちゃった…うぅっ… 」

記憶を思い出したからこそ、より彼の存在が大切だったのだと分かってしまった。

会いたいと願う気持ちが、余計に膨らんでしまった。

この苦しみは、どこまで続くのだろうか。

始まったばかりなのに、もう何時いつ終わるのかを考えている。
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