一番近くに。

沈丁花

文字の大きさ
上 下
32 / 68
優しい夜

2人ですること

しおりを挟む
あんな風に待っていてと言われて寝れるはずもなく、冷たいミルクティーを飲みながらアシュリーの帰りを待つことにした。

夜が楽しみだな、などと甘く低い声で囁かれたのが耳にまとわりついて離れない。

アシュリーが仕事に入ってからはずっとうわの空で、掃除をしていても食器を片付けていても洗濯を取り込んでいてもいつまでも彼の声を無意識に反芻していた。

彼がもしもう一度僕の大事な部分に触れたら、、と考えるだけで真っ赤になり、しかし考えるのをやめられなくて、下半身が疼いている。そんな自分に心底失望していた。

アシュリーは僕の身体のことを考えながら自制できるのに、自分はなんでこうなんだろうと思う。自分勝手で情けない。

本当に何も手につかないので、仕方なくソファーの上に寝転がる。天井を見ながらじっとしていると、しばらくしてアシュリーの帰ってくる音がした。

「ただいま。」

「お、おかえりなさい。」

その美しい顔を直視できなくて、思わずそこから目をそらしてしまう。次に目に入る白衣から覗く鎖骨も、その長くて美しい指も、何が視界に入ってもそれがひどく官能的なものに思えた。

どこを見てもダメなのでうつむいて床を見ていると、アシュリーが近寄ってきてぎゅっと抱きしめられる。

「顔真っ赤だよ。ずっとその様子で待ってたの?」

うん、ともともとうつむいた顔をもっとうつむかせてうなずいた。

甘く囁く優しくて低い声音は、明らかにいつもと何か違う色を帯びている。その声を聞くだけで自分はどうにかなってしまいそうで。

ただそれは彼にも言えることのようだった。甘い吐息とともに、彼がじっと僕の目を見据える。

「ごめん、もう無理だ。」

いきなりふわっと身体が宙に浮いたかと思うと、そのままお姫様抱っこの形でアシュリーの部屋まで連れていかれた。

顔がこんなに近くにあることに、抱かれている間は恥ずかしすぎて、彼の首にしがみついたままぎゅっと目を閉じていた。

アシュリーの部屋のベッドに身体を降ろされると、大好きな香りに包まれた。しかしその香りさえも今は安心できるものではなく気分をおかしくするのに十分だった。

彼が1番小さな明かりを灯すと、その部屋はまるであの処理の時とは別空間の、大人のための空間に変わっていく。

薄暗く、でもお互いの身体はしっかり見える程度の明るさ。アシュリーの顔も紅潮している気がする。ほのかな暖色の明かりのせいだろうか。それとも…。

「あの時みたいに、全部脱げるね?」

優しいキスを僕の顔のいたるところに落としながら、彼は僕にそう告げた。その声も、あの時とは違う。

この声で囁かれたら、絶対に従うしかない、と感じた。

恥ずかしくて真っ赤になりながら、このあかりの下で顔の赤さはわかりませんように、と願いながら、少しずつ上から衣服を脱いでいく。

全てを脱ぎ終わり1番大事なところを無防備に晒すと、彼はその一点を熱を帯びた瞳で見つめてきた。

「恥ずかしいよ」

「だめ、ちゃんと見せて。」

普段の優しい彼からは考えられないほど、羞恥心を煽ってくる。隠そうとした手は押さえつけられ、自分のそそり勃つそこを彼の目がなぞっていく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】

海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。 発情期はあるのに妊娠ができない。 番を作ることさえ叶わない。 そんなΩとして生まれた少年の生活は 荒んだものでした。 親には疎まれ味方なんて居ない。 「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」 少年達はそう言って玩具にしました。 誰も救えない 誰も救ってくれない いっそ消えてしまった方が楽だ。 旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは 「噂の玩具君だろ?」 陽キャの三年生でした。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】

NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生 SNSを開設すれば即10万人フォロワー。 町を歩けばスカウトの嵐。 超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。 そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。 愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

短編エロ

黒弧 追兎
BL
ハードでもうらめぇ、ってなってる受けが大好きです。基本愛ゆえの鬼畜です。痛いのはしません。 前立腺責め、乳首責め、玩具責め、放置、耐久、触手、スライム、研究 治験、溺愛、機械姦、などなど気分に合わせて色々書いてます。リバは無いです。 挿入ありは.が付きます よろしければどうぞ。 リクエスト募集中!

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...