一番近くに。

沈丁花

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悩み事

恥ずかしいこと

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アシュリーの部屋は時々掃除するために入るが、彼と一緒に入ったことはほとんどない。なぜだかとても緊張する。

目のやり場に困り下を向いていると、ベッドの方に行くように促された。ベッドに座ると、アシュリーのにおいがした。

同じ空間で生活しているはずなのに、自分とアシュリーのにおいはどこか違う。何か爽やかな、綺麗な香り。

これがアシュリーのベッドで、彼はいつもここで寝ているんだなと思うと、なぜかとてもドキドキした。

「じゃあ、そこで服と下着全部脱いでくれる?」

…?唐突に言われた言葉に、耳を疑った。

「えっと、、、」

「裸になって。」

口ごもっているとさらに恥ずかしい言葉で言い直され、顔が熱い。でも、多分相談事の解決に繋がるのだと思って、羞恥に震えながら自らの服を脱いでいく。

一枚一枚脱いで行き、最後の一枚を脱ごうとして、無理だよとアシュリーにすがりついた。

恥ずかしすぎる。

「テオ、ちょっとごめん。」

妙に色気を帯びた、低くささやくような声で耳元で言われた言葉に、恥ずかしさに緊張までが混ざって一気に顔が赤くなるのを感じる。

頭を撫でられたと思ったら、いきなり強く口付けられた。それも、ふつうに口をつけるだけではなく、ノアとあの女の人がやっていたような、激しいやつ。

驚いているとそのゆるんだ唇の間から舌が入ってきて、生き物のように動いていく。

心臓が飛び出そうだ。口内に侵入した初めての感覚に頭がついていかなくて、この現実に心臓が破裂してしまうかもしれないと思う。

今までの人生で、こんなに鼓動が早かったのはあの女の人がすごく恐ろしく容赦のないともだちをつれてきたとき以来だ。

しかし今抱いている感情は恐怖ではない。それだけはわかる。

ぴちゃぴちゃと舌が絡み合うたびに唾液が混ざり合う音が響く。

そして、それをされるがままに受け入れていると、いつのまにか下着は全て下ろされていた。

「テオ、口の方に意識を持っていっておいてね。」

そう真剣な顔で言われわけもわからず混乱した状態で頷くと、いきなり下半身の一番恥ずかしいところにアシュリーの細長い指が触れた。

反射的に手でその指を振り払おうとするが、背中側に回ったアシュリーに手が動かないように左手で二本の腕を痛くない程度に強く押さえつけられる。

裸で、背中から手を回されて両腕を固定され、そして1番大事な部分に大好きな人の指が絡んでいる。その状況に脳の処理が追いつかず、思考を放棄した。

「あっ、、、やっ、、」

変な声が出てしまう。そしてその触られている箇所に全ての熱が集中していくのを感じた。

「テオごめん、でも可愛い。」

アシュリーは今まで見たこともないような、色っぽく情熱的な、獣のような表情をしている。

水色の瞳が、ひどく赤みを帯びて見え、そして彼の真っ赤になった唇が、何か別のもののように卑猥に見えた。

そして、低い色っぽい声で耳元でそう言われたとき、溜まった熱が全て弾けるような、強烈な快感の波がその場所を襲った。

体がピクピクとけいれんしている。それに耐えきれず、せめて息を吐いてそれを軽減しようとまるで自分の声ではないような叫び声が口から出ていく。

快感の波が遠のいていくと、自分が息急き切っていることに気がついた。全力で走った後のような、それでも心地よい疲労感が体を支配していた。

もう何も考えられない、と思考を放棄しようとしたとき、目の前の光景を認識して言葉を失った。

「アシュリー!手!!

…ごめんなさい。」

泣きそうだ。いや、もう実際少し泣いている。アシュリーの手に、朝いつも下着を汚していたものと同じ白濁が絡み付いていた。

汚してしまって御免なさい。変な声を上げて御免なさい。こんなことさせてごめんなさい。

気持ちよかった、その自分に嫌悪を抱いた。

「とりあえず、今見せた現象について説明する。自然なものだから、どうか落ち着いて。

むしろ、恋人同士が向き合っていくものとしては、喜ばしいものなんだから。」

アシュリーの優しい言葉が、脳内に降り注ぎ少しずつ安堵をもたらした。いい子だ、と優しく頭を撫でられ、もう一度、今度は触れるだけの口づけをされる。

「俺が説明しなかったことにも大いに責任があるからね。えっとこれは、、、」

説明されて、なんのためにこんなエラーが発生するのか、めんどくさい、というとアシュリーは困った顔をした。

それについてもいつか話すから、と彼は汚れを温かいタオルで優しく拭き取りながら少し悲しげにそう言った。
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