僕を愛さないで

レモンサワー

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理事長は狸

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「失礼します。理事長、転入生のことで報告があります。」

「え?なに?早速あの子問題起こしてくれた?」

やっぱり。彼が問題児だと知っていて転入を許可したのか。

「はい。今日は意味の分からない言葉を話し続け、正当防衛とはいえ生徒をぶん投げて壁を壊しました。風紀が過労死したら、どうしてくれるんですか?」

「あっははは。やっぱり期待通りだわ~、あの子。」

理事長は僕の報告に、とても嬉しそうに相槌を打っている。

地獄に堕ちてほしい。

「あの子、一応あの子の叔父なんだよねー。あの子の母親からこの学園に入れて欲しいとか言われたけど、面白いことになったわー。」

「あの子、転入試験受けてないですよね?それか受けたけど、合格はしていないのどちらかでしょう?」

この学校には入学試験と転入試験がある。入学試験よりも転入試験の方が難しいと言われていて、毬藻くんに出来るとは思えなかった。

「そうだよ。彼ねー、全部一桁代だったんだよねー。テストの点数。」

不合格ということが真実だとしても、簡単に教えないで欲しい。

一桁代ってヤバくないか?どんなに頭悪くても真面目に頑張れば40点はいけると思うんだけど。

転入試験は基本問題は解けて当たり前で応用問題で勝負がつく問題だからね。

「これ以上、問題を起こすようでしたら風紀が対応するので。」

「あれっ。やっぱり、あの子嫌いになったんだねー。」

「私情で判断なんてしませんよ。彼を野放しにするのは危ないと思ったので。」

「嘘つけ~。いつもは、もうちょっと様子を見ますとか言うのにさー。」

僕は今までも問題児がいても、とりあえず様子見ということをしてきた。

問題児にも事情や原因など色々あると思うから。

でも毬藻くんは問題児とは少し違う気がする。僕の勘がもっと面倒くさいことを起こすと言っている。

彼がこれ以上問題を作り続けるのだったら、僕だって容赦はしない。

「でも毬藻、期末試験大丈夫なのか?この学園、かなり難しい問題が出ると思うんだけど、転入試験も合格してなかったら赤点なんじゃね?」

今まで静観を務めてきた蓮が疑問を口にした。

「そこらへんは上手く隠しておくように彼の母親から言われてるー。」

「彼の母親も、かなり頭おかしくないですか?子供は親に似るんですね、やっぱり。」

「まぁ、この学園って一応名門だから就職とかが楽になるからね。毬藻くんの母親はそれも狙ってるんだろうね。」

「なるほどね。」

「とにかく、僕は手出しはしないよ。」

つまり毬藻くんを援護もしないし、風紀に味方するわけではないと言うこと。本当にこの人、理事長なのかな?

「構いませんよ。ですが彼がこれ以上、問題を起こさないことを願っていますね。風紀が手を出す前に。」
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