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チョコレートの罠

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ついにこの日がやってきた。
この世で一番チョコレートが飛び交う日、バレンタイン。
そして年に一度、俺が英介を崇め奉り平伏する日。

会社の役員で、モテるα男・英介は、いつもたくさんチョコをもらってくる。
モテない俺は、そのおこぼれを頂戴するのである。
プライド?
そんなものでは、高級チョコお宝はGETできない。


*****



「うぇーい大量だぁ」

俺は、英介が持ち帰った大きな紙袋2つを覗き込む。

「食べ過ぎはだめだよ?」
「はいはい、1日2箱ね」
「2個」
「そんなペースじゃ処理しきれないだろー」

ニヤニヤしながら、もらった英介より先に開ける。
あげた人の気持ち?そんなの知るか!
英介は俺のモノ。
つまり、英介のモノは俺のモノだ。

「開けてもいいけど、僕が選んだヤツしか食べちゃダメだよ?」

風呂に行く英介に、はいはーい、と生返事しながら包装紙を剥いて戦利品を確認していく。

(コレ催事で出てたやつ!気になってたんだよな~。
おぉ!ココのは高いけど美味いヤツだ、お目が高い!
こっちは初めて見た、すもも味の生チョコ?どんなんだろう)

開封後、誰から何をもらったかわかるように、一つずつ中身を確認し、付箋に内容を書いて、手紙と一緒に置いていく。


(あ、コレ本気ガチっぽい)

手書きの可愛い手紙とメッセージカード付きの箱が目にとまる。
開けてみると、高級そうなチョコレートがハートの形になるように陳列されている。
手紙は見ない主義だが、なんだか気になってメッセージカードだけ走り読む。


〈英介さん
いつもお世話になっています。
今度お誘いするので、一緒に飲みに行ってくれると嬉しいです。
営業事業部 りな〉


英介はパートナーがいることを公表している。
それなのに、堂々と食事に誘うだと・・・?
しかも、名前呼びした上に、俺に見えるようにわざわざメッセージカードに書くなんて。
喧嘩売ってんじゃねぇか。
モヤッとした俺は、ハート型に並べてあるチョコレートをわし掴むと乱暴に口に放り込んだ。

「食ったるわい、こんなもん」

いつもなら形を眺めて一粒一粒大事に食べるチョコレートを、わざと音を立ててバリバリと乱暴に食べる。
ハートの原型がなくなったことで、胸のモヤモヤが少し晴れた。
内容を付箋に殴り書きして手紙に貼っ付けて、次の包装紙を開ける。

(あ、山田さんからだ!お二人でどうぞ、だって。ここの美味いんだよなぁ~)

俺も知っている人からのチョコブラウニーに、感謝の合掌をして付箋をしたためる。
ふと、口寂しくなって、さっきのチョコレートをまた一粒食べた。

(これ洋酒入ってて、うまっ。・・・まぁ、チョコに罪はないからな)

口をもぐもぐしながら付箋を書く作業に勤しんでいたら、風呂から上がった英介に見つかった。

「あれ?祐馬、食べちゃったの!?」
「・・・あ。すまん、つい」

慌ててやってきた英介が、俺が食べたチョコレートの箱や手紙を確認する。
俺は後ろめたくて、口の中のチョコレートを飲み込んだ。
包装紙を見て何かに気付いたのか、途端に緊張感を緩めた英介が、俺の背をさすって声をかけてきた。

「気持ち悪くない?もし、体調悪くなったら言うんだよ?」
「ただチョコレート食べただけだろ。そんなに心配しなくてもーーー」

急に身体がポカポカと温かくなってきた。
さっきの洋酒のせいか?と思ったが、酔ったのとは違うような。
体調不良なわけじゃない。
不良どころかーーーーー俺の息子がめっちゃ元気。

(うわぁヤバいとこがヤバくなってるぅうーーー!!!
このチョコ、何が入ってたんだよ!!)

得体の知れないチョコレートを英介が食べなくてよかったと思いつつ、俺は気づかれないように息を整える。

「祐馬、大丈夫?汗すごいよ?」
「うん。へーき、へーき」

ちょっと棒読みになりながら、前屈みになってやり過ごす。
英介に背を向けて、気づかれないように落ち着こうとする。
しかし、だんだん息が荒くなって動悸までしてきて、さっきから奥が疼いて仕方ない。
英介に触られたくて、英介に突っ込まれたくて、欲望がとまらない。
ダメだ、動けそうになったタイミングでトイレに駆け込もう、と決めた。

「本当に平気なの?・・・ここ勃ってるけど」
「ヒィッ・・・・~~~~ッ!?」

後ろから英介が俺の股間に手を伸ばしてくる。
布越しに触られただけで、すごく気持ちが良くて、俺は息を呑んだ。

(・・・イくかと思った)

力が抜けてへたり込むと、英介の手が優しく揉んでくる。

「ッ!英介、今やばいからっ」
「だって、苦しそうだよ?」

触ってくる手を掴んで、やめさせようとするけど一向に止めてくれない。

「チョコレート食べて、こんなになっちゃうの?」
「うぅ・・・」

僕も食べてみようかな、なんて言い出すので、一瞬正気に戻った俺は慌てて蓋をした。

「や!これはやめた方がいい!」
(こんなもの英介が食べてみろ、いつぞやの地獄が再来する)
「じゃあ、こっちのにしよう。はい、あーん」

英介は別の箱からチョコレートを取り出すと、俺の口に咥えさせる。
そのまま唇を寄せてきてキスされた。
チョコレートを入れたばかりの口は無防備で、英介の舌を簡単に受け入れてしまう。
舌を絡めて味わうように吸われて、俺は無意識に内股を擦り合わせて股間を刺激していた。
今夜のために準備していた後ろの穴も疼いてくる。
気付いた時には腕を回して、英介を求めて口付けを深くしていた。

「ん、・・・・ふぅ、んぅ・・・ンッ」

じんわりと下半身が濡れた感覚がして自分がイッたことを察した。
俺を貪り尽くした英介が、唇を離すと、彼の口にチョコレートが付いていた。
思わず舌で舐めとると、啄むようなキスでお返しされる。

「美味しかった?」
「・・・うん、まぁ」

本当は味なんて全然わからなかったけど。

「僕はまだ食べ足りないな」

チョコレートの箱が散乱している中、押し倒されてスウェットのズボンとパンツを下ろされる。
一回出したのが嘘のように回復している息子は、元気にそそり立っていた。
英介はチョコレートを口に入れると、そのまま俺のモノを咥えた。
チョコレートの凹凸が裏筋に当たってそれがまた、俺のモノを刺激した。
体温でチョコレートが溶け始めると、ぬちゃりと粘着のある別感触が俺のモノを撫でた。

「中に何か入ってた。何だろう?」
「~~~知らねーよっ!」

チョコの箱から説明書を取り出すと俺に渡して、もう一粒咥えてフェラを再開する。
今度はザラザラした感覚が、柔らかい棘のように俺のモノを刺激した。

「今のはどれだと思う?」
「知るか!・・・おい、勘弁しろよ。マジで」

このままチョコ当てクイズをさせる気かと、あまりの恥ずかしさに顔を覆った。
俺の主張は一切無視して、次の一粒を口に入れて咥えられる。
すると、ピリピリとした刺激が先端に走って、思わず射精してしまった。
英介が、突然出してしまった俺のせいで咽せる。
思いがけない衝撃に呆然としていた俺は、ハッとして声をかける。

「わ、わりぃ・・・、だいじょうぶか?」

テッシュを差し出して、吐き出させた後、放り出していた説明書を確認した。
“唐辛子入り““山椒入り”“ワサビ入り”の文章を見つけて、箱の蓋を閉じた。

「はい!もう終わり!」

どれが当たったのか知らないが、そんな恐ろしいロシアンルーレットは続けられない。

「僕はまだ許してないんだけど」
(これは、、、怒っていらっしゃる)
「・・・っ、か、カーペット!汚しちゃうから、な?」

怒りのポイントがわからず、どうすれば怒りが収まるのかわからない。
とにかくやめさせたい俺は、他の理由をつけてやめさせようとする。
だけど、その試みは全然笑ってない笑顔で返されて終わった。
英介は手近にあった包装のリボンを手に取ると、非情にも俺の息子に括り付けたのだ。
そして複数の包装紙を広げると、その上に俺を四つん這いにさせる。

「これでいいかな?」
「・・・はい(全然良くないです)」

英介は俺の返事に満足すると、宝石のようなチョコレートをあろうことか、俺の穴に押し込んだ。

「ひぃ゛っ!?お前っ!何してんだよ!!」
「僕がいいよって言ったチョコだから、好きなだけ食べていいんだよ?」

チョコを押し込んだ指で内側を刺激されて、思わず声を飲み込んだ。

「悪かった!もう、お前の許可なく食べないから!ごめんなさいぃっ!」

ケツを差し出した情けない姿で謝る俺を無視して、2個目のチョコレートが投入される。

「いゃぁあッ!・・・た、食べ物は粗末にしちゃいけないんだぞっ!」
「今から美味しくいただくから大丈夫だよ」

俺の説得も虚しく、次々と容赦なく俺の穴にぶち込まれるチョコレート宝石たち・・・・。

(ああぁ、、、俺の財宝が、、、、)

俺は世界中のパティシエの皆様に心の中で土下座した。
チョコレートは俺の体温で温まり、ドロドロとした物体へ変化していく。
周囲は甘い匂いに染まり、俺は血の涙を流しながら非情な恋人の責め苦に耐えていた。
あらかた溶けたはずなのに、まだごろごろと体内が刺激される感覚がする。
その物体Xを指で転がし、中を弄んでいる英介に恐る恐る尋ねる。

「英介、なに、その・・・」
「ああ、ゼリー入りだったみたいだね」

(やっぱりぃ~!)

脳裏には、異物が取れずに医者の世話になる自分の姿が浮かぶ。

「と、とれぇ!とってぇぇー!」
「うーん。もう少し広げてくれないと、とれないかな~」

俺は両手を後ろに回して、穴が広がるように尻を左右に持ち上げる。
恥ずかしくて、もう言葉は発せない。
英介は、チョコレートでベタベタになった俺の穴から指を抜いた。
そうして、何を思ったか舐め始めた。

「ひぅっ・・・お、おいっ!違うって、とれよ!」
「今忙しいから、あとで」

(忙しいって何が!?)

俺は半べそかきながらも言い返せない。
今、口を開いたら絶対変な声を出してしまう。
声を殺して穴を舐められる恥辱に耐える。

「出したいんでしょう?力まないと出てこないよ」

力めと言ったくせに、英介の指がまた俺の穴を弄り始める。
腹に力を入れると、無駄に指を締め付けてしまって、中が刺激される。

「う゛ぅ・・・、はぁ、・・・うぅ・・・」

英介の指は丸っこいゼリーの塊に触れているのに、一向に出そうとしない。
それどころか、塊で内壁を擦って、俺の感じるところを刺激してくる。

「ん、ん゛ぅ、・・・も、いい加減に、・・・しろって」

チョコなのか体液なのか、ぐちゃぐちゃと音を立てて、指を激しく出し入れされる。
穴から漏れた液体がチンコまで流れていく感覚が不快で、鳥肌がたった。
散々いじりまわされた後、ゼリーが出された時には、俺は息も絶え絶えの状態だった。
ずっと浅いところばかり触られて、奥に触れられないもどかしさで、気がおかしくなりそうだ。
奥が切なすぎて、尻を高く上げたまま、誘うように揺らしてしまう。

「はぁ、・・はあぁ・・・、えー・・すけ」
「どうしたの?」

とぼけたように言う英介が憎らしい。
俺は、英介の股間に手を伸ばして、ズボンの上から指でなぞる。

「もぅ、い、入れて・・・奥に、ほしい」
「いいよ、あげる」

俺が上目遣いで言うと、英介は俺の頭を優しく撫でた。
英介がズボンをずらして自分のモノを取り出す。
すでに勃ち上がっているソレを2、3回扱いて完勃ちさせると、俺のドロドロになってる穴に入ってきた。

「ふああ゛ぁぁーー・・・・っ」

やっと奥まで受け入れられたのが、気持ちよくて自分から腰を振る。

「あっ、あ゛っ、あ゛あぁぁッ、はぁっ」
「ッ、はっ・・・、はっ、は。積極的だね、祐馬。そんなにほしかった?」

言葉にならなくて、俺は何度も頷いた。
英介は俺の望み通り、何度も奥のいいところを叩いてくれる。
その度に快感が走って、足の親指がピンと伸びてしまう。
出していないのにイッているような感覚に、呼吸が苦しくなってくる。

「くるしぃ・・・。えーすけっ、もうッ」

堰き止められているモノを開放したくて。
リボンを取って射精したいのに、手が震えて取ることができない。

「汚れちゃうよ?いいの?」

今更なくらい下半身と包装紙をベタベタにした俺だが、英介が欲しすぎて気にする余裕はない。

「いいッ、もうイキたいッ、」

英介は後ろから貫いていた俺の体を反転させると、正常位にして、ぐっと俺の体を折り曲げると両足を肩に乗せた。
そのまま激しく攻め立てながら、リボンを解く。

「ーーーーーーーーーッッア゛!!」
「ッ、締め付けすごいッ・・・」

開放感に身体を大きく痙攣させると、中にぎゅっと力が入る。
俺の出した精液が自分の胸と腹部を汚した瞬間、体内の英介がビクビクと震えるのを感じた。




*****



「まったく、ガードが緩くて困っちゃうなぁ」

祐馬の寝顔を眺めながら、英介は独りつぶやいた。

(まぁ、そこが祐馬のいいところでもあるけど)

贈り物の類で、嫌な経験をするαは多い。
かく言う英介も、実害のあるものから呪術めいたものまで、さまざまなものをもらってきた。
バレンタインや誕生日のような記念日に不特定多数から贈られたものは、秘書に選別してもらってから、厳選されたモノを持ち帰るようにしている。

英介は、ベッドから抜け出すと、とある女性部下に連絡した。
夜ふかい時間だが、相手はワンコールで電話に出た。
電話口の後ろで銃声が聞こえるのは、オンラインゲームの真っ最中だからだろう。

「何です?今忙しいので、手短にお願いします」
「わざと本気っぽいチョコ紛れさせたのは君でしょ」
「あ、バレました?パートナーさんといい夜過ごせました?」
「・・・今度の出張で美味しい地酒を買っていくよ」
「ありがとうございます。今週忙しかったですからね。しっかり充電して、来週からよろしくお願いしますね」



電話を切った後、英介は週明けの業務を思い出し、憂鬱になりそうな心に蓋をした。
そうして、自分のご機嫌取りに使われた、かわいそうで愛しい生贄の仔羊こいびとを抱きしめた。
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