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一章〜ギルド設立を目指して〜
十九話 バトルロワイヤルの激闘④
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「あんたーー馬鹿力なのね」
「小娘如きに止められるんだ。馬鹿力ではないだろう」
「小娘ねえ。一様これでも十八歳なんだけどーーハッ!」
「ーー危ねえ。何だその魔力」
私は虎使いの男と攻防戦を繰り広げている。
男の攻撃は、一撃一撃が重い。結界の一点を付くのではなく、結界全体に重みを乗っけて押しつぶすような攻撃をしてくるのだ。
結界の良い点は、何処から攻撃されても守ることができるところであり、それがかえって悪い点でもある。
結界は全体的に守ることができるが、しかしそれは一点攻撃をどの方向から受けても大丈夫と言う意味であり、全体攻撃を受けてしまえば簡単に壊れてしまう。
結界はそもそも、全体に張り巡らせた魔力を一点攻撃受けた際にその部分に魔力移動を行って強化するだけの壁。
全体攻撃を受けて、全体に魔力移動を行うことはその分魔力の消費量が格段に上がることになる。
つまり、結界を張るのに魔力を使い、攻撃を防ぐのにまた魔力を使う。仕組みは難しくない。
しかしどうだろうか? 魔力で結界を張って消費ーーその上、全体攻撃を防ぐのに魔力を大量に消費。
ただただ魔力の消費量が増える一方で、消費者は魔力の枯渇へと早く近づく。
だからこの男の攻撃は、私にとってはウザいとしか思えない。
攻撃より防御の方が、魔力の消費は大きい。
防御は最大の攻撃ーー攻撃は最大の防御とか、なんとか。
ただの魔力枯渇への最悪な最短ルートだ。
「お前、まだ結界を張っていられるのか」
「舐めないでよ、魔力はあるわよ。結界張りながら、あんたを殴ることはまだまだ余裕よ」
「なんて娘だ……だが先に魔力を枯渇させるのはお前で間違いなさそうだっ!!」
男のまた思い一撃が、それに重ねて虎のパンチも結界にぶつけられる。
この虎……魔力を宿しているのっ!?
「なんてチームよ……。虎にまで魔力を」
「虎は家族だ。俺達は、魔力を宿している虎を赤子の時から育てて今こうしている。何も、手は加えていない」
「いやいや、加えてるわよっ!? ーーああ、もうっ! 虎は静かにしてなさい!」
虎のパンチがまたもや繰り出され、私は邪魔に思ってしまい足で蹴り跳ね返した。
虎は地面を後ろ足二本の爪で勢いを殺しながら後方へ飛ぶ。
「ーーやっぱり、ただものじゃねーな。魔力を全く込めていないだろ今の」
「さあ? 話の邪魔するようなことを、あんたのペットがしたから二重人格の裏の私が怒ったんじゃない?」
「馬鹿言え、その力は魔力がよっぽど段違いに高くないと無理な蹴りだーーだが、良い。そんな相手と俺は戦いたかったああああ!!」
「……っ!」
男は虎を操り、頭突きさせて私の結界に一点攻撃を仕掛けその上から自分の拳で全体攻撃を重ねる。
虎に集中していた私は、一点攻撃の方に魔力を移動させてしまい男の攻撃についていけなかった。
男の攻撃で結界にヒビが入る。
完全にしてやられた。そう思った時には、結界の一部に小さな穴が空いていた。
馬鹿力で魔力を強めるーーやっぱり、魔法適正値はどうにでも上げることができるこの仕組みは、魅力的だ。
だが、魅力的な裏には恐怖的な一面を隠し持っている。
私の結界が、魔法適正値では下のはずの男に壊されたことは、恐怖的だった。
「ーー畳み掛けるぞ!」
「……どうするのよこれ」
「リリー殿お! 結界を捨てるですぞお!」
「ーーっ!? なるほどね、そうね」
観客席から影縫の声が聞こえ、振り向くと彼女は拳を握って反対の手で指差していた。
拳を使えと、そう助け舟を出してくれたのだ。
影縫は声で拳に集中が行かないよう計らってくれたのだろう。
おかげで、忘れ掛けていた私の攻撃スタイルを忘れるところだった。
「ーーしまいだっ!」
「ーーバーカ……ハアアアアッ!」
「なに……止めた!?」
男と虎のダブル攻撃を、私は両手で止めた。
男と虎は連動しているかのように、右手と右前脚で攻撃してきて、どちらかは当てられると思ったらしい。
だが、それは甘い考えで、私は右利きではあるが両手を自由自在に操れる両利きーーだから、咄嗟の反応で防御態勢に入っても右手だけではなく両手が出るのだ。
右手で男の右手を捕らえ、左手で虎の右前脚を捕らえ。
力を両手に込め、どれだけもがいても手が離れないよう固定する。
「……馬鹿な。こんな力が、出せる訳……」
「そうよね、か弱い私の腕からこんな力が出るとは思わないわよね? でもね…………全身強化魔法をとっくに解いていることに気づけないあんたが馬鹿よっ!!」
「……まさかっ!」
「一点集中……真・強化魔法インパクト! 右手と左手に魔力をーー最大強化ああああああ!!」
右手と左手に魔力を全て流し込み、男と虎を軽々と持ち上げた。
そのままの勢いで、男と虎をまるで縄のようにブンブンと振り回す。
「人を馬鹿にする前に、自分の頭の馬鹿加減に気づきなさい!」
「リリー殿! やってしまうのですぞ!」
「……ほお。全身強化魔法を解いて、両手だけにピンポイントで魔力を流すかあーーなかなかやる子と見れる」
影縫の声の後に、ローズの声がうっすらと耳に入ってきた。
「ーーローズじゃね?」
「絶対そうだ、ローズだ」
観客席で今になって気づいたと、他の観客はローズに驚いている。
私も正直、本当に居たとは思わなかった。だから驚いた。
だがーー居るなら居るで、好都合。ローズに見せつける場がここにある。
宣戦布告ーーあんたを、絶対に超えると。
「ーー吹き飛べええええええ!!」
私は男と虎を、遥かに自分より何倍もの体重あるだろう生き物を天へ向かってフルスイングした。
男と虎はある程度の高さまで飛んでいくと、星のように一度輝いてから場外へ向かって落ちていった。
「フンッ。バーカ」
「リリー、終わったか?」
「シュート、そっちは?」
「やったわよ! 大勝利」
「なのですよ」
私の元へ、シュート、アリアータ、ネネが駆け寄ってくる。
見ると、虎使いに虎もろもろ、目を回してくたばっている。
ガリレオ率いるチームも、丁度終わったらしい。全員が手を叩いている。
「さてガリレオ? やりましょう?」
「……そうだね。なら、リーダー対決はどう?」
「……うーん。良いわね、リーダー対決で決勝戦へ行く馬鹿のチームを決めましょ。やるからには、手加減できないわよ」
「私もできないけどね。お手柔らかにとあなたには言ったけど、こっちははなから本気だから」
私とガリレオは対面して構える。
さっき勝負が終わったところだが、私達の間にそれは関係ない。
休息なんて生温い行為は、無くても冒険者なら戦える。戦うのだ。
ガリレオはコートを翻し、その内側にカラクリを仕込み直す。
コートの下にしたカッターシャツの中にまで、カラクリを仕込んでいるらしい。
用意周到、まるでこうなることを読んでいたかのよう。
両チーム、仲間が全員下がり観客席の最前席にある落下防止壁までジャンプして座り込む。
リーダー同士の争いに、手を出さない。
冒険者となって分かったことは、思考の似ている者との戦いが一番ーー燃えるということ。
そこに他人の介入はいらない。
もうそこは、二人の戦場でしかないのだ。
「ガリレオ、あんたとは仲良くできそうよ」
「私も、あなたとなら仲良くできそうね。ねえ、このバトルロワイヤルが終わったらみんなでご飯でもどう? 親睦を深めない?」
「ありね。アッハハハッ! 本当、あんた私に似てる。やっぱりーー仲良くできそう、いや、したいわあ!」
「ーー私もよっ! キャッハハハハッ!!」
私達は闘技場に響き渡る笑い声を上げながら飛び出し、そのまま衝突ーー。
しなかった。横を互いに通り過ぎた。
「ーーあいつら」
「ローズ、あんたの差し金かしらっ!?」
「だとしたら、甘過ぎる。こんな連中、そもそも引き連れていないでしょう!」
私とガリレオの背後には、対面した時既に狙撃銃を構えた者達が入退場口の門を少し開けて構えていた。
気づいていた私達は、戦うフリをして実は狙撃銃を持った者共を最初から叩くつもりでいた。
戦うのは、その後と目で語って。
「……ウッフフ。私の差し金な訳がない。何処の紛れ者かーー吐かせてあげましょう」
「ーー!? ローズ!?」
「驚くことはないですよカルシャーナ・リリー。私がこの戦場において相応しくない、だから、ちょっと口割らせるだけーーさあ? 戦いを続けてもらいますよ、ウッフフ」
観客席から降りてきたローズは、いつの間にか、いや、たったの一瞬にして、狙撃銃を持った者達を全員気絶させてそれを連れて闘技場の真ん中に立っていた。
ベルクが数人を余裕と言わんばかりの不気味な笑みを浮かべながら担いでいる。
「決勝戦は見れねーけどよっ! おい、シュートッ! テメェ、こんなところで負けたら男の大事なもん切り落として神殿に飾ってやっならなっ!」
「ハッ! お前に勝つまで俺は負けねーよ。それはお前が一番分かってんだろ!」
「いつになるか分からねー。そもそも無理かもしれねー話なんぞ、俺は知らねーな! んじゃまあ、金髪の小娘率いる一行よ、頑張れやああああ!」
ベルクは笑いながら、地面一蹴で闘技場の外へと姿を消していった。
「そういうことです、カルシャーナ・リリー。良い報告を、気長に、待ってますねえ。ウッフフ」
ローズもすぐに、霧のように姿を消した。
一手間省けたーーが、ローズに手を貸してもらったようでムカムカした。
観客達は、闘技場に侵入者が居たことを騒ぎとして、そしてローズとベルクにざわつきだす。
しかし、それも少しすれば落ち着いた。
何故ならもうその時には、ローズに手を貸された気がして苛立った私とガリレオが戦い、闘技場の真ん中で大爆発が起き、銃声が連発していたのだった。
「あんたーー馬鹿力なのね」
「小娘如きに止められるんだ。馬鹿力ではないだろう」
「小娘ねえ。一様これでも十八歳なんだけどーーハッ!」
「ーー危ねえ。何だその魔力」
私は虎使いの男と攻防戦を繰り広げている。
男の攻撃は、一撃一撃が重い。結界の一点を付くのではなく、結界全体に重みを乗っけて押しつぶすような攻撃をしてくるのだ。
結界の良い点は、何処から攻撃されても守ることができるところであり、それがかえって悪い点でもある。
結界は全体的に守ることができるが、しかしそれは一点攻撃をどの方向から受けても大丈夫と言う意味であり、全体攻撃を受けてしまえば簡単に壊れてしまう。
結界はそもそも、全体に張り巡らせた魔力を一点攻撃受けた際にその部分に魔力移動を行って強化するだけの壁。
全体攻撃を受けて、全体に魔力移動を行うことはその分魔力の消費量が格段に上がることになる。
つまり、結界を張るのに魔力を使い、攻撃を防ぐのにまた魔力を使う。仕組みは難しくない。
しかしどうだろうか? 魔力で結界を張って消費ーーその上、全体攻撃を防ぐのに魔力を大量に消費。
ただただ魔力の消費量が増える一方で、消費者は魔力の枯渇へと早く近づく。
だからこの男の攻撃は、私にとってはウザいとしか思えない。
攻撃より防御の方が、魔力の消費は大きい。
防御は最大の攻撃ーー攻撃は最大の防御とか、なんとか。
ただの魔力枯渇への最悪な最短ルートだ。
「お前、まだ結界を張っていられるのか」
「舐めないでよ、魔力はあるわよ。結界張りながら、あんたを殴ることはまだまだ余裕よ」
「なんて娘だ……だが先に魔力を枯渇させるのはお前で間違いなさそうだっ!!」
男のまた思い一撃が、それに重ねて虎のパンチも結界にぶつけられる。
この虎……魔力を宿しているのっ!?
「なんてチームよ……。虎にまで魔力を」
「虎は家族だ。俺達は、魔力を宿している虎を赤子の時から育てて今こうしている。何も、手は加えていない」
「いやいや、加えてるわよっ!? ーーああ、もうっ! 虎は静かにしてなさい!」
虎のパンチがまたもや繰り出され、私は邪魔に思ってしまい足で蹴り跳ね返した。
虎は地面を後ろ足二本の爪で勢いを殺しながら後方へ飛ぶ。
「ーーやっぱり、ただものじゃねーな。魔力を全く込めていないだろ今の」
「さあ? 話の邪魔するようなことを、あんたのペットがしたから二重人格の裏の私が怒ったんじゃない?」
「馬鹿言え、その力は魔力がよっぽど段違いに高くないと無理な蹴りだーーだが、良い。そんな相手と俺は戦いたかったああああ!!」
「……っ!」
男は虎を操り、頭突きさせて私の結界に一点攻撃を仕掛けその上から自分の拳で全体攻撃を重ねる。
虎に集中していた私は、一点攻撃の方に魔力を移動させてしまい男の攻撃についていけなかった。
男の攻撃で結界にヒビが入る。
完全にしてやられた。そう思った時には、結界の一部に小さな穴が空いていた。
馬鹿力で魔力を強めるーーやっぱり、魔法適正値はどうにでも上げることができるこの仕組みは、魅力的だ。
だが、魅力的な裏には恐怖的な一面を隠し持っている。
私の結界が、魔法適正値では下のはずの男に壊されたことは、恐怖的だった。
「ーー畳み掛けるぞ!」
「……どうするのよこれ」
「リリー殿お! 結界を捨てるですぞお!」
「ーーっ!? なるほどね、そうね」
観客席から影縫の声が聞こえ、振り向くと彼女は拳を握って反対の手で指差していた。
拳を使えと、そう助け舟を出してくれたのだ。
影縫は声で拳に集中が行かないよう計らってくれたのだろう。
おかげで、忘れ掛けていた私の攻撃スタイルを忘れるところだった。
「ーーしまいだっ!」
「ーーバーカ……ハアアアアッ!」
「なに……止めた!?」
男と虎のダブル攻撃を、私は両手で止めた。
男と虎は連動しているかのように、右手と右前脚で攻撃してきて、どちらかは当てられると思ったらしい。
だが、それは甘い考えで、私は右利きではあるが両手を自由自在に操れる両利きーーだから、咄嗟の反応で防御態勢に入っても右手だけではなく両手が出るのだ。
右手で男の右手を捕らえ、左手で虎の右前脚を捕らえ。
力を両手に込め、どれだけもがいても手が離れないよう固定する。
「……馬鹿な。こんな力が、出せる訳……」
「そうよね、か弱い私の腕からこんな力が出るとは思わないわよね? でもね…………全身強化魔法をとっくに解いていることに気づけないあんたが馬鹿よっ!!」
「……まさかっ!」
「一点集中……真・強化魔法インパクト! 右手と左手に魔力をーー最大強化ああああああ!!」
右手と左手に魔力を全て流し込み、男と虎を軽々と持ち上げた。
そのままの勢いで、男と虎をまるで縄のようにブンブンと振り回す。
「人を馬鹿にする前に、自分の頭の馬鹿加減に気づきなさい!」
「リリー殿! やってしまうのですぞ!」
「……ほお。全身強化魔法を解いて、両手だけにピンポイントで魔力を流すかあーーなかなかやる子と見れる」
影縫の声の後に、ローズの声がうっすらと耳に入ってきた。
「ーーローズじゃね?」
「絶対そうだ、ローズだ」
観客席で今になって気づいたと、他の観客はローズに驚いている。
私も正直、本当に居たとは思わなかった。だから驚いた。
だがーー居るなら居るで、好都合。ローズに見せつける場がここにある。
宣戦布告ーーあんたを、絶対に超えると。
「ーー吹き飛べええええええ!!」
私は男と虎を、遥かに自分より何倍もの体重あるだろう生き物を天へ向かってフルスイングした。
男と虎はある程度の高さまで飛んでいくと、星のように一度輝いてから場外へ向かって落ちていった。
「フンッ。バーカ」
「リリー、終わったか?」
「シュート、そっちは?」
「やったわよ! 大勝利」
「なのですよ」
私の元へ、シュート、アリアータ、ネネが駆け寄ってくる。
見ると、虎使いに虎もろもろ、目を回してくたばっている。
ガリレオ率いるチームも、丁度終わったらしい。全員が手を叩いている。
「さてガリレオ? やりましょう?」
「……そうだね。なら、リーダー対決はどう?」
「……うーん。良いわね、リーダー対決で決勝戦へ行く馬鹿のチームを決めましょ。やるからには、手加減できないわよ」
「私もできないけどね。お手柔らかにとあなたには言ったけど、こっちははなから本気だから」
私とガリレオは対面して構える。
さっき勝負が終わったところだが、私達の間にそれは関係ない。
休息なんて生温い行為は、無くても冒険者なら戦える。戦うのだ。
ガリレオはコートを翻し、その内側にカラクリを仕込み直す。
コートの下にしたカッターシャツの中にまで、カラクリを仕込んでいるらしい。
用意周到、まるでこうなることを読んでいたかのよう。
両チーム、仲間が全員下がり観客席の最前席にある落下防止壁までジャンプして座り込む。
リーダー同士の争いに、手を出さない。
冒険者となって分かったことは、思考の似ている者との戦いが一番ーー燃えるということ。
そこに他人の介入はいらない。
もうそこは、二人の戦場でしかないのだ。
「ガリレオ、あんたとは仲良くできそうよ」
「私も、あなたとなら仲良くできそうね。ねえ、このバトルロワイヤルが終わったらみんなでご飯でもどう? 親睦を深めない?」
「ありね。アッハハハッ! 本当、あんた私に似てる。やっぱりーー仲良くできそう、いや、したいわあ!」
「ーー私もよっ! キャッハハハハッ!!」
私達は闘技場に響き渡る笑い声を上げながら飛び出し、そのまま衝突ーー。
しなかった。横を互いに通り過ぎた。
「ーーあいつら」
「ローズ、あんたの差し金かしらっ!?」
「だとしたら、甘過ぎる。こんな連中、そもそも引き連れていないでしょう!」
私とガリレオの背後には、対面した時既に狙撃銃を構えた者達が入退場口の門を少し開けて構えていた。
気づいていた私達は、戦うフリをして実は狙撃銃を持った者共を最初から叩くつもりでいた。
戦うのは、その後と目で語って。
「……ウッフフ。私の差し金な訳がない。何処の紛れ者かーー吐かせてあげましょう」
「ーー!? ローズ!?」
「驚くことはないですよカルシャーナ・リリー。私がこの戦場において相応しくない、だから、ちょっと口割らせるだけーーさあ? 戦いを続けてもらいますよ、ウッフフ」
観客席から降りてきたローズは、いつの間にか、いや、たったの一瞬にして、狙撃銃を持った者達を全員気絶させてそれを連れて闘技場の真ん中に立っていた。
ベルクが数人を余裕と言わんばかりの不気味な笑みを浮かべながら担いでいる。
「決勝戦は見れねーけどよっ! おい、シュートッ! テメェ、こんなところで負けたら男の大事なもん切り落として神殿に飾ってやっならなっ!」
「ハッ! お前に勝つまで俺は負けねーよ。それはお前が一番分かってんだろ!」
「いつになるか分からねー。そもそも無理かもしれねー話なんぞ、俺は知らねーな! んじゃまあ、金髪の小娘率いる一行よ、頑張れやああああ!」
ベルクは笑いながら、地面一蹴で闘技場の外へと姿を消していった。
「そういうことです、カルシャーナ・リリー。良い報告を、気長に、待ってますねえ。ウッフフ」
ローズもすぐに、霧のように姿を消した。
一手間省けたーーが、ローズに手を貸してもらったようでムカムカした。
観客達は、闘技場に侵入者が居たことを騒ぎとして、そしてローズとベルクにざわつきだす。
しかし、それも少しすれば落ち着いた。
何故ならもうその時には、ローズに手を貸された気がして苛立った私とガリレオが戦い、闘技場の真ん中で大爆発が起き、銃声が連発していたのだった。
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