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一章〜ギルド設立を目指して〜
十話 冒険者適正⑤
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ネネが結局、ぶつ切りにされた狼の手足でまた気分を悪くした。
それを介抱しながら、肉を食べて食べさせてーー。
そうして、泉の位置をみんなで再確認しながら遅い夕飯を済ませてテントに向け出発した。
私とシュートで狼を狩っていた森とは反対の、多分月の位置からして南の森へととりあえず入った。
まだ処理していない狼は、明日の朝と昼分に残してシュートに持たせている。
「にして、今奇襲かけられたら面倒だな」
「確かに。シュートの灯火と、リリーの魔力で生成したランタンーーこれだけじゃ灯りが不十分だから、敵も見えないし」
「森に入ると、月明かりは通らないですよ。仕方ないですよ」
「そうねーーって。何で全員私にくっついているのよっ!」
森を進んでして、みんな急に私を掴んで歩くようになった。
寒さを忘れ、今では暑苦しい。
「お化けとか出たら嫌でしょ?」
平然を装ってアリアータはそう言うが、膝が笑っている。
「馬鹿も大概にしろ。いるわけねーじゃん」
シュートは強がってみせるが、右手が剣柄を握っている。
「大丈夫なのですよ、いないのですよ」
ネネは微笑むが、猫耳が下を向いている。
「いや、ビビってるじゃない」
そしてこの状況で、一番ムカつくのは私に後ろから抱き着いてきたアリアータの胸が頭に乗っていることだ。
グレモリーには負けるにしても、これもまた爆乳で、私と年齢差があまりないはずなのにカップには差がしっかりと出ていてーー半分切り落としてやりたくなる。
「あのねーー」
私が肩を落とすとそれは同時のことだった。
目の前に開けた広場が現れ、テントが張られていた。
『15』とテントには書かれており、私達のであることは確かだ。
「もう着いたから、離れてくれる?」
「あ、ああそうだな」
シュートはすぐに離れた。ネネは渋った。アリアータは離れなかった。
「遠くに設けられていなかったことに、感謝ですよ」
「本当にな」
「ーーそうだな。俺達も、あんたらとテントが近くて大助かりだ」
四人で顔を見合わせ、今の声が自分のでは無いと首を触り合う。
全く知らない、掠れた男の声ははっきりと聞こえたのに姿がなくて、アリアータが本気でビビるのも時間の問題だ。いや、一瞬の問題だ。
私はアリアータの腕の中からすり抜け、拳を構える。
ワンピースのせいで足が広げ難い。
構えには、足の開き具合が重要であり自分に合った広さを取らないと咄嗟に動く際、支障が出るのだ。
私が構えると、シュートも大剣を構えた。
ネネも、怯えながらも戦闘態勢に入る。臆病猫も、潔が良い。
アリアータは使い物にならないーー怯えきって、辺りをキョロキョロするしかできていない。
「ーー俺達、明日の朝の食料を欲しいんだ。それ、貰ってもいいか?」
「出てきなさいよ。姿も見せられないチキンなのかしら? ママがいないと、怖くて友達に言い返すこともできなかった過去をお持ちで?」
「フン。ほざけ、小娘がーー」
私の挑発を鼻で笑い飛ばし、男は仲間と一緒に姿を現した。
私達のテントの裏から出てきては、全員既に武器を構えている。
なるほどーー。
「シュート、ネネ、アリアータ。殺さない程度に相手してあげましょ?」
「あいよ」
「は、はいですよっ!」
「え、ええ、ああ、人間!? ……もう、紛らわしい! 怒り奮闘、プンスカプンだわほんとっ!」
現実におかえりアリアータは、顔を怒りで真っ赤にして剣を抜く(勝手にビビっていただけだが、言わないでおく)。
現れたのは、『5』のプレートを掛けたリーダーのモヒカン男と、そのメンバー、全員男。
「さあ、狼をよこしな。そしたら、何もしない」
「狼なら自分で狩ったらどう? あら、もしかして狼が怖いの? もしかして狂犬病が怖いの?」
「いや、それは俺達もこえーだろ。狂犬病だけは」
私に突っ込むシュートだったが、肘で脇腹を抉って静かにしてもらう。
「それに、あんた人に物頼めないわよ? そんなサイドが禿げた頭して、まず毛根が蘇ることを神に頼んだら?」
「これはこういう髪型だ。毛根は確かに死んでるが……て、そうじゃない」
男は私にナイフを突きつける。
「殺さない程度にーーなら、やり合っても文句言われないんだろ?」
「ーーそっちがその気なのは分かってたけどね。そうね、狼ならくれてあげるわよ」
私は降参と、手を上げて背後に居るアリアータから狼を奪い取る。
「やらないのか?」
「あんた達を殴り価値ないわよ。別に、逃げたと思ってくれて構わないわよーーはいっ」
私は狼の束を投げる。
宙を飛ぶ狼の束を見て、男はナイフを腰のホルスターに仕舞う。
その時ーー。
「ーー誰がただであげるってーー言ったっけ!?」
私の見え見えの嘘に気づかない馬鹿男の目前には、それは狼の束ではなか今や般若のように角を生やした不吉に笑うアリアータが居た。
狼を盾に、アリアータを走らせるのが私の目的だったのだ。
アリアータは狼の束を宙で見ることなく掴むと、構えていた剣を仕舞った。
そして、大きく振りがってーー。
狼の束で男の顔を殴り、軽く吹き飛ばしてしまう。
「ーー紛らわしいことした罰よ」
「クッ。小娘が、魔法で勝負したら負ける癖に」
男は立ち上がると、口から垂れる血を拭う。
「リーダー! こいつは俺がーー」
「おいおい、お前良い大きさの大剣と服持ってんじゃん。俺とやろーぜ?」
敵チームのバンダナ男が、アリアータに目を向けたがしかし、そこにシュートが駆けつけ近づけさせない。
「なら俺がーー」
「あ、あのう。喧嘩はめっ! ですよ?」
眼鏡男には、ネネが。
「ーーなら俺が速攻で!」
「ーー良いじゃない、相手してあげるっ!」
そしてアリアータががら空きになり、とうとう短刀を二本持った男と衝突する。
そして残るは、さっき吹き飛ばされたモヒカン男と、私のーーリーダーのみとなる。
「小娘、お前がリーダーか?」
「そうよ? 小娘といっても、もう十八歳だけど」
「十八歳でその体型か? 育ちが悪いようだ」
「あらごめんなさいね? 体で満足させることはできなくても、魔法でーー満足はさせてあげられるわよっ!」
「ーーどうせ大したことはでんだろうっ!」
ーー私と男も衝突する。
男は一度仕舞ったナイフを取り出し、突っ込んでくるが、私は瞬時に結界を右手の平に作ら出して構え、ナイフを弾く。
弾くと同時に、ナイフを折ることも忘れない。
男は使い物にならなくなったナイフを捨てると、魔力を全身に流し始める。
全身強化魔法ーーある程度は強いらしい。
だけど、それを使っても私には敵わない。
全身に魔力を巡らせるなんて、手間が掛かるだけであり、私は常に全身へ魔力を巡らせている。
言うなれば、常に全身強化している状態だ。
「ーーリーダー同士仲良くやろうや!」
「仲良くなりたくないわ、あんたみたいな臭い男。それに、禿げに興味はございません」
脹脛と太腿が膨れ上がり、男は銃弾と変わらぬ速さで私に飛び込んでくる。
「禿げ禿げ言うんじゃねーよ!」
「禿げは認めなくたって禿げなのよっ!!」
「フルパワー……アームストロング!」
右手を強化し、盛り上がった筋肉の周りに竜巻が起こる。
直撃すれば一撃で、吹き飛ぶはずだ。
それを私はーー跳ね返す。倍にして。
右足に魔力を集中させると、強度によって色が変化していく。
魔力のほとんどを集めた私の右足は、男が目前に迫る頃には赤色を放ち、鉄すらも一蹴りで粉砕できるまでに強化できた。
男の右手が、私の顔に当たるその寸前でーー右足を、蹴り上げる。
竜巻が、地上から空に目掛けてもう一つ発生した。
それは私の右足が男を蹴り上げた際に、風をも巻き込んだことによって発生したためだ。
爪先が男の腹に入り、そのまま竜巻の風圧と共に天へと飛んでいく。
「……出直してきなさい。流れ星となって」
★
私達をテントで待ち伏せしていた敵チームは、言うまでもなくフルボッコで空へと飛んでいった。
ネネ、シュート、アリアータ、三人も魔法を使い相手をかなり高く吹き飛ばしていた。多分もう少しすれば、四つの流れ星が見えるはずだ。
「それにしてもーーリリー、お前って本当に強いんだな」
「言ったじゃない。魔法適正値10000オーバーだって。でも、それを言うなら魔法適正値がある程度高いシュートとアリアータもじゃない。剣で強さを増しているし」
「そう? 私達はむしろ、剣しか取り柄のない時代遅れただから。剣術はまあ、負けないつもりだけど……ネネちゃんよ、やっぱり、猫族。魔力高いよねー」
テントに入り、十字型に用意されていた布団を広げて私達は寝転びながら会話をしていた。
「あ、そうだいっけね。服着とこ」
「服? シュート、服入手できたの?」
「さっきぶっ飛ばした奴から、パクった。よし、これで鎧着れるわあ!」
布団から出て、シュートはパクった臙脂色のTシャツを着た。
「鎧かあ……私も新調しなきゃ」
「今のじゃダメなの?」
「ーーうーん、胸の辺りがーーフガッ!!」
私とネネの猫パンチが、アリアータの両頬を叩いた。
「な、なに!?」
「胸の話題はしないで、アリアータ。悲しいのよ……」
「そうなのですよ……。私達、成長期に成長したのは……胸じゃないのですよ……魔法なのですよ……」
「え、ああ……うん。なんか、ごめんね?」
アリアータは困り果てながら謝ってくれた。
ちなみに、私は毎朝豆乳を飲み大豆イソフラボンを摂取し始めてから五年ーー。
サイズはAAなら、Aに上がった……だけでした。
それを介抱しながら、肉を食べて食べさせてーー。
そうして、泉の位置をみんなで再確認しながら遅い夕飯を済ませてテントに向け出発した。
私とシュートで狼を狩っていた森とは反対の、多分月の位置からして南の森へととりあえず入った。
まだ処理していない狼は、明日の朝と昼分に残してシュートに持たせている。
「にして、今奇襲かけられたら面倒だな」
「確かに。シュートの灯火と、リリーの魔力で生成したランタンーーこれだけじゃ灯りが不十分だから、敵も見えないし」
「森に入ると、月明かりは通らないですよ。仕方ないですよ」
「そうねーーって。何で全員私にくっついているのよっ!」
森を進んでして、みんな急に私を掴んで歩くようになった。
寒さを忘れ、今では暑苦しい。
「お化けとか出たら嫌でしょ?」
平然を装ってアリアータはそう言うが、膝が笑っている。
「馬鹿も大概にしろ。いるわけねーじゃん」
シュートは強がってみせるが、右手が剣柄を握っている。
「大丈夫なのですよ、いないのですよ」
ネネは微笑むが、猫耳が下を向いている。
「いや、ビビってるじゃない」
そしてこの状況で、一番ムカつくのは私に後ろから抱き着いてきたアリアータの胸が頭に乗っていることだ。
グレモリーには負けるにしても、これもまた爆乳で、私と年齢差があまりないはずなのにカップには差がしっかりと出ていてーー半分切り落としてやりたくなる。
「あのねーー」
私が肩を落とすとそれは同時のことだった。
目の前に開けた広場が現れ、テントが張られていた。
『15』とテントには書かれており、私達のであることは確かだ。
「もう着いたから、離れてくれる?」
「あ、ああそうだな」
シュートはすぐに離れた。ネネは渋った。アリアータは離れなかった。
「遠くに設けられていなかったことに、感謝ですよ」
「本当にな」
「ーーそうだな。俺達も、あんたらとテントが近くて大助かりだ」
四人で顔を見合わせ、今の声が自分のでは無いと首を触り合う。
全く知らない、掠れた男の声ははっきりと聞こえたのに姿がなくて、アリアータが本気でビビるのも時間の問題だ。いや、一瞬の問題だ。
私はアリアータの腕の中からすり抜け、拳を構える。
ワンピースのせいで足が広げ難い。
構えには、足の開き具合が重要であり自分に合った広さを取らないと咄嗟に動く際、支障が出るのだ。
私が構えると、シュートも大剣を構えた。
ネネも、怯えながらも戦闘態勢に入る。臆病猫も、潔が良い。
アリアータは使い物にならないーー怯えきって、辺りをキョロキョロするしかできていない。
「ーー俺達、明日の朝の食料を欲しいんだ。それ、貰ってもいいか?」
「出てきなさいよ。姿も見せられないチキンなのかしら? ママがいないと、怖くて友達に言い返すこともできなかった過去をお持ちで?」
「フン。ほざけ、小娘がーー」
私の挑発を鼻で笑い飛ばし、男は仲間と一緒に姿を現した。
私達のテントの裏から出てきては、全員既に武器を構えている。
なるほどーー。
「シュート、ネネ、アリアータ。殺さない程度に相手してあげましょ?」
「あいよ」
「は、はいですよっ!」
「え、ええ、ああ、人間!? ……もう、紛らわしい! 怒り奮闘、プンスカプンだわほんとっ!」
現実におかえりアリアータは、顔を怒りで真っ赤にして剣を抜く(勝手にビビっていただけだが、言わないでおく)。
現れたのは、『5』のプレートを掛けたリーダーのモヒカン男と、そのメンバー、全員男。
「さあ、狼をよこしな。そしたら、何もしない」
「狼なら自分で狩ったらどう? あら、もしかして狼が怖いの? もしかして狂犬病が怖いの?」
「いや、それは俺達もこえーだろ。狂犬病だけは」
私に突っ込むシュートだったが、肘で脇腹を抉って静かにしてもらう。
「それに、あんた人に物頼めないわよ? そんなサイドが禿げた頭して、まず毛根が蘇ることを神に頼んだら?」
「これはこういう髪型だ。毛根は確かに死んでるが……て、そうじゃない」
男は私にナイフを突きつける。
「殺さない程度にーーなら、やり合っても文句言われないんだろ?」
「ーーそっちがその気なのは分かってたけどね。そうね、狼ならくれてあげるわよ」
私は降参と、手を上げて背後に居るアリアータから狼を奪い取る。
「やらないのか?」
「あんた達を殴り価値ないわよ。別に、逃げたと思ってくれて構わないわよーーはいっ」
私は狼の束を投げる。
宙を飛ぶ狼の束を見て、男はナイフを腰のホルスターに仕舞う。
その時ーー。
「ーー誰がただであげるってーー言ったっけ!?」
私の見え見えの嘘に気づかない馬鹿男の目前には、それは狼の束ではなか今や般若のように角を生やした不吉に笑うアリアータが居た。
狼を盾に、アリアータを走らせるのが私の目的だったのだ。
アリアータは狼の束を宙で見ることなく掴むと、構えていた剣を仕舞った。
そして、大きく振りがってーー。
狼の束で男の顔を殴り、軽く吹き飛ばしてしまう。
「ーー紛らわしいことした罰よ」
「クッ。小娘が、魔法で勝負したら負ける癖に」
男は立ち上がると、口から垂れる血を拭う。
「リーダー! こいつは俺がーー」
「おいおい、お前良い大きさの大剣と服持ってんじゃん。俺とやろーぜ?」
敵チームのバンダナ男が、アリアータに目を向けたがしかし、そこにシュートが駆けつけ近づけさせない。
「なら俺がーー」
「あ、あのう。喧嘩はめっ! ですよ?」
眼鏡男には、ネネが。
「ーーなら俺が速攻で!」
「ーー良いじゃない、相手してあげるっ!」
そしてアリアータががら空きになり、とうとう短刀を二本持った男と衝突する。
そして残るは、さっき吹き飛ばされたモヒカン男と、私のーーリーダーのみとなる。
「小娘、お前がリーダーか?」
「そうよ? 小娘といっても、もう十八歳だけど」
「十八歳でその体型か? 育ちが悪いようだ」
「あらごめんなさいね? 体で満足させることはできなくても、魔法でーー満足はさせてあげられるわよっ!」
「ーーどうせ大したことはでんだろうっ!」
ーー私と男も衝突する。
男は一度仕舞ったナイフを取り出し、突っ込んでくるが、私は瞬時に結界を右手の平に作ら出して構え、ナイフを弾く。
弾くと同時に、ナイフを折ることも忘れない。
男は使い物にならなくなったナイフを捨てると、魔力を全身に流し始める。
全身強化魔法ーーある程度は強いらしい。
だけど、それを使っても私には敵わない。
全身に魔力を巡らせるなんて、手間が掛かるだけであり、私は常に全身へ魔力を巡らせている。
言うなれば、常に全身強化している状態だ。
「ーーリーダー同士仲良くやろうや!」
「仲良くなりたくないわ、あんたみたいな臭い男。それに、禿げに興味はございません」
脹脛と太腿が膨れ上がり、男は銃弾と変わらぬ速さで私に飛び込んでくる。
「禿げ禿げ言うんじゃねーよ!」
「禿げは認めなくたって禿げなのよっ!!」
「フルパワー……アームストロング!」
右手を強化し、盛り上がった筋肉の周りに竜巻が起こる。
直撃すれば一撃で、吹き飛ぶはずだ。
それを私はーー跳ね返す。倍にして。
右足に魔力を集中させると、強度によって色が変化していく。
魔力のほとんどを集めた私の右足は、男が目前に迫る頃には赤色を放ち、鉄すらも一蹴りで粉砕できるまでに強化できた。
男の右手が、私の顔に当たるその寸前でーー右足を、蹴り上げる。
竜巻が、地上から空に目掛けてもう一つ発生した。
それは私の右足が男を蹴り上げた際に、風をも巻き込んだことによって発生したためだ。
爪先が男の腹に入り、そのまま竜巻の風圧と共に天へと飛んでいく。
「……出直してきなさい。流れ星となって」
★
私達をテントで待ち伏せしていた敵チームは、言うまでもなくフルボッコで空へと飛んでいった。
ネネ、シュート、アリアータ、三人も魔法を使い相手をかなり高く吹き飛ばしていた。多分もう少しすれば、四つの流れ星が見えるはずだ。
「それにしてもーーリリー、お前って本当に強いんだな」
「言ったじゃない。魔法適正値10000オーバーだって。でも、それを言うなら魔法適正値がある程度高いシュートとアリアータもじゃない。剣で強さを増しているし」
「そう? 私達はむしろ、剣しか取り柄のない時代遅れただから。剣術はまあ、負けないつもりだけど……ネネちゃんよ、やっぱり、猫族。魔力高いよねー」
テントに入り、十字型に用意されていた布団を広げて私達は寝転びながら会話をしていた。
「あ、そうだいっけね。服着とこ」
「服? シュート、服入手できたの?」
「さっきぶっ飛ばした奴から、パクった。よし、これで鎧着れるわあ!」
布団から出て、シュートはパクった臙脂色のTシャツを着た。
「鎧かあ……私も新調しなきゃ」
「今のじゃダメなの?」
「ーーうーん、胸の辺りがーーフガッ!!」
私とネネの猫パンチが、アリアータの両頬を叩いた。
「な、なに!?」
「胸の話題はしないで、アリアータ。悲しいのよ……」
「そうなのですよ……。私達、成長期に成長したのは……胸じゃないのですよ……魔法なのですよ……」
「え、ああ……うん。なんか、ごめんね?」
アリアータは困り果てながら謝ってくれた。
ちなみに、私は毎朝豆乳を飲み大豆イソフラボンを摂取し始めてから五年ーー。
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