1 / 42
プロローグ
一話 姫の夢は冒険者
しおりを挟む
魔法が盛んになった現代において、私の魔法適正値はただの宝の持ち腐れに過ぎないことに気づいたのは十年前のことだったと記憶している。
魔法適正値ーー10000オーバー。
魔法適正測定器で、興味本位に測った結果、測定器はものの見事に針が限界を振り切り壊れた。
9999までしか測れない測定器が壊れ、私に使えてくれるメイド達は測定器の故障を疑ったが、その次の日に、私がこれも興味本位で城丸ごとを基礎から宙に浮かしたことで疑いは晴れた。
晴れたが故に、危険視された。それも親に。
その日から、いや、その前からではあったけど。
私は外に出ることを一切許されなくなり、魔法を使うなら王城敷地内の広大な広場でのみ、魔道士の付き添いの元で許された。
でも私は、測定器を壊した日から自分の魔法適正値のおかげである夢を持てた。
それは冒険者ーー王族らしからぬ、夢だった。
私は魔法先進国バルテン王国の王女ーーバルテン・リリー。
バルテン王国は魔法先進国となり、今では世界有数の冒険者の国とされている。
だから私はーーだからこそ私はーー冒険者を夢見た。
自由に魔法を使い、モンスターと戦うとされる壮大なファンタジーに憧れを抱いた。
「ねえ爺。どうして私は魔法を外で使えないのかしら?」
「それはですな。姫様の魔法適正値は国内でまだ数少ない事例の一つに入り、そして数少ない存在の一人であるためにございます。私も姫様の自由は姫様自身にあると思ってはおるのですが……」
「父上ね。全く、過保護で鬱陶しさを感じなくもないわ。でも、一度で良いから外で暴れてみたーい」
そんな会話をS級魔道士の爺ことジーゼルと交したのは十歳の時。
今では十八歳となってしまった私だからこの時の会話を懐かしむ半分、馬鹿な自分に笑いが込み上げなくもなかった。
王族に生まれ、王女であり、また姫様と呼ばれる立場の一人の小娘がーー。
外で暴れてみたいなんて言えば、一国を率いる王の父上が黙っていることは無かったのだから。
でも、それで諦めることをしなかったのが今の私であった。
いつか、もしかしたらーーそんな期待をしながら、夢を見ながら、私は十八歳を迎えた。
十八歳の誕生日の日に、
「リリー。祝の品は何が良い」
父上からそう聞かれた。
もちろん、夢を叶えたい……なんて言えば、部屋に監禁されるがオチ。
二年後には第十七代目バルテン王国女王の座に座ることになる私がだ。
それは王族に生まれたが末の結末と分かっていた。
だから私は、もし王族から離れて自由を手にした時のため。そして冒険者のための制度を作ることを祝の品にしてもらった。
ーー冒険者支援制度。
魔法先進国であり、冒険者の国と呼ばれる有名なバルテン王国だからこそ確立することが容易だった制度。
魔法適正値の高い冒険者には、国から多額の活動資金を貰うことが可能となり、また保険等も魅力的なものである。
……でも、生まれつき魔力が高くないと意味がないのでは?
母上には、そう言われた。
それを私は素早く否定した。
魔法適正値は、努力で上げることが可能になる。
私みたいな生まれつきと、努力の結晶、どちらにも優しい制度は確立されるのに一ヶ月と経たなかった。
確立されてからは更にバルテン王国の冒険者活動は盛んになった。
町を見下ろせば冒険者ばかり。ギルド一行だったり、ソロ冒険者だったり。中には女性冒険者も混ざっていた。
制度のおかげかは分からないけれど、王国には感謝状が届くことも珍しくなくなった今日この頃だった。
でも……私は鳥籠の姫であり、冒険者ではなかった。
✙
十八歳になって二ヶ月が経った今日。
私はいつものように爺の付き添い元、魔法を広場で使い遊んでいた。
魔法で遊ぶ姫ーーなんて国民に知れたら、どうなることかは想像がつく。でも、ここなら何をしていても、国民の目には触れない。
「姫様、今日はどういたしますかな?」
「爺、今日は魔力が漲っているわ! とりあえず、隕石でも落として頂戴!」
隕石を落としてと、普通の姫なら頼まない件について、触れないでほしい。
だって私は、異常なのだから。普通の姫なんかではなく冒険者を夢に見ているのだから。
「隕石となりますと……グレモリーを呼んだほうが早いですな」
「呼んだー?」
「何処から自然と湧いて出るのやら……。いや、不自然にか」
「あらひどーい。ジーゼル様ったら、私の魅力は霧になっても放たれているから見つけて頂戴なあ」
「あー、わがまま爆弾ボディーなのは、認めてやるとしよう。さて、姫様。今日はグレモリーに隕石やら雷やら、落としていただくと良いでしょう」
ジーゼルは白髪で、片目を眼帯で隠した老人とは言い難いがそこそこの年齢である。
ジーゼルの特徴は眼帯と、いつも着ている黒竜の鎧といったところ。
特にこれと言い、パッとしないのだけど、それでも魔道士としては少数の凄腕に入る一人。
グレモリーはお姉さんキャラだけど、性格はど変態の爆弾ボディー。
ボン、キュッ、ボンで、高身長。いつも私は、城内で会うと抱きしめられて頭を犬猫のように撫でられている。
青紫の長い髪には羨ましい限りだ。
そして彼女は、一年前に魔法学院を首席で卒業し、魔道士歴一年でジーゼルの補佐におかれるこれまた凄腕の魔道士。
「まだ姫様は冒険者になりたいのーお? なら、私が駆け落ちに付き合って、あ・げ・る♡」
「もうグレモリー! 駆け落ちしたら私達の関係は複雑でしょ!?」
「それこそ、親は泣くでしょうな。さあ、グレモリーは馬鹿なこと言ってないで始めよ」
プクーと残念そうに頬を膨らませて(膨らませる意味が分からない)、グレモリーは持っていた杖を空に向けた。
地響きが突如起こる。
何度か経験したことはあるものの、やっぱりこの地響きだけは慣れない。
「メテオ、おいでなさーい」
ジーゼルが張り巡らせた結界から、隕石がゆっくりと姿を現しみるみるうちに全貌を晒した。
壊さなければ、国一つ吹き飛ぶだろう隕石が。
雲のあるくらいの高さから、全身見えた隕石は不可思議な速度上昇で私の頭上目掛けて落ちてくる。
「さて、壊しちゃってえ? ドS風にドンッ! とっ!」
「グレモリー……気が散るのだけど。まあ、石ころ程度の大きさに粉砕してあげるわあ!」
迫ってくる隕石を見つめながら、私は全身に魔力を高速で巡らせる。
こんなの簡単ーー。
全身に魔力を張り巡らせて、一気に放出して簡易的な結界をそのまま隕石にぶつければ良いだけのこと。
でも並大抵の冒険者では、無理なことらしい。
まあ、でも私が並大抵のそこら辺に転がる冒険者とは別格である違いが、それを簡単にさせる。
本当……どう生まれたら、魔法適正値の低い父上と母上から私みたいな化物級が生まれることやら。
「ーーハッ!」
魔力を隕石に向けて解き放った。
城一つ分はあるだろう隕石を私は凝縮した魔力のみで粉砕し、石ころ程度にしてみせる。
朝飯前ーーいや、起床前よ。
「流石、改造魔力少女ねえ!」
「姫様に変なあだ名をつけるでないグレモリー。さて、どうですかな姫様、魔力はまだ溢れておるのでは?」
「そうねえ、今からまだ海を割いて道を作れる程度には」
「どこの神話よそれ。それはさておき、それだけ魔力が有り余っているのなら……もうすぐモンスター狩りのイベントが開催されるのよ姫様? そっちに行ってみるのは、どうかしら~?」
モンスター……狩り?
私が首を傾げると、ジーゼルが首を左右に振った。
グレモリーはニコニコ笑顔で、行くことを顔だけで勧めてくる。
行ってみたいーーと、思ったのは一瞬だった。
私が外に出れば、確実に騒動になることは間違いないからだ。
「でも……」
「みんなに心配掛けるなんて思うのなら~、まず冒険者なんて夢を胸に抱いていたらダメよ。夢って叶えるために抱くもので、ただ見ているだけでは意味ないもの。叶えるためなら、時には歯向かう勇気よ!」
「馬鹿者! 姫様に変なことを吹き込むでないグレモリー! ……姫様、行ってはいけないと言えないのも私の立場でしてなあ。グレモリーに夢は叶えるために抱けと説いたのは私なのです。ですから、行くのでしたら騒ぎが起きないよう対処はこちらでいたしますが……」
ジーゼルは額から吹き出る嫌な汗を拭いながら、私に選択肢を委ねてくれた。
止めるのではなく、選択肢。選択する権利を。
結界が貼られている今、この会話は私達三人だけが共有していることで他人は誰一人干渉していない。
私は、冒険者の夢を抱いている。でも裏を返せば、それは見ているだけであって叶えるために見ていなかった。
なら、一度で良いから叶えるために……動いてみたい。
グレモリーの手を私は気づいたら強く握っていた。
「ーーグ、グレモリー! 私をそこへ連れて行ってお願い!」
「あいあい! 姫様の頼みなら喜んで~!」
「はあ……いつかはこうなるのではないかと思っていたのだが、時が少し早い気もする……しかし、そうなれば、もうイベントは始まる時刻です故、早速移動をしろグレモリー。姫様には黒マントを着せてフードで顔を隠しておくように。私は姫様が自室に閉じこもっているとでも、言っておこう」
「あら~物分りの良いことねジーゼル様。じゃあ姫様、飛びますので私の手を離さないように」
「離すとどうなるの?」
「異空間に取り残されて永遠に戻ってこれない、片道切符が切られます♡」
とだけ言って、グレモリーはカウントもせず私と共に異空間を経由して目的地である城外へと連れ出してくれた。
私は一度だけーー冒険者になれる日が来たのだった。
魔法適正値ーー10000オーバー。
魔法適正測定器で、興味本位に測った結果、測定器はものの見事に針が限界を振り切り壊れた。
9999までしか測れない測定器が壊れ、私に使えてくれるメイド達は測定器の故障を疑ったが、その次の日に、私がこれも興味本位で城丸ごとを基礎から宙に浮かしたことで疑いは晴れた。
晴れたが故に、危険視された。それも親に。
その日から、いや、その前からではあったけど。
私は外に出ることを一切許されなくなり、魔法を使うなら王城敷地内の広大な広場でのみ、魔道士の付き添いの元で許された。
でも私は、測定器を壊した日から自分の魔法適正値のおかげである夢を持てた。
それは冒険者ーー王族らしからぬ、夢だった。
私は魔法先進国バルテン王国の王女ーーバルテン・リリー。
バルテン王国は魔法先進国となり、今では世界有数の冒険者の国とされている。
だから私はーーだからこそ私はーー冒険者を夢見た。
自由に魔法を使い、モンスターと戦うとされる壮大なファンタジーに憧れを抱いた。
「ねえ爺。どうして私は魔法を外で使えないのかしら?」
「それはですな。姫様の魔法適正値は国内でまだ数少ない事例の一つに入り、そして数少ない存在の一人であるためにございます。私も姫様の自由は姫様自身にあると思ってはおるのですが……」
「父上ね。全く、過保護で鬱陶しさを感じなくもないわ。でも、一度で良いから外で暴れてみたーい」
そんな会話をS級魔道士の爺ことジーゼルと交したのは十歳の時。
今では十八歳となってしまった私だからこの時の会話を懐かしむ半分、馬鹿な自分に笑いが込み上げなくもなかった。
王族に生まれ、王女であり、また姫様と呼ばれる立場の一人の小娘がーー。
外で暴れてみたいなんて言えば、一国を率いる王の父上が黙っていることは無かったのだから。
でも、それで諦めることをしなかったのが今の私であった。
いつか、もしかしたらーーそんな期待をしながら、夢を見ながら、私は十八歳を迎えた。
十八歳の誕生日の日に、
「リリー。祝の品は何が良い」
父上からそう聞かれた。
もちろん、夢を叶えたい……なんて言えば、部屋に監禁されるがオチ。
二年後には第十七代目バルテン王国女王の座に座ることになる私がだ。
それは王族に生まれたが末の結末と分かっていた。
だから私は、もし王族から離れて自由を手にした時のため。そして冒険者のための制度を作ることを祝の品にしてもらった。
ーー冒険者支援制度。
魔法先進国であり、冒険者の国と呼ばれる有名なバルテン王国だからこそ確立することが容易だった制度。
魔法適正値の高い冒険者には、国から多額の活動資金を貰うことが可能となり、また保険等も魅力的なものである。
……でも、生まれつき魔力が高くないと意味がないのでは?
母上には、そう言われた。
それを私は素早く否定した。
魔法適正値は、努力で上げることが可能になる。
私みたいな生まれつきと、努力の結晶、どちらにも優しい制度は確立されるのに一ヶ月と経たなかった。
確立されてからは更にバルテン王国の冒険者活動は盛んになった。
町を見下ろせば冒険者ばかり。ギルド一行だったり、ソロ冒険者だったり。中には女性冒険者も混ざっていた。
制度のおかげかは分からないけれど、王国には感謝状が届くことも珍しくなくなった今日この頃だった。
でも……私は鳥籠の姫であり、冒険者ではなかった。
✙
十八歳になって二ヶ月が経った今日。
私はいつものように爺の付き添い元、魔法を広場で使い遊んでいた。
魔法で遊ぶ姫ーーなんて国民に知れたら、どうなることかは想像がつく。でも、ここなら何をしていても、国民の目には触れない。
「姫様、今日はどういたしますかな?」
「爺、今日は魔力が漲っているわ! とりあえず、隕石でも落として頂戴!」
隕石を落としてと、普通の姫なら頼まない件について、触れないでほしい。
だって私は、異常なのだから。普通の姫なんかではなく冒険者を夢に見ているのだから。
「隕石となりますと……グレモリーを呼んだほうが早いですな」
「呼んだー?」
「何処から自然と湧いて出るのやら……。いや、不自然にか」
「あらひどーい。ジーゼル様ったら、私の魅力は霧になっても放たれているから見つけて頂戴なあ」
「あー、わがまま爆弾ボディーなのは、認めてやるとしよう。さて、姫様。今日はグレモリーに隕石やら雷やら、落としていただくと良いでしょう」
ジーゼルは白髪で、片目を眼帯で隠した老人とは言い難いがそこそこの年齢である。
ジーゼルの特徴は眼帯と、いつも着ている黒竜の鎧といったところ。
特にこれと言い、パッとしないのだけど、それでも魔道士としては少数の凄腕に入る一人。
グレモリーはお姉さんキャラだけど、性格はど変態の爆弾ボディー。
ボン、キュッ、ボンで、高身長。いつも私は、城内で会うと抱きしめられて頭を犬猫のように撫でられている。
青紫の長い髪には羨ましい限りだ。
そして彼女は、一年前に魔法学院を首席で卒業し、魔道士歴一年でジーゼルの補佐におかれるこれまた凄腕の魔道士。
「まだ姫様は冒険者になりたいのーお? なら、私が駆け落ちに付き合って、あ・げ・る♡」
「もうグレモリー! 駆け落ちしたら私達の関係は複雑でしょ!?」
「それこそ、親は泣くでしょうな。さあ、グレモリーは馬鹿なこと言ってないで始めよ」
プクーと残念そうに頬を膨らませて(膨らませる意味が分からない)、グレモリーは持っていた杖を空に向けた。
地響きが突如起こる。
何度か経験したことはあるものの、やっぱりこの地響きだけは慣れない。
「メテオ、おいでなさーい」
ジーゼルが張り巡らせた結界から、隕石がゆっくりと姿を現しみるみるうちに全貌を晒した。
壊さなければ、国一つ吹き飛ぶだろう隕石が。
雲のあるくらいの高さから、全身見えた隕石は不可思議な速度上昇で私の頭上目掛けて落ちてくる。
「さて、壊しちゃってえ? ドS風にドンッ! とっ!」
「グレモリー……気が散るのだけど。まあ、石ころ程度の大きさに粉砕してあげるわあ!」
迫ってくる隕石を見つめながら、私は全身に魔力を高速で巡らせる。
こんなの簡単ーー。
全身に魔力を張り巡らせて、一気に放出して簡易的な結界をそのまま隕石にぶつければ良いだけのこと。
でも並大抵の冒険者では、無理なことらしい。
まあ、でも私が並大抵のそこら辺に転がる冒険者とは別格である違いが、それを簡単にさせる。
本当……どう生まれたら、魔法適正値の低い父上と母上から私みたいな化物級が生まれることやら。
「ーーハッ!」
魔力を隕石に向けて解き放った。
城一つ分はあるだろう隕石を私は凝縮した魔力のみで粉砕し、石ころ程度にしてみせる。
朝飯前ーーいや、起床前よ。
「流石、改造魔力少女ねえ!」
「姫様に変なあだ名をつけるでないグレモリー。さて、どうですかな姫様、魔力はまだ溢れておるのでは?」
「そうねえ、今からまだ海を割いて道を作れる程度には」
「どこの神話よそれ。それはさておき、それだけ魔力が有り余っているのなら……もうすぐモンスター狩りのイベントが開催されるのよ姫様? そっちに行ってみるのは、どうかしら~?」
モンスター……狩り?
私が首を傾げると、ジーゼルが首を左右に振った。
グレモリーはニコニコ笑顔で、行くことを顔だけで勧めてくる。
行ってみたいーーと、思ったのは一瞬だった。
私が外に出れば、確実に騒動になることは間違いないからだ。
「でも……」
「みんなに心配掛けるなんて思うのなら~、まず冒険者なんて夢を胸に抱いていたらダメよ。夢って叶えるために抱くもので、ただ見ているだけでは意味ないもの。叶えるためなら、時には歯向かう勇気よ!」
「馬鹿者! 姫様に変なことを吹き込むでないグレモリー! ……姫様、行ってはいけないと言えないのも私の立場でしてなあ。グレモリーに夢は叶えるために抱けと説いたのは私なのです。ですから、行くのでしたら騒ぎが起きないよう対処はこちらでいたしますが……」
ジーゼルは額から吹き出る嫌な汗を拭いながら、私に選択肢を委ねてくれた。
止めるのではなく、選択肢。選択する権利を。
結界が貼られている今、この会話は私達三人だけが共有していることで他人は誰一人干渉していない。
私は、冒険者の夢を抱いている。でも裏を返せば、それは見ているだけであって叶えるために見ていなかった。
なら、一度で良いから叶えるために……動いてみたい。
グレモリーの手を私は気づいたら強く握っていた。
「ーーグ、グレモリー! 私をそこへ連れて行ってお願い!」
「あいあい! 姫様の頼みなら喜んで~!」
「はあ……いつかはこうなるのではないかと思っていたのだが、時が少し早い気もする……しかし、そうなれば、もうイベントは始まる時刻です故、早速移動をしろグレモリー。姫様には黒マントを着せてフードで顔を隠しておくように。私は姫様が自室に閉じこもっているとでも、言っておこう」
「あら~物分りの良いことねジーゼル様。じゃあ姫様、飛びますので私の手を離さないように」
「離すとどうなるの?」
「異空間に取り残されて永遠に戻ってこれない、片道切符が切られます♡」
とだけ言って、グレモリーはカウントもせず私と共に異空間を経由して目的地である城外へと連れ出してくれた。
私は一度だけーー冒険者になれる日が来たのだった。
0
お気に入りに追加
1,026
あなたにおすすめの小説
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います
八神 凪
ファンタジー
平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。
いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――
そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……
「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」
悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?
八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!
※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる