上 下
48 / 49
2部

チョコレートパーティー

しおりを挟む
 久しぶりに街に出た私とヘルは、お菓子作りに必要なものを買いにきました。
 クッキーを作ろうと思ったけど……テトがあんまり好きじゃないみたいで。


「じゃあ生チョコ作ろうよ! お母さん!」
 
  
 と、完璧な娘ヘルの要望通りにチョコレートに牛乳に……と。
 冷蔵庫に沢山あったはずなのになぜかすぐに牛乳が無くなっててビックリだった。
 ショッピングモールに行けたらもう少し安くで帰るのだけど、テトがいないと遠くて行けない。


「お母さん! お父さんはブラックコーヒーが好きだからブラックチョコレートにしない?」

「よく知ってたねヘル! えらいえらい!」

「ブラックチョコレート5枚ね! はい、お釣りだよ!」


 本当に、とても周りを見ているいい娘です。
 私がそのおかげで色々と楽できて……。
 これが一般家庭の娘がいるというあれなんだと実感できた。


 買い物が終わって屋敷に戻った私とヘルは、さっそく厨房へ向かった。
 厨房に入ると、中でアメス様とネメシス様の双子神が待っていた。


「アリアちゃんおかえりやなー」

「ええの買えたん?」

「チョコレートと牛乳を買いに行ってただけですよ」


 チョコレートを作ると話を聞いたお二人は暇を持て余していたためから来たと。
 神様方……本当に大丈夫ですか。


「そこはこうして……ここはこうです!」

「ヘルちゃんチョコレート舐めた?」

「舐めた!」
 
「これでこうでこうで……そうですそうです!」


 四人でワイワイと作ったチョコレートを、テトへ渡しに四人で行くと……。
 チョコレートと言えばこの神様、ロキ様がいた。


「美味しいね! このチョコ!」

「数が足りんくなってもうたな……。新しく作ろうや」


 本日二度目のチョコレート作りに取り掛かり、男性陣の愚痴が飛び交う厨房は小さな混沌だった。
 できあがったチョコレートを、みんなで一つずだけ摘んで出しに行くと……。
 また増えていた。


「美味しい……アリア、ヘル、アメス、ネメシス、ありがとう」

「うーんもう! トール様のためなら作るわ私!」

「え、え、あれ? 旦那の僕は放置!?」


 そして私だけが本日三度目のチョコレート作りに取り掛かった。
 できあがったチョコレートにトール様専用! と、白色のチョコペンで書いて持っていくと。
 また増えていた。
 お願いだからもうやめて!   

 

「結局、男性陣全員そろうてしもたな──」

「やね──。もう作るのは嫌やしな……」
 
「と言うことで、おかえり願いまーす!」


「「えぇ──!?」」
 

 女性陣のほうが、「「えぇ──!」」なチョコレートパーティーでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。

秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚 13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。 歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。 そしてエリーゼは大人へと成長していく。 ※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。 小説家になろう様にも掲載しています。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

私の恋が消えた春

豆狸
恋愛
「愛しているのは、今も昔も君だけだ……」 ──え? 風が運んできた夫の声が耳朶を打ち、私は凍りつきました。 彼の前にいるのは私ではありません。 なろう様でも公開中です。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

彼はもう終わりです。

豆狸
恋愛
悪夢は、終わらせなくてはいけません。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの
恋愛
 幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。  誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。  数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。  お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。  片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。  お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……  っと言った感じのストーリーです。

処理中です...