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2部

下着泥棒の犯人あの人

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 風が強いラグナロクは台風の季節。
 夏本番にはいってもう2週間がたち、台風が近づいていた。
 私は明日上陸する台風に備えてヘルと2人で洗濯物を取り込んでいた。


「お母さん、これどっちのかごいれる?」

「それはこっちで……これはこっちね!……ねぇ、ヘル?私の下着が一着ないんだけど……知らない?」

「ううん、私はわくらないけど……探す?」


 探す……恥ずかしい。なんて私は思ったけどないと困るし……で探してもらうことにした。
 ヘルは行動力は年齢の倍たけている。
 私にもテトにも似ずにしっかりとした娘で助かる。


「風で飛んでいってないから……お母さん盗まれたね!」

「盗まれたかー。この屋敷の中で昨日、泥酔仕掛けてた神様方しかいないわね……!イシス様ーー!」

 
 私は一番頼りになるイシス様を大声で呼んだ。


「女神26柱総動員で私の下着を盗んだあの酔っ払い神様の中から見つけてちょうだーい!」

「魔姫様の命令ですね。初めて私達にお役目をくれたアリアちゃん、とても魔姫としていい顔ですね。ウフフ。では、」


「「女神26柱全神に告ぐ!魔姫様のご命令だ……必ず下着泥棒を逮捕しろ!」」


 恥ずかしい……恥ずかしい、恥ずかしい!屋敷の庭の真ん中で、しかも大声で……。
 でも私は魔姫、テトの嫁、つまりは魔王の嫁は魔王の姫。
 そんな私の命令は全神100柱以上もの神を一度に動かす命令権と決定権、そして罰権を私は持っている。
 絶対に悪用はしたくないからしないけど。


「よしゃー!見つけるでアリたーん!」  

「見つけようぞ!さ行くでー!」

「男共にバレなようにやれよ?見つかったら隠されるぞ」


 女神26柱、全神怒りの捜査。
 そして2時間後に捕まった犯人は……、


『国王かい!』


 国王だった。驚きでみんな声を揃えて叫んだ。


「何やってるんですか国王!」

「いやいや、盗んだと言われるのはちとちがうよー。たまたまその洗濯ばさみから落ちていたのを拾ってアリアちゃんを探してたんだよー」

「いやいや!アリア様信じてはならぬ!こいつは多分……変態だ」


『(気づいてるよ!あんた以外みんな!)』


 全員が心の中で言葉を揃えてそう言っていた。
 変態だと今知ったと叫びたげな顔をしているのは、ネメシス様だ。
 多分、天然?いや……普通におバカなのでしょう。


「ネメシスちゃん、わかってよー。本当だよー?」

「その喋り方が明らか嘘だ!」

「いや、人の口調は直らぬからしかたなかろう」

「あ、わかってくれちゃう感じ?さすがイオちゃんー」


 イオ神……どこの神だったか忘れた。じゃなくて!私の下着だ。


「国王早く下着を返してください!」

「あー、ほいほい……これを……」

『返したらだめだーー!』


 ────ゴテンッ!


 大広間の部屋の扉から男共、つまり男神44柱全神が雪崩のように倒れて流れてきた。


『それをこちらへ国王!』

『犯人はやっぱりお前らか!』


 男神、女神、総勢70柱が広間に集まる形となり。結局犯人は、男神44柱全神の結託によるものでした。
 
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