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緊急です緊急です
姉として守る
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イタリアには制作本社があり、華道膳がいるだけ。
そこへ私が行く理由……なんだって言うのよお姉ちゃん。
「お姉ちゃんの言う通りだねリミアちゃん」
「リリーミさんもどうして!」
「言いたくはなかったし、華道膳のおじちゃんからも止められてたからここまで引っ張って来てたけど……。君はこのゲームの、実際の現実とのシンクロ率を知っている?」
そんなことを、今私に聞く理由が分からない。
けれど、リリーミさんの顔は今までの元気で少しおバカではなく、真剣そのもの。
そんな顔で聞かれれば答えるしかない。
現実と【ディーヴェルクオンライン】のシンクロ率は──あれ? どれだけだった? 分からない……いや、忘れている?
「答えられないよね。実は、この世界でのシンクロ率は85.22%。だけど、リミアちゃんは例外だったんだよ。君だけシンクロ率が──100オーバーなんだ」
「う、嘘はやめてくださいよ! こんな時にそんなつまらない冗談を……」
「なら、リミアちゃんはここでお酒を飲んで体が火照ったりした? 多分したよね。それはみんな同じなんだよ。でも……ログアウト後も継続して引き継がれてたでしょ?」
言われた通り、確かにゲームからログアウトしても酔は続いていた。
でもそれはみんな同じだと思って──でも、お姉ちゃんはゲーム出たら酔が消える……って。
じゃあ本当に私だけシンクロ率が100を超えて……いやいや、それはおかしい。
私だけが100%オーバーだなんて、そんな上手い話をお酒だけで決めつけることは流石に無理がある。
だから私は、笑った。そんなおかしな話があるかと。
すると──ガシッ! グイグイ……!
私よりも背の低いリリーミさんが、注を浮きながら私の胸ぐらを掴んで引っ張ってきた。
「笑い話じゃないんだ! ゲームで人が死ぬ時代になってしまった、そしてその被験者がリミアちゃんだったんだ! 君はなぜ薬師を選んだ時、とんでもないステータスを2つ同時で叩き出せたと思う!? それは君がシンクロ率100%オーバーで、仕組まれたから存在しないレベル1の固定スキルも得ているだ!」
「リリーミさんの……言うとおりだよ、鼎。うぅ……! 鼎は私達の中で、不思議なほど現実とゲーム内で合致しすぎていたんだ。だからアキラ君は、好きになった鼎を自分がゲーム内でも現実でも守らないといけない何かがあると本能で悟って告白を急いだんだ」
じゃあみんな……私に何か違和感を思いながら普通に接してくれていた? 学内で基本的に私の周りには誰が一人でも着いてくれていたのは──本能的に感じた違和感に対して動いてくれていたの?
じゃあなぜ私がその狙われる対象なのか、そこが問題になった。
私が言葉を失い、みんなの優しさとアキラさんのことを思うと涙が出てきた。
すると、リリーミさんがゆっくりと私を下ろして軽く抱きしめてくれる。
「だから逃げるよ……じゃないと──リミアちゃんはここで死ぬかもしれない。そうすれば、悲しむ人がいるのは分かるよね? 親、目の前にいるお姉ちゃん、カチーシェにルル、カイト、可憐、可鱗……マスター、テリヌ、ギルマス、副ギルマスと受付嬢に私。そしてアキラ……みんな悲しむんだよ!」
「だから鼎は逃げろ! チーターは倒した相手に不正ウイルスを流し込み、機材を破壊するらしい。機材を付けたまま破壊されれば──脳内細胞が破壊されるリスクが高。でも負けないから、イタリアで待っててね……鼎。お姉ちゃん──」
──頑張るから……。
「お姉ちゃん……ダメ。ダメ……。──お姉ちゃーん!」
「強制ログアウトシステム! フル稼働!」
私はリリーミさんに抱えられ、強制ログアウトシステムによってゲームを強制的に抜けることになった。
そして……最後に見た姉は、後ろ姿のみ。そして、大きな羽を生やしていた。
ーーイタリア フィウミチーノ空港ーー
「お金は……」
「いいよいいよ、これは緊急自体だから持つよ。それより──大丈夫?」
「はい。姉は強いので……大丈夫かと。学校も、頼れる先生に裏で話を通した結果、【ディーヴェルクオンライン】のプレイヤーの一人だったみたいで納得してくれました」
私は強制ログアウトで現実に戻ってきた。
すると、スマホに知らない番号から電話がきて出るとリリーミさんだった。
姉のいない静かな部屋に一人。リリーミさんからは、生活をできるように服とか必要な物を詰めてすぐに羽田空港に集合と言われた。
リリーミさんはなぜか二枚のチケットを持っていて、すぐに飛行機に乗ることができた。しかも、貴族御用達のトップクラスのを。
「とりあえず、空港に着いたら制作本社の車が迎えに来るからそれに乗って会社に行こうー! それからは多少の観光でもしよーね!」
とても明るく振る舞ってくれるリリーミさん。
私の気持ちが沈んでいくのを止めるためだと思う。
だからあえて……優しく、笑って……。
お姉ちゃん……。みんな……。危険を覚悟で私なんかを──本当にいつも助けられてばかりでごめんなさい。
私もイタリアで、戦うから──無事でいてねみんな。
そこへ私が行く理由……なんだって言うのよお姉ちゃん。
「お姉ちゃんの言う通りだねリミアちゃん」
「リリーミさんもどうして!」
「言いたくはなかったし、華道膳のおじちゃんからも止められてたからここまで引っ張って来てたけど……。君はこのゲームの、実際の現実とのシンクロ率を知っている?」
そんなことを、今私に聞く理由が分からない。
けれど、リリーミさんの顔は今までの元気で少しおバカではなく、真剣そのもの。
そんな顔で聞かれれば答えるしかない。
現実と【ディーヴェルクオンライン】のシンクロ率は──あれ? どれだけだった? 分からない……いや、忘れている?
「答えられないよね。実は、この世界でのシンクロ率は85.22%。だけど、リミアちゃんは例外だったんだよ。君だけシンクロ率が──100オーバーなんだ」
「う、嘘はやめてくださいよ! こんな時にそんなつまらない冗談を……」
「なら、リミアちゃんはここでお酒を飲んで体が火照ったりした? 多分したよね。それはみんな同じなんだよ。でも……ログアウト後も継続して引き継がれてたでしょ?」
言われた通り、確かにゲームからログアウトしても酔は続いていた。
でもそれはみんな同じだと思って──でも、お姉ちゃんはゲーム出たら酔が消える……って。
じゃあ本当に私だけシンクロ率が100を超えて……いやいや、それはおかしい。
私だけが100%オーバーだなんて、そんな上手い話をお酒だけで決めつけることは流石に無理がある。
だから私は、笑った。そんなおかしな話があるかと。
すると──ガシッ! グイグイ……!
私よりも背の低いリリーミさんが、注を浮きながら私の胸ぐらを掴んで引っ張ってきた。
「笑い話じゃないんだ! ゲームで人が死ぬ時代になってしまった、そしてその被験者がリミアちゃんだったんだ! 君はなぜ薬師を選んだ時、とんでもないステータスを2つ同時で叩き出せたと思う!? それは君がシンクロ率100%オーバーで、仕組まれたから存在しないレベル1の固定スキルも得ているだ!」
「リリーミさんの……言うとおりだよ、鼎。うぅ……! 鼎は私達の中で、不思議なほど現実とゲーム内で合致しすぎていたんだ。だからアキラ君は、好きになった鼎を自分がゲーム内でも現実でも守らないといけない何かがあると本能で悟って告白を急いだんだ」
じゃあみんな……私に何か違和感を思いながら普通に接してくれていた? 学内で基本的に私の周りには誰が一人でも着いてくれていたのは──本能的に感じた違和感に対して動いてくれていたの?
じゃあなぜ私がその狙われる対象なのか、そこが問題になった。
私が言葉を失い、みんなの優しさとアキラさんのことを思うと涙が出てきた。
すると、リリーミさんがゆっくりと私を下ろして軽く抱きしめてくれる。
「だから逃げるよ……じゃないと──リミアちゃんはここで死ぬかもしれない。そうすれば、悲しむ人がいるのは分かるよね? 親、目の前にいるお姉ちゃん、カチーシェにルル、カイト、可憐、可鱗……マスター、テリヌ、ギルマス、副ギルマスと受付嬢に私。そしてアキラ……みんな悲しむんだよ!」
「だから鼎は逃げろ! チーターは倒した相手に不正ウイルスを流し込み、機材を破壊するらしい。機材を付けたまま破壊されれば──脳内細胞が破壊されるリスクが高。でも負けないから、イタリアで待っててね……鼎。お姉ちゃん──」
──頑張るから……。
「お姉ちゃん……ダメ。ダメ……。──お姉ちゃーん!」
「強制ログアウトシステム! フル稼働!」
私はリリーミさんに抱えられ、強制ログアウトシステムによってゲームを強制的に抜けることになった。
そして……最後に見た姉は、後ろ姿のみ。そして、大きな羽を生やしていた。
ーーイタリア フィウミチーノ空港ーー
「お金は……」
「いいよいいよ、これは緊急自体だから持つよ。それより──大丈夫?」
「はい。姉は強いので……大丈夫かと。学校も、頼れる先生に裏で話を通した結果、【ディーヴェルクオンライン】のプレイヤーの一人だったみたいで納得してくれました」
私は強制ログアウトで現実に戻ってきた。
すると、スマホに知らない番号から電話がきて出るとリリーミさんだった。
姉のいない静かな部屋に一人。リリーミさんからは、生活をできるように服とか必要な物を詰めてすぐに羽田空港に集合と言われた。
リリーミさんはなぜか二枚のチケットを持っていて、すぐに飛行機に乗ることができた。しかも、貴族御用達のトップクラスのを。
「とりあえず、空港に着いたら制作本社の車が迎えに来るからそれに乗って会社に行こうー! それからは多少の観光でもしよーね!」
とても明るく振る舞ってくれるリリーミさん。
私の気持ちが沈んでいくのを止めるためだと思う。
だからあえて……優しく、笑って……。
お姉ちゃん……。みんな……。危険を覚悟で私なんかを──本当にいつも助けられてばかりでごめんなさい。
私もイタリアで、戦うから──無事でいてねみんな。
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