VRMMOの世界で薬屋を開いたレベル1の薬師

永遠ノ宮

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緊急──チーターとの大戦2

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「運営からは1つ……。絶対にチーターを黙らせ、処分してください。チーターにはアカウント保護を解除してあります。もしゲーム内で死亡すれば、アカウントは即消去、コンティニュー不可です」
「そんなことできんだな」 
「いえ、今回初のテスト形式での試みになります。総責任者、華道膳様の命令によって」
「大物がでてきたねー! ねー、リミアちゃん?」

 華道膳……姉はこの名前を聞いても全く表情を一つ変えていない。
 むしろ、興味を持っているようだった。
 ──なんでみんな忘れているのよ。お母さんも、お姉ちゃんも……。

「鼎?」
「──!? あ、うん! どうしたの?」
「華道膳の名字、鼎の名字が一緒だから前から気になっていたが──父親じゃないのか?」

 そう。華道膳は私の元父親……霧島華道膳。
 私達家族を置いて消えていった最低最悪な父親。
 どんな仕事をしているのかを言わず、かなりの大金を稼ぎ、出て行く時は500万円を置いて消えた。
 でも、華道膳が出ていったことでお母さんは体調を崩し寝たきりに。
 お兄ちゃんだって……死なずにすんだのに!

「やっぱりそうだったか」
「……あー! 華道膳って聞いたことあると思ったら、私と鼎の元父親だったな! 忘れていたよ」
「私は面識あるよー? って、ほとんど毎日だけどね?」

 可愛く左右に揺れながら、リリーミさんは華道膳との関わりを言った。
 面識あり……そして毎日なら確実に華道膳のいる場所を知っている。

「──それでは、チームを組んだ方々から解散し、チーター殲滅に頑張ってください」
「……とりあえず3人で別れて、5チームだな」
「ギルマス達は離さんほうがいいだろうな」
「ならマスターとテリヌもだな!」

 ギルドマスターさんと、酒場のマスターさんが仲良く話している。
 ここも繋がりがしっかりとあったんだ。みんな顔広いんだなー。
 

 そして、5チームが決まった。

 ───

 1チーム 私、姉、リリーミさん。

 2チーム 可憐さん、可鱗さん、カイトさん

 3チーム アキラさん、マスターさん、テリヌさん

 4チーム カチーシェさん、ルルさん、グレモアさん

 5チーム ギルドマスターさん、副ギルドマスターさん、受付嬢さん

 ───

 このように決まった5チームは、近すぎず遠すぎずの距離感を保ちながら別れた。
 そして、全てのチームはすぐにチーターに出会った。
 まるで待ち伏せをされていたのように──特に、私の第1チームは。


 ーーイタリア 【ディーヴェルクオンライン】運営本部ーー

「華道膳総責任長。お電話です」
「誰からだ?」
「クララスアメリカ支部長様からです」
「クララスなら後でかけ直そう。……それより、チーターはどうなっている?」
「娘さんが心配ですか?」

 娘が心配か……。
 今更家族を捨てた私が、元娘の鼎を心配する必要はないのだが──あの子は特別な存在だ。
 現実世界とゲーム世界がシンクロしすぎている【ディーヴェルクオンライン】内で、薬師としての能力を最大限引き出した鼎は……。

「脳内細胞すらゲームに引き継がれているですね」
「──リリーミの妹か。そうだ、脳内細胞の細かな部分、そして心臓、生殖器官も」
「ゲーム内でやられてしまえば、現実でもぽっくりあの世へ残念ですね」
「そうならないためにも、君の姉が動いているんだろう! 私の意向ではなく、彼女自身が鼎のために」
「怒らないでください総責任長。とりあえず、チーターの情報が割り出せました」

 さすがリリーミの妹だ。
 情報収集能力は長けている。元米軍スパイなだけはある。
 だが、チーターの情報をどう伝えるかは……秘書の宇城の仕事だがな。

「それで、誰だったわけだ?」
「イスラム過激派組織アルダントが、リミアちゃんの存在を知ったそうですね。そして、あなたと上層部の企みに気づき──潰しに来ているかと」
「さすがイスラム過激派組織だ。動きが早いが──ここを狙う方法もあっただろうにな」
「アルダントは、希望の光を消す者たち。無理もないでしょう。ましてや、現実とゲームがここまで関連してしまえば尚更」

 【ディーヴェルクオンライン】制作者……キネット・ワードめ。
 貴様のせいで、現実とゲームは今や同じ世界同然。ゲームで人を殺せるようになったではないか。
 そして、私の愛する唯一の娘……今は違うが鼎を──見事に巻き込んでくれたなクソ野郎。

「リリーミの妹。早急に手回しをしてほしい所がある」
「はいはーい! 承りましたよー」
「二重人格が出ているぞ。それにまだ言ってもおらんだろうが」

 先に手回しする場所は──中国だろうな。

「チャイニーズ──」
「チャイニーズ本湾武丁局ですねー! はいはーい!」
「君はどこまで私の考えを読んでいるのかね」
「それは──」


 ──あらゆる全てを。
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