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限定品を求めて
最終戦
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「地獄のはじまりでーす!」
「あんなに楽しそうに言われると……少し腹立つな」
「同感ですねー。私もですー」
楽しそうにバランスボールをサーカス団の熊のように器用に転がして笑うリリーさん。
見ているこちらとしては、最高にバカにされた気分でしかない。
「ネーデルフルオート!」
「あ……ひょいひょいひょひょひょひょい!」
「全弾つかまれた!?」
霧ちゃんの火縄銃がマシンガンのようにフルオートで20発ほどの弾を飛ばすも、リリーさんは飛んできた弾を体操選手のように側転などをして避けた。
弾速はかなりのもので、必ず2、3弾は当たるはず。
けれどリリーさんは、とんでもない速さで飛んできた弾を1弾も当たることなく笑いながら避けてきっている。
あれはもう……プレイヤーじゃない……。
「チーターだろアイツ……」
「運営なら何でもできるから……でもそれがバレれば運営陣は信頼を失うからしてこない」
「あれは実力だな! 【ディーヴェルクオンライン】は、プレイヤーレベルが999まであり、そこに到達しているのは1人……マーリンと名のプレイヤー」
姉の出したプレイヤー名に、クスクスと笑い始めたリリーさんはプロフィールカードを取り出して私達に投げた。
プロフィールカードには、姉の言う通り『マーリン』と名が書いてある。
プレイヤーレベルも999……。
本物の化物……世界一の神がリリーさんだったなんて。
「確認できたー? 私は世界一のクソプレイヤーのマーリンでーす! と言っても……1人厄介なのがいるから困ってるんだよね……リミアちゃーん」
「私……ですか?」
「そうそう! 薬師勧めたはいいんだけど、【ディーヴェルクオンライン】ってゲームは初期に決めた職業が永久の代わりにシンクロ効果で初期ステータス変動するじゃん?」
「それがどういう……」
「だーかーらー。リミアちゃんは薬師とのシンクロ率が設定基準値をオーバー、飛んでいるのー! だから、回復と毒がカンストしてしまったわけー」
チュートリアル後に選べる職業はデータ消去を行わい限り永久。
その導入されているシステムがシンクロ効果ステータス割り当て機能……なのだそう。
私がシンクロ効果について知ったのは、昨日のウィザースター戦後。
リリーさんは運営陣だから……私の初期ステータスはシンクロ効果ので間違いなかったんだ。少しホッとした。
「まさか生かすも殺すも……とても可愛い女の子の手の中だなんてこちらもビックリー! だったんだよー? と言っても、イベントはリミアちゃん無しでお願いしまーす! 死幻……」
「うっ……うぐぐぐ! あぁあああ!」
リリーさんの闇属性の攻撃、死幻に私は襲われる。
体の内から激痛が走り、頭には激痛が走る。
これが闇属性の最強魔法……!? 耐えられるわけがない……!
「妹に手を出してんじゃねー! エターション!」
「浄化魔法ですかー? 効きませーん」
「重ね浄化って知ってますかー? ダブルエターション!」
「あら? 死幻が解かれちゃったー」
姉と可憐さんのダブルエターションで死幻から解放された私は、カチーシェさんとルルさんに抱えられて一番奥へと下がった。
薄らとしか開かない目で見えたのは、姉の振り下ろした大剣とリリーさんのスピアソードがぶつかりあうところだった。
スピアソードの刀身は厚さ2ミリ、大剣は5センチ。
圧倒的に大剣が有利なはずの現状は、互角。
いや……互角というよりかはリリーさんが上をいっているような。
「弱いねー? 弱いよ弱いよー」
「うるせーな! フルバースト!」
「ならこちらは……絶バースト──神!」
「──何!?」
フルバーストを使って筋肉を強化した姉が、大剣を力強く押すもリリーさんにフルバーストを超える絶バースト神で姉を跳ね除け……吹き飛ばした。
「お姉ちゃん!?」
「アイツやばい。強すぎて……勝ち目が見えない」
「うーん。リミアちゃーん? もう少し強くなったら出直してきてねー」
「それって……まさか!」
「我命によってその力をここに。ここは戦場……蛆は消えるべし!」
「全員飛べ────!」
「アーベルデスト! キラウエア────!!」
地面が揺れ、逃げる間もなく溶岩が噴き出してきた。
そして、地響きが強くなったと途端……噴火した。
コロシアムは噴火で吹き飛び、私達8人も見事に死亡した。
「アイツなんだったんだ!」
後日、現実世界での私の部屋で突然始まった愚痴大会。
確かに、リリーさんのは少し不思議な力だった。
ゲームを始めて2週間の私でも、それがよく分かるのだから……よっぽどだよね。
「あれは勝てないどころかチートだ」
「まぁ……言いたいことは言いまくったし、明日は日曜! 泊まりでもして、みんなでまた営業しよう!」
「そうだな! 私もお店を手伝うとしよう!」
新メンバー姉を加え、また薬屋に戻る。
戦って、売って、人を癒やす。
RPGでこんなことをしているのは、私達くらいかもしれない。
けれどまた、それが楽しいのです。
「あんなに楽しそうに言われると……少し腹立つな」
「同感ですねー。私もですー」
楽しそうにバランスボールをサーカス団の熊のように器用に転がして笑うリリーさん。
見ているこちらとしては、最高にバカにされた気分でしかない。
「ネーデルフルオート!」
「あ……ひょいひょいひょひょひょひょい!」
「全弾つかまれた!?」
霧ちゃんの火縄銃がマシンガンのようにフルオートで20発ほどの弾を飛ばすも、リリーさんは飛んできた弾を体操選手のように側転などをして避けた。
弾速はかなりのもので、必ず2、3弾は当たるはず。
けれどリリーさんは、とんでもない速さで飛んできた弾を1弾も当たることなく笑いながら避けてきっている。
あれはもう……プレイヤーじゃない……。
「チーターだろアイツ……」
「運営なら何でもできるから……でもそれがバレれば運営陣は信頼を失うからしてこない」
「あれは実力だな! 【ディーヴェルクオンライン】は、プレイヤーレベルが999まであり、そこに到達しているのは1人……マーリンと名のプレイヤー」
姉の出したプレイヤー名に、クスクスと笑い始めたリリーさんはプロフィールカードを取り出して私達に投げた。
プロフィールカードには、姉の言う通り『マーリン』と名が書いてある。
プレイヤーレベルも999……。
本物の化物……世界一の神がリリーさんだったなんて。
「確認できたー? 私は世界一のクソプレイヤーのマーリンでーす! と言っても……1人厄介なのがいるから困ってるんだよね……リミアちゃーん」
「私……ですか?」
「そうそう! 薬師勧めたはいいんだけど、【ディーヴェルクオンライン】ってゲームは初期に決めた職業が永久の代わりにシンクロ効果で初期ステータス変動するじゃん?」
「それがどういう……」
「だーかーらー。リミアちゃんは薬師とのシンクロ率が設定基準値をオーバー、飛んでいるのー! だから、回復と毒がカンストしてしまったわけー」
チュートリアル後に選べる職業はデータ消去を行わい限り永久。
その導入されているシステムがシンクロ効果ステータス割り当て機能……なのだそう。
私がシンクロ効果について知ったのは、昨日のウィザースター戦後。
リリーさんは運営陣だから……私の初期ステータスはシンクロ効果ので間違いなかったんだ。少しホッとした。
「まさか生かすも殺すも……とても可愛い女の子の手の中だなんてこちらもビックリー! だったんだよー? と言っても、イベントはリミアちゃん無しでお願いしまーす! 死幻……」
「うっ……うぐぐぐ! あぁあああ!」
リリーさんの闇属性の攻撃、死幻に私は襲われる。
体の内から激痛が走り、頭には激痛が走る。
これが闇属性の最強魔法……!? 耐えられるわけがない……!
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「浄化魔法ですかー? 効きませーん」
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「あら? 死幻が解かれちゃったー」
姉と可憐さんのダブルエターションで死幻から解放された私は、カチーシェさんとルルさんに抱えられて一番奥へと下がった。
薄らとしか開かない目で見えたのは、姉の振り下ろした大剣とリリーさんのスピアソードがぶつかりあうところだった。
スピアソードの刀身は厚さ2ミリ、大剣は5センチ。
圧倒的に大剣が有利なはずの現状は、互角。
いや……互角というよりかはリリーさんが上をいっているような。
「弱いねー? 弱いよ弱いよー」
「うるせーな! フルバースト!」
「ならこちらは……絶バースト──神!」
「──何!?」
フルバーストを使って筋肉を強化した姉が、大剣を力強く押すもリリーさんにフルバーストを超える絶バースト神で姉を跳ね除け……吹き飛ばした。
「お姉ちゃん!?」
「アイツやばい。強すぎて……勝ち目が見えない」
「うーん。リミアちゃーん? もう少し強くなったら出直してきてねー」
「それって……まさか!」
「我命によってその力をここに。ここは戦場……蛆は消えるべし!」
「全員飛べ────!」
「アーベルデスト! キラウエア────!!」
地面が揺れ、逃げる間もなく溶岩が噴き出してきた。
そして、地響きが強くなったと途端……噴火した。
コロシアムは噴火で吹き飛び、私達8人も見事に死亡した。
「アイツなんだったんだ!」
後日、現実世界での私の部屋で突然始まった愚痴大会。
確かに、リリーさんのは少し不思議な力だった。
ゲームを始めて2週間の私でも、それがよく分かるのだから……よっぽどだよね。
「あれは勝てないどころかチートだ」
「まぁ……言いたいことは言いまくったし、明日は日曜! 泊まりでもして、みんなでまた営業しよう!」
「そうだな! 私もお店を手伝うとしよう!」
新メンバー姉を加え、また薬屋に戻る。
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