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限定品を求めて
休憩
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スポン地点を変更したところで、バーベーキューをしようとルルさんが取り寄せたお肉と野菜が転送されてきた。
「バーベーキューできるよ!」
「なら私が焼き担当しますね!」
「ダメダメ! ウロボロスボルフの放射を直接受けているんだからー! 私がここはやるから食べて食べて!」
ウロボロスボルフの放射を回復しながらも食らった私は、確かに僅かながらの痛みと疲労があった。
お肉などを焼く分には全然平気だけれど、カチーシェさんは本当に優しいお方で焼き担当を変わってくれた。
「じゃあ……いただきます! うーん! ゲーム内でも味が分かるってやっぱりいいですねー!」
「VRMMOで味覚や痛覚までリンクできるなんて、1年前までは考えられなかった話だがな」
2、3年前からVRMMOは世界に発信されたけれど、味覚や痛覚まではリンクできなかった。
1年前までは不可能とされた人間の持つ全感覚をリンクすることに初成功したのが、【ディーヴェルクオンライン】だった。
攻撃を受けると、敵の攻撃力と自身の防御力で割り出された分のダメージで痛みの度合いが変わる。
それが世界中で「現実世界で戦っている気分!」だと、発売から数日で5000万人ものプレイヤーを獲得した。
私も2年前に出た【ラビリス・サファイア】をやってはいたけれど、ご飯を食べても味がしない、攻撃を受けても気づけないが原因でやめている。
「やっぱりディーライン(ディーヴェルクオンラインの略称)は凄いですね!」
「本当に凄いよね! 武器の重さも、目の乾きとかもリアルで!」
「その代わりに……攻撃を受けると痛いけど……」
確かに、回復をしながらでもジワリと体が焼ける感じがしたような……。
ウロボロスボルフの放射熱は500℃らしい。
思い出しても嫌な数字だけど……それを私はよく耐えれたよ本当に。
自分を自分で軽く褒めながら、ビールを一気飲みすると霧ちゃんが対抗してきた。
「霧ちゃんは子供のビール?」
「いえ! お姉さんと同じです!」
「「それは運営にバレたらまずいからやめて(ろ)!」」
霧ちゃんは大きな顔をしてアルコールの入ったビールを一気飲みしていた。
ゲーム内での飲酒は、現実への影響は無いものの運営にバレれば即アカウント凍結を受けてしまう。
それほど現実に近いゲームだからこそ未成年者の禁止事項は多い。
私は大学を受けたのが19歳の時で、1ヶ月前に20歳になったことで飲酒、喫煙が解禁されている。
現実では飲まないのだけれど……ね。
「アグナー! 一気飲み勝負だよ──ウォッカで!」
「受けて立つ!」
ビール瓶を2人で5本も開けているルルさんとアグナさんは既に酔い酔いになっている。
どこから持ってきたのか、キンキンに冷えたウォッカをジョッキへ満タンまで注いで、「せーの!」と2人で合わせて飲み始めた。
多分これは……2人同時にギブになるパターン──
「「これは無理だ! 喉が死ぬ──!」」
絶対にそうなるんだろうな……とは予測していたけれど、言わなかった自分が何だか悪く思えてきてしまった。
ウォッカのアルコール度数は40度、沖縄の古酒 泡盛で43度。
けれど、今回2人が一気飲みに挑戦したウォッカの銘柄、スピリタスは96度。
スピリタスを炭酸で割ることもせずに飲めば、当然喉がイカれてしまう。
けれど、銘柄を見ずにノリで飲んだ2人は未だに気づいていない。
「あの……それ銘柄見ました?」
「「え?」」
「これアキラお兄さん……スピリタス」
カイトさんが空の瓶を取り出して2人に見せると、白目を向いてそのまま硬直してしまった。
カチーシェさんはお肉を焼きながら大笑いし、可憐さんと霧ちゃんは全く見てすらいなかった。
「とりあえず、お肉食べましょう?」
「飲んでばかりでも意味ないよねー! 食べよ食べよ!」
「そうだな。……ほらカイト、あーん」
「じ! 自分で食べれるよアキラお兄さん!」
アグナさんのあーんに、カイトさんが赤面で立ち上がる。
「カチーシェさん! お肉ください!」
「アイツ……素直じゃねーな」
「照れ隠しですね。可愛いですねー」
カイトさんは照れ隠しでカチーシェさんにお肉を貰いにいった。
何とも言えない可愛い弟がいるアグナさんを私は羨ましいと思った。
私はカクテルを飲みながら、イチャつくアグナさんとカイトさんを微笑ましくうろ目で見ていると誰かが話しかけてきた。
「楽しそうだなー! 見た顔がいるが……よっ、薬師!」
「お姉ちゃん!? どうしてここに!?」
「「「「「「お姉ちゃん!?」」」」」」
みんなに揃って叫ばれてしまった……。そりゃ──そうだよね。
突然ふらりと現れたのは私の実の姉だった。
現実と変わらない、銀髪で赤紫色の瞳。
身長は165センチと、少し高めでモデル体型。
ちなみに、カチーシェさんとルルさんは気づいたみたいで……
「モデルの白姫だー!」
「本物!?」
「何だ知ってるのか!? これはこれは! サインどうぞー!」
「お姉ちゃん!?」
私がお姉ちゃんの暴走を止めると、テーブルに置かれていたお肉を一口で5枚ほど掻き込んだ。
そして、私の後ろに立って笑顔で言った。
「私も一緒に旅をしたい! いやパーティーに入りたい!」
そう、お姉ちゃんは妹である私が入っているパーティーに加入しに来たのだった。
もちろん、リーダーのカチーシェさんは二つ返事で返した。
そして楽しい夜は終わり、解散した。
そして3日限定イベント2日目に突入した今日。
お姉ちゃんは水着装備で登場し、みんなを驚愕させた。
「バーベーキューできるよ!」
「なら私が焼き担当しますね!」
「ダメダメ! ウロボロスボルフの放射を直接受けているんだからー! 私がここはやるから食べて食べて!」
ウロボロスボルフの放射を回復しながらも食らった私は、確かに僅かながらの痛みと疲労があった。
お肉などを焼く分には全然平気だけれど、カチーシェさんは本当に優しいお方で焼き担当を変わってくれた。
「じゃあ……いただきます! うーん! ゲーム内でも味が分かるってやっぱりいいですねー!」
「VRMMOで味覚や痛覚までリンクできるなんて、1年前までは考えられなかった話だがな」
2、3年前からVRMMOは世界に発信されたけれど、味覚や痛覚まではリンクできなかった。
1年前までは不可能とされた人間の持つ全感覚をリンクすることに初成功したのが、【ディーヴェルクオンライン】だった。
攻撃を受けると、敵の攻撃力と自身の防御力で割り出された分のダメージで痛みの度合いが変わる。
それが世界中で「現実世界で戦っている気分!」だと、発売から数日で5000万人ものプレイヤーを獲得した。
私も2年前に出た【ラビリス・サファイア】をやってはいたけれど、ご飯を食べても味がしない、攻撃を受けても気づけないが原因でやめている。
「やっぱりディーライン(ディーヴェルクオンラインの略称)は凄いですね!」
「本当に凄いよね! 武器の重さも、目の乾きとかもリアルで!」
「その代わりに……攻撃を受けると痛いけど……」
確かに、回復をしながらでもジワリと体が焼ける感じがしたような……。
ウロボロスボルフの放射熱は500℃らしい。
思い出しても嫌な数字だけど……それを私はよく耐えれたよ本当に。
自分を自分で軽く褒めながら、ビールを一気飲みすると霧ちゃんが対抗してきた。
「霧ちゃんは子供のビール?」
「いえ! お姉さんと同じです!」
「「それは運営にバレたらまずいからやめて(ろ)!」」
霧ちゃんは大きな顔をしてアルコールの入ったビールを一気飲みしていた。
ゲーム内での飲酒は、現実への影響は無いものの運営にバレれば即アカウント凍結を受けてしまう。
それほど現実に近いゲームだからこそ未成年者の禁止事項は多い。
私は大学を受けたのが19歳の時で、1ヶ月前に20歳になったことで飲酒、喫煙が解禁されている。
現実では飲まないのだけれど……ね。
「アグナー! 一気飲み勝負だよ──ウォッカで!」
「受けて立つ!」
ビール瓶を2人で5本も開けているルルさんとアグナさんは既に酔い酔いになっている。
どこから持ってきたのか、キンキンに冷えたウォッカをジョッキへ満タンまで注いで、「せーの!」と2人で合わせて飲み始めた。
多分これは……2人同時にギブになるパターン──
「「これは無理だ! 喉が死ぬ──!」」
絶対にそうなるんだろうな……とは予測していたけれど、言わなかった自分が何だか悪く思えてきてしまった。
ウォッカのアルコール度数は40度、沖縄の古酒 泡盛で43度。
けれど、今回2人が一気飲みに挑戦したウォッカの銘柄、スピリタスは96度。
スピリタスを炭酸で割ることもせずに飲めば、当然喉がイカれてしまう。
けれど、銘柄を見ずにノリで飲んだ2人は未だに気づいていない。
「あの……それ銘柄見ました?」
「「え?」」
「これアキラお兄さん……スピリタス」
カイトさんが空の瓶を取り出して2人に見せると、白目を向いてそのまま硬直してしまった。
カチーシェさんはお肉を焼きながら大笑いし、可憐さんと霧ちゃんは全く見てすらいなかった。
「とりあえず、お肉食べましょう?」
「飲んでばかりでも意味ないよねー! 食べよ食べよ!」
「そうだな。……ほらカイト、あーん」
「じ! 自分で食べれるよアキラお兄さん!」
アグナさんのあーんに、カイトさんが赤面で立ち上がる。
「カチーシェさん! お肉ください!」
「アイツ……素直じゃねーな」
「照れ隠しですね。可愛いですねー」
カイトさんは照れ隠しでカチーシェさんにお肉を貰いにいった。
何とも言えない可愛い弟がいるアグナさんを私は羨ましいと思った。
私はカクテルを飲みながら、イチャつくアグナさんとカイトさんを微笑ましくうろ目で見ていると誰かが話しかけてきた。
「楽しそうだなー! 見た顔がいるが……よっ、薬師!」
「お姉ちゃん!? どうしてここに!?」
「「「「「「お姉ちゃん!?」」」」」」
みんなに揃って叫ばれてしまった……。そりゃ──そうだよね。
突然ふらりと現れたのは私の実の姉だった。
現実と変わらない、銀髪で赤紫色の瞳。
身長は165センチと、少し高めでモデル体型。
ちなみに、カチーシェさんとルルさんは気づいたみたいで……
「モデルの白姫だー!」
「本物!?」
「何だ知ってるのか!? これはこれは! サインどうぞー!」
「お姉ちゃん!?」
私がお姉ちゃんの暴走を止めると、テーブルに置かれていたお肉を一口で5枚ほど掻き込んだ。
そして、私の後ろに立って笑顔で言った。
「私も一緒に旅をしたい! いやパーティーに入りたい!」
そう、お姉ちゃんは妹である私が入っているパーティーに加入しに来たのだった。
もちろん、リーダーのカチーシェさんは二つ返事で返した。
そして楽しい夜は終わり、解散した。
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お姉ちゃんは水着装備で登場し、みんなを驚愕させた。
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