3 / 9
2.両親
しおりを挟む
私は自分の顔が嫌いだ。この男か女かもわからない顔が嫌いだ。
「シエル様もうすぐ夕飯の時間ですので一」
ふふん,うまいうまい,モグモグ。
もう一つ食べようとマカロンに手を伸ばしたがザックに止められた。
「マカロン没収です」
あぁマカロン……まだ八つしか食べていないのに。私はザックを睨みつけた。
「夕飯入らなくなりますよ」
「そうか」
もうそんな時間になったのか。私は読んでいた本を閉じそこら辺に置いて食卓へ向かう。食事なんざ一人で食べれば良いことを何故集まって食べなくてはならないのだ?
「はー面倒だ」
食卓に着くと顔の整った男女がすでに座っていた。
「「シエル」」
いきなり二人が立ち上がり私の方へ駆けつける。そして一
「あぁ,シエル」スリスリ「シエル」撫で撫で
今私にスリスリ,撫で撫でをしてくるこの男女が今の私の両親だ。シエルになってから一週間,飯の時間になるとからなずこのスリスリと撫で撫でをしてくる。抵抗することも出来たのだが不快だと思わなかった。だから抵抗はしない。
「まったく第三皇子は何を考えているのだ,こんなにも可愛いうちのシエルと婚約出来たというのに破棄するとは」
「同感ですわ!こんなにも愛らしいのに」
可愛いだの愛らしいだの私のどこを見てそう思うのか不思議だ。それにしてもこのスリスリと撫で撫ではいつになったら終わるんだ,そろそろ食卓のステーキを食べたい。
スリスリ撫で撫で
「「シエル~」」
はぁー
「旦那様,奥様。スリスリ撫で撫でをその辺にして早く召し上がってください。覚めますよ」
ザックの言葉を聞いて渋々私を離して席についた。流石は私の世話係兼護衛係,有能だ。さて私は今目の前にあるステーキに集中するとしよう。
ナイフとフォークを手に取りステーキをば一口サイズに切り口に運んだ。
「……うまい……」
以前の私なら肉を目にするだけで吐き気がしたが…
「はむっ」
今ではまったくその症状がない。
私がステーキに夢中になっていると父らしき人が私に話しかけた。
「シエル,世の中第三皇子より素敵な人は沢山いる。気に病むでない」
第三皇子……?あぁこのシエルの初恋相手か。私は口に入っていたステーキを飲み込み話す。
「親父,お袋安心しろ。私はあんな奴を気にするほど心は広くない」
気にしていないと話すと二人は目を見開いていた。
「おや…じ?」
「お,ふくろ…ですって?!」
なんだ急に空気が冷たく……
「久々にうまい以外の言葉が聞けると思ったのに親父,お袋って……シエル!せめてお母様いえ,ママとお呼び!」
ママ?
「リリアナがママなら私はパパと呼んでくれるのかな?」
パパ?
まぁ,二人がそう呼んで欲しいのなら
「わかった。パパ,ママ」
私がそう呼ぶと二人はニヤニヤしていた。そして二人は立ち上がり私の方へと近寄ってくる。
「「シエル~」」
スリスリ撫で撫で
また始まった。
「シエル様もうすぐ夕飯の時間ですので一」
ふふん,うまいうまい,モグモグ。
もう一つ食べようとマカロンに手を伸ばしたがザックに止められた。
「マカロン没収です」
あぁマカロン……まだ八つしか食べていないのに。私はザックを睨みつけた。
「夕飯入らなくなりますよ」
「そうか」
もうそんな時間になったのか。私は読んでいた本を閉じそこら辺に置いて食卓へ向かう。食事なんざ一人で食べれば良いことを何故集まって食べなくてはならないのだ?
「はー面倒だ」
食卓に着くと顔の整った男女がすでに座っていた。
「「シエル」」
いきなり二人が立ち上がり私の方へ駆けつける。そして一
「あぁ,シエル」スリスリ「シエル」撫で撫で
今私にスリスリ,撫で撫でをしてくるこの男女が今の私の両親だ。シエルになってから一週間,飯の時間になるとからなずこのスリスリと撫で撫でをしてくる。抵抗することも出来たのだが不快だと思わなかった。だから抵抗はしない。
「まったく第三皇子は何を考えているのだ,こんなにも可愛いうちのシエルと婚約出来たというのに破棄するとは」
「同感ですわ!こんなにも愛らしいのに」
可愛いだの愛らしいだの私のどこを見てそう思うのか不思議だ。それにしてもこのスリスリと撫で撫ではいつになったら終わるんだ,そろそろ食卓のステーキを食べたい。
スリスリ撫で撫で
「「シエル~」」
はぁー
「旦那様,奥様。スリスリ撫で撫でをその辺にして早く召し上がってください。覚めますよ」
ザックの言葉を聞いて渋々私を離して席についた。流石は私の世話係兼護衛係,有能だ。さて私は今目の前にあるステーキに集中するとしよう。
ナイフとフォークを手に取りステーキをば一口サイズに切り口に運んだ。
「……うまい……」
以前の私なら肉を目にするだけで吐き気がしたが…
「はむっ」
今ではまったくその症状がない。
私がステーキに夢中になっていると父らしき人が私に話しかけた。
「シエル,世の中第三皇子より素敵な人は沢山いる。気に病むでない」
第三皇子……?あぁこのシエルの初恋相手か。私は口に入っていたステーキを飲み込み話す。
「親父,お袋安心しろ。私はあんな奴を気にするほど心は広くない」
気にしていないと話すと二人は目を見開いていた。
「おや…じ?」
「お,ふくろ…ですって?!」
なんだ急に空気が冷たく……
「久々にうまい以外の言葉が聞けると思ったのに親父,お袋って……シエル!せめてお母様いえ,ママとお呼び!」
ママ?
「リリアナがママなら私はパパと呼んでくれるのかな?」
パパ?
まぁ,二人がそう呼んで欲しいのなら
「わかった。パパ,ママ」
私がそう呼ぶと二人はニヤニヤしていた。そして二人は立ち上がり私の方へと近寄ってくる。
「「シエル~」」
スリスリ撫で撫で
また始まった。
163
お気に入りに追加
215
あなたにおすすめの小説

嫌われ者の僕が学園を去る話
おこげ茶
BL
嫌われ者の男の子が学園を去って生活していく話です。
一旦ものすごく不幸にしたかったのですがあんまなってないかもです…。
最終的にはハピエンの予定です。
Rは書けるかわからなくて入れるか迷っているので今のところなしにしておきます。
↓↓↓
微妙なやつのタイトルに※つけておくので苦手な方は自衛お願いします。
設定ガバガバです。なんでも許せる方向け。
不定期更新です。(目標週1)
勝手もわかっていない超初心者が書いた拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
誤字などがありましたらふわふわ言葉で教えて欲しいです。爆速で修正します。

転生して悪役になったので、愛されたくないと願っていたら愛された話
あぎ
BL
転生した男子、三上ゆうじは、親に愛されたことがない子だった
親は妹のゆうかばかり愛してた。
理由はゆうかの病気にあった。
出来損ないのゆうきと、笑顔の絶えない可愛いゆうき。どちらを愛するかなんて分かりきっていた
そんな中、親のとある発言を聞いてしまい、目の前が真っ暗に。
もう愛なんて知らない、愛されたくない
そう願って、目を覚ますと_
異世界で悪役令息に転生していた
1章完結
2章完結(サブタイかえました)
3章連載

超美形の彼氏が出来ました。〜本編〜
あぎ
BL
主人公はいじめられていた。
いつも殴られ蹴られの毎日。
死のうとすら考え、屋上に行くと、そこには。
双子と弟に愛を教わる主人公の話、、かな。よろしくお願いいたします
番外は別で描きます
追記2023 12/19
詳しくは〜番外〜から。
※まだ出せてません

使命を全うするために俺は死にます。
あぎ
BL
とあることで目覚めた主人公、「マリア」は悪役というスペックの人間だったことを思い出せ。そして悲しい過去を持っていた。
とあることで家族が殺され、とあることで婚約破棄をされ、その婚約破棄を言い出した男に殺された。
だが、この男が大好きだったこともしかり、その横にいた女も好きだった
なら、昔からの使命である、彼らを幸せにするという使命を全うする。
それが、みなに忘れられても_

蔑まれ王子と愛され王子
あぎ
BL
蔑まれ王子と愛され王子
蔑まれ王子
顔が醜いからと城の別邸に幽閉されている。
基本的なことは1人でできる。
父と母にここ何年もあっていない
愛され王子
顔が美しく、次の国大使。
全属性を使える。光魔法も抜かりなく使える
兄として弟のために頑張らないと!と頑張っていたが弟がいなくなっていて病んだ
父と母はこの世界でいちばん大嫌い
※pixiv掲載小説※
自身の掲載小説のため、オリジナルです

あざといが過ぎる!
おこげ茶
BL
自分のかわいさを理解して上手いこと利用しているつもりの主人公、美緒のあざとさは本人が思ってもいない方向に作用していた!?
「や、僕女の子が好きなんだけど!?」
※基本的に月曜日の19時更新にする予定です。
※誤字脱字あれば、ぜひふわふわ言葉で教えてください。爆速で直します。
※Rは今のとこ予定ないです。(もしかしたらあとから入るかも。その時はごめんなさい)

転生場所は嫌われ所
あぎ
BL
会社員の千鶴(ちずる)は、今日も今日とて残業で、疲れていた
そんな時、男子高校生が、きらりと光る穴へ吸い込まれたのを見た。
※
※
最近かなり頻繁に起こる、これを皆『ホワイトルーム現象』と読んでいた。
とある解析者が、『ホワイトルーム現象が起きた時、その場にいると私たちの住む現実世界から望む仮想世界へ行くことが出来ます。』と、発表したが、それ以降、ホワイトルーム現象は起きなくなった
※
※
そんな中、千鶴が見たのは何年も前に消息したはずのホワイトルーム現象。可愛らしい男の子が吸い込まれていて。
彼を助けたら、解析者の言う通りの異世界で。
16:00更新

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる