59 / 60
第十四章 花火
6
しおりを挟む
新幹線の窓から見える景色に、徐々に建物が増えていく。
久しぶりに降り立った東京駅のホーム。
空気に人工的な色んな匂いが混じっていて、キカくんたちの住む東北とは全然違う重苦しさが鼻をつく。だけど、どこか懐かしさを感じる。
これは、あたしが小さい頃から知っている、大切な思い出の空気だ。なんとなく、ほんの数週間離れただけなのに、とても懐かしく感じる。
胸いっぱいに吸い込むのは……うん、それだけはやめておこう。
「なにやってるんだ? ミナ。ママとトキが迎えにきてるって。行こう」
「うんっ!」
ここが、今のあたしの居場所。
帰ったら、夏休みの宿題の残りが持っている。
そして、今度はあたしが洋さんに読んでもらいたい物語を書くんだ。
高鳴る胸に、スキップをするみたいに足取りも軽く歩き出す。ママとトキの待っている姿を、遠目に見つけた。手を振ると、笑顔で振り返してくれるママとトキに、なんだか涙が込み上げてきた。
「ただいま! ママ! トキ!」
「おかえりなさい」
「ねぇね!」
久しぶりに抱きしめたママからはトキの匂いが混じっていて、とっても安心した。
久しぶりに降り立った東京駅のホーム。
空気に人工的な色んな匂いが混じっていて、キカくんたちの住む東北とは全然違う重苦しさが鼻をつく。だけど、どこか懐かしさを感じる。
これは、あたしが小さい頃から知っている、大切な思い出の空気だ。なんとなく、ほんの数週間離れただけなのに、とても懐かしく感じる。
胸いっぱいに吸い込むのは……うん、それだけはやめておこう。
「なにやってるんだ? ミナ。ママとトキが迎えにきてるって。行こう」
「うんっ!」
ここが、今のあたしの居場所。
帰ったら、夏休みの宿題の残りが持っている。
そして、今度はあたしが洋さんに読んでもらいたい物語を書くんだ。
高鳴る胸に、スキップをするみたいに足取りも軽く歩き出す。ママとトキの待っている姿を、遠目に見つけた。手を振ると、笑顔で振り返してくれるママとトキに、なんだか涙が込み上げてきた。
「ただいま! ママ! トキ!」
「おかえりなさい」
「ねぇね!」
久しぶりに抱きしめたママからはトキの匂いが混じっていて、とっても安心した。
12
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
オオカミ少女と呼ばないで
柳律斗
児童書・童話
「大神くんの頭、オオカミみたいな耳、生えてる……?」 その一言が、私をオオカミ少女にした。
空気を読むことが少し苦手なさくら。人気者の男子、大神くんと接点を持つようになって以降、クラスの女子に目をつけられてしまう。そんな中、あるできごとをきっかけに「空気の色」が見えるように――
表紙画像はノーコピーライトガール様よりお借りしました。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる