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第十二章 飛べた!
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「……あ、」
バレてた……?
キカくんは鋭いから。簡単には人の話は信じないって思っていたから、昨日みんなと一緒に信じてくれて安心していたのに。
やっぱり。どうしよう。絶対に怒ってるよね、もうあたしのことなんて、仲間に入れてくれないよね。
「別に、嘘ついたことを怒ってる訳じゃないんだ」
「え?」
「逆にさ、ありがとな」
「……え?」
「俺、じいちゃんの話は全然信じてないけど、あいつらが言うなら本当になるんじゃないかって、みんなの気持ちは信じたくて。古い鉄橋を渡ろうなんて、考えてみりゃ危ない事だって分かってたのに。とんでもないことしようとしてた。俺たちを、危ない道から逸らしてくれて、ありがとう」
頭を下げてから、キカくんが笑顔になってくれた。
「キカくん、夜に洋さんと何か話していたよね?」
もしかしたら、キカくんはとっくに夢みたいなこの話が全部嘘だってことを、知っていたんじゃないかって思った。
「え、ああ。じいちゃんとは結構よく話すよ」
「線路のことも?」
「うん。仲間とちゃんと話し合えって。言いたいことも言い合えないようじゃ仲間じゃないからなって」
「……そう、なんだ」
「じいちゃんにはさ、兄貴がいたらしくて、いつも話してると兄貴のことを語るんだ」
「……兄貴?」
「よっぽど仲良かったんだろうなって、じいちゃんの話聞いてるといつも思うよ」
思い出すようにクスリと笑うキカくん。
バレてた……?
キカくんは鋭いから。簡単には人の話は信じないって思っていたから、昨日みんなと一緒に信じてくれて安心していたのに。
やっぱり。どうしよう。絶対に怒ってるよね、もうあたしのことなんて、仲間に入れてくれないよね。
「別に、嘘ついたことを怒ってる訳じゃないんだ」
「え?」
「逆にさ、ありがとな」
「……え?」
「俺、じいちゃんの話は全然信じてないけど、あいつらが言うなら本当になるんじゃないかって、みんなの気持ちは信じたくて。古い鉄橋を渡ろうなんて、考えてみりゃ危ない事だって分かってたのに。とんでもないことしようとしてた。俺たちを、危ない道から逸らしてくれて、ありがとう」
頭を下げてから、キカくんが笑顔になってくれた。
「キカくん、夜に洋さんと何か話していたよね?」
もしかしたら、キカくんはとっくに夢みたいなこの話が全部嘘だってことを、知っていたんじゃないかって思った。
「え、ああ。じいちゃんとは結構よく話すよ」
「線路のことも?」
「うん。仲間とちゃんと話し合えって。言いたいことも言い合えないようじゃ仲間じゃないからなって」
「……そう、なんだ」
「じいちゃんにはさ、兄貴がいたらしくて、いつも話してると兄貴のことを語るんだ」
「……兄貴?」
「よっぽど仲良かったんだろうなって、じいちゃんの話聞いてるといつも思うよ」
思い出すようにクスリと笑うキカくん。
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