39 / 60
第十一章 夢物語
4
しおりを挟む
笑い合う三人はすごく楽しそうだ。元々はそこには三人しかいなかったんだ。あたしは急に現れた、ただの学校をサボって夏休みを田舎で過ごして気分転換をしに来ただけの、本来なら知り合うこともなかった他人だ。
これから先もみんなと居たいだなんて、三人の仲間に入れたことがあまりに居心地がよかったから、勘違いしてしまっただけだ。
未来にあたしもいるなんて、そんなことはありえない。
だって、夏休みが終わればあたしは東京に帰るんだ。
永遠に、ここにいられるわけじゃないんだ。
そうだよ。ちゃんと冷静になって考えてみたら、未来なんて簡単に分かってしまうじゃないか。
確かめになんていかなくたって、もう、決まっている。
これ以上みんなと仲良くしていたら、帰る時が寂しくなるだけだ。
「ミナちゃん? なんか、今日は元気ない?」
アオイくんが遠慮がちに、そばにきて聞いてくれる。
「アオイの成績表でも見せたら元気出るんじゃね?」
ケラケラとハヅキくんが笑うと、アオイくんが怒ってしまう。
「先生からの一言、もっと落ち着いて行動しましょうって書いてあったよね」
「落ち着いてるって!」
「アオイはなんか見つけるとすぐにどっか飛んでっちゃうからなぁ。先生も目が離せないんだよ。高学年なんだし落ち着こうねー、アオイくん」
「えー、でもさ、五年間落ち着きましょうって書かれ続けるって逆に凄くね? もはや特技じゃねぇ?」
「え? 特技、落ち着きがない。めっちゃカッコわる! おもしろすぎだろそれ!」
ぎゃはははと笑い転げる二人に、真っ赤な顔で怒っているアオイくんを見て、なんだかあたしまでつられておかしくなってきてしまった。思わずクスリと笑うと、アオイくんが一瞬眉を下げるから、口元をとっさに隠した。
「ミナちゃんが元気になって笑ってくれるなら、ま、いっか!」
そう言って、アオイくんまで笑い出すから、驚いた。
やっぱり、あたし、こうやってみんなと笑い合っていたい。みんなを危険な目に合わせたりしたくない。自分だけ良い子でいようなんて、そんなことは出来ない。
これから先もみんなと居たいだなんて、三人の仲間に入れたことがあまりに居心地がよかったから、勘違いしてしまっただけだ。
未来にあたしもいるなんて、そんなことはありえない。
だって、夏休みが終わればあたしは東京に帰るんだ。
永遠に、ここにいられるわけじゃないんだ。
そうだよ。ちゃんと冷静になって考えてみたら、未来なんて簡単に分かってしまうじゃないか。
確かめになんていかなくたって、もう、決まっている。
これ以上みんなと仲良くしていたら、帰る時が寂しくなるだけだ。
「ミナちゃん? なんか、今日は元気ない?」
アオイくんが遠慮がちに、そばにきて聞いてくれる。
「アオイの成績表でも見せたら元気出るんじゃね?」
ケラケラとハヅキくんが笑うと、アオイくんが怒ってしまう。
「先生からの一言、もっと落ち着いて行動しましょうって書いてあったよね」
「落ち着いてるって!」
「アオイはなんか見つけるとすぐにどっか飛んでっちゃうからなぁ。先生も目が離せないんだよ。高学年なんだし落ち着こうねー、アオイくん」
「えー、でもさ、五年間落ち着きましょうって書かれ続けるって逆に凄くね? もはや特技じゃねぇ?」
「え? 特技、落ち着きがない。めっちゃカッコわる! おもしろすぎだろそれ!」
ぎゃはははと笑い転げる二人に、真っ赤な顔で怒っているアオイくんを見て、なんだかあたしまでつられておかしくなってきてしまった。思わずクスリと笑うと、アオイくんが一瞬眉を下げるから、口元をとっさに隠した。
「ミナちゃんが元気になって笑ってくれるなら、ま、いっか!」
そう言って、アオイくんまで笑い出すから、驚いた。
やっぱり、あたし、こうやってみんなと笑い合っていたい。みんなを危険な目に合わせたりしたくない。自分だけ良い子でいようなんて、そんなことは出来ない。
12
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
かつて聖女は悪女と呼ばれていた
楪巴 (ゆずりは)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」
この聖女、悪女よりもタチが悪い!?
悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!!
聖女が華麗にざまぁします♪
※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨
※ 悪女視点と聖女視点があります。
※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる